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楳図かずお大美術展(2023年8月)

※ここ数年で載せ損ねた過去の展覧会の記事を載せます。

今年10月に亡くなられた楳図かずおさん。ちょうど「楳図かずお大美術展」の最後の巡回先、金沢21世紀美術館での展示を5日に無事に終えたところだった。

小学生のころからまことちゃんで笑わせてくれた楳図先生。怖いマンガはマジで怖かった。オットの影響で大人になってから読んだ『わたしは慎吾』にしびれた。こんな素敵な作品を描く方だとは!知らなくてごめんなさい、先生。

『わたしは慎吾』を読んでからこの作品展に行けて本当によかった。

だって、この展示で楳図先生は、『わたしは慎吾』の新作を描いてくださったのよ!しかも、アクリルガッシュのオールカラーで。(上写真の左真ん中)

テレピアホール で明日まで開催中の 楳図かずお 先生の展覧会へ滑り込み! 「わたしは真悟」好きは見逃せない! ラフの時点でこの細密さ!驚愕!!
ハウスとぐわしグッズ入手してほくほく。 世界コスプレサミットで沸くナゴヤです。知事も市長もコスプレで祝うまち、最高だな。(2023年8月5日)



楳図先生といえば、2008年春、桜を見に井の頭公園に行こうとして道に迷い、渦中のお宅に遭遇したことがある。

正直「かわいい」としか思えないので、誰がなぜそんなに文句を言っているのか謎でしかなかった。センスいいと思いません?

ちょうど居合わせた60代くらいのご夫婦からも「なかなかいいと思うんですけどねぇ。ダメなんですかね?」と話しかけられて、大きく「いいと思います!」と賛同しておいた。

◇後日談◇
赤白ストライプ邸、調和乱すとまでは…楳図かずおさん勝訴
(2009年1月28日19時07分 読売新聞)

漫画家の楳図かずおさん(72)が東京都武蔵野市内に新築した、自宅の赤白のストライプの外壁を巡り、近隣住民2人が
「閑静な住宅街の景観が破壊される」
などとして、楳図さんに外壁の撤去や損害賠償などを求めた訴訟の判決が、28日、東京地裁であった。

畠山稔裁判長は、現地の住宅街の景観は法的保護の対象にならないとして請求を棄却した。
また、仮に法的保護の対象となるとしても、楳図さんの自宅は
「景観の調和を乱すとまでは認められない」
と述べた。

楳図さんの自宅は昨年3月、井の頭公園に近い住宅街に完成。
外壁は、楳図さんのトレードマークとされる赤白のストライプ模様を基調とし、屋根には赤い円塔がついている。

判決は、現地周辺には、外壁の色に関する法規制がないことや、他にも黒や青など様々な色の建物があることなどから、住民が景観を享受する利益(景観利益)を侵すことにはならない。と判断した。楳図さんの自宅については
「原告に不快感を抱かせるとしても、平穏に生活する権利を侵害するとは言えない」
と述べた。

この日、出廷した楳図さんは判決後
「近所の方には気を配りながら生活させていただき、時間をかけて解決につながれば」
と話した。原告らは代理人を通じて
「主張が認められず誠に残念。判決内容を検討した上、控訴するかどうか決めたい」
とコメントした。


Artist Profile
楳図かずお

1936年、和歌山県高野山に生まれ、奈良県で育つ。
小学校4年生で漫画を描き始め、高校3年生の時、『別世界』『森の兄妹』を
トモブック社から単行本で出版し、デビュー。『へび少女』『猫目小僧』などのヒット作により、“ホラーまんがの神様”と呼ばれる。『漂流教室』で小学館漫画賞受賞。
一方、『まことちゃん』でギャグの才能も発揮。作中のギャグ、“グワシ”は社会現象となった。このほか、『おろち』『洗礼』『わたしは真悟』『神の左手悪魔の右手』
『14歳』など、数多くのヒット作を生み出す。
その他、タレント、歌手、映画監督など多数の肩書きを持ち、様々なジャンルで活躍中。
2018年、『わたしは真悟』で仏・アングレーム国際漫画祭「遺産賞」受賞。
また同年度、文化庁長官表彰受賞。
また、ホラー、SF、ギャグと幅広い分野でのマンガ文化への貢献と、2022年開催の「楳図かずお大美術展」で発表した27年ぶりの新作『ZOKU-SHINGO小さなロボットシンゴ美術館』に対して2023年、“第27回手塚治虫文化賞特別賞”受賞。

HIGHLIGHT
地球規模の気候変動や自然災害の多発による人新世の到来、AIやロボット工学が暗示するシンギュラリティの予感、さらには人が神の領域に立ち入る遺伝子工学やハイブリッド生命体の誕生など…
本展が焦点を当てるのは、驚くほど生々しく描かれた、楳図かずおの先見性に満ちた代表作『わたしは真悟』『漂流教室』と『14歳』。そして、比類なき芸術家楳図かずおの27年ぶりの新作『ZOKU-SHINGO 小さなロボット シンゴ美術館』を初公開。全101点の連作絵画としてご鑑賞いただけます。

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楳図かずおは、歴史に名を刻む傑出したマンガ作品を数多く私たちのもとへ届けてくれた。そのジャンルは恐怖マンガからギャグマンガ、少年・少女もの、劇画、SF、アクション、さらにはウメズ・ワールドとしか呼びようのない、余人ではとうてい分類不能な領域に至るまで、ひとりの作家の手によるものとは思えないほど幅広く、深い。その前人未到の業績は、まさしくマンガ界の宝という言葉がふさわしい。けれども同時に、楳図作品には、マンガという既存の分野だけでは語りきることができない先見的な世界観や幻視的なヴィジョンが、至るところで発揮されている。これらの側面をとらえるため、より普遍的な意味での「芸術家としての楳図かずお」を提示しようというのが、本展の趣旨である。
本展ではそのなかから、私たちの来し方に未来を予見し、行く末へと投げかける代表的な作品として『漂流教室』、『わたしは真悟』、『14歳』の3作に焦点を当て、それらが新たな心境のもと未知なる次元で展開されたものとして最新作『ZOKUSHINGO 小さなロボット シンゴ美術館』を位置付ける。
その核心に存在するのは、未来への希望を作り出すのが、どんな危機を前にしても勇気を持って一歩を踏み出す、常に若々しい私たち一人ひとりの内なる生命活動だということだ。たとえ破滅的な苦境にあっても、決して希望を捨てず、不滅と呼んでよい他者への汲み尽くせぬ愛に導かれて奔放に想像し、大胆に行動する! それが楳図かずおを「大美術」として読み解く最大の鍵なのだ。
椹木野衣

27年ぶりの新作
「かつて子どもだった私たちへ」

40年の時を超え巨匠・楳図かずおが語り、描く! “アイ”の行方 シンゴの物語 〔第二章〕
1990年代の『14歳』以来、楳図かずおにとって実に27年ぶりの新作となる『ZOKU-SHINGO 小さなロボット シンゴ美術館』を本展では展示します。1980年代に描かれた『わたしは真悟』の続編であり、同時に時空を超えたそのパラレル・ビジョン(並行世界)でもあります。制作に4年の期間を費やし、完成した本作は、アクリル絵画による101点の連作という方式を採っています。生き生きとして目を見張らされる筆触や、きらびやかで吸い込まれるような色彩で表現されており、時系列に沿って展開される物語性を持つ点ではマンガに近い部分もありますが、マンガと違ってコマ割りはなく、一枚一枚が独立して鑑賞できるものとなっています。

『わたしは真悟』
12歳の悟と真鈴の手によって、一介の工業用ロボットが意識を持ち、やがて自らを“真悟”と名付け動き始める。大人によって引き裂かれた、悟と真鈴の愛。変わらぬその思いを、お互いの元に伝えるという目的を持った真悟の意識は無限に拡大していき、やがてそれは神のレベルに達していった……。(1982~1986年連載)
‘80年代に描かれた本作は、コンピュータ・ネットワークが拡大した現在のニューエイジ感覚を、楳図が無意識の内に予知し、表現していたかのようである。緻密に描かれた絵画のような作風の見事さや、コンピュータ社会への警告など、あらためて評価されるべき作品と言えるだろう。


六本木ヒルズでは期間中「楳図カフェ」がオープンして、こんなときめくスイーツ類が登場したらしい。

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