伊達政宗ならやりかねない|松島2023
素敵なハコモノ 北上川運河交流館 水の洞窟
5月の連休に東海道方面へ向かうのは渋滞に突っ込むことと同義であるので、消去法的に友人らとともに東北へと向かうことになった。しかも常磐道を抜けて石巻まで向かう。
今回のメインの目的地は松島である。が、せっかく松島まで行くのだから、位置情報目的に石巻まで足を伸ばすことになったのだ。時間の余裕が無い中、僕らが厳選して訪れた場所が、
「北上川運河交流館 水の洞窟」である。
北上川の運河を紹介する施設であり、隈研吾建設事務所による設計という、立派な建物。であるのだが、展示の少なさからして、復興マネーで建てられた素敵なハコモノという印象が拭えない。そもそも運河の紹介だけで一施設というテーマ設定に無理を感じる。
ただ、そんな素敵なハコモノはさておき、穏やかな川の流れを見ているのは気持ちがいい。ハコモノよりも、北上川そのものの方が素敵なのだ。
瑞巌寺&円通院 伊達政宗
昼食に石巻の海鮮丼をいただき、震災跡地→復興公園を横目に松島へと向かう。今回の旅のメインである。
まず訪れたのは瑞巌寺。伊達政宗が元々あった寺を復興させ、今の姿にしたという禅宗寺院で、本堂が国宝建築に指定されているなど、松島のシンボルの一つ。
嘘かまことかは分からないが、伊達政宗がいつか徳川を滅ぼし、天皇を仙台に招く際には、この瑞巌寺を使用する予定だったという伝説があり、そのため本堂内には天皇が座す部屋を用意していたとのこと。
伝説通りだったら、これがホントの政宗の野望。政宗ならやりかねない。
瑞巌寺を出ると、すぐ隣に円通院という、これまた伊達家にゆかりのある寺院がある。伊達政宗の孫である光宗の菩提寺とのこと。また、伊達政宗家臣の支倉常長がヨーロッパから伝えた西洋文化の影響が見られ、日本最古の「バラが描かれた寺」とのこと。
また、竹林のある庭園が美しく、質実剛健な禅宗らしい雰囲気を楽しむことができた。これには庭園好きの友人もニッコリ。
なお余談ながら、瑞巌寺から円通寺に向かう途中、ソフトクリームを食べようという流れになり、友人らと購入した。
一口も食べないまま、アイスは地面の染みへと姿を変えた。
五大堂 福浦島 小学生の記憶
一息ついたところで松島と言えばのシンボル五大堂へ。
この五大堂、瑞巌寺の境外のお堂として、海岸の小島に建っている。こちらも伊達政宗が瑞巌寺を再興した際に、五大明王像をこのお堂に安置したことが始まりということで、どこをみても伊達政宗である。
なお、僕の小学校の修学旅行先がこの松島であり、五大堂に行っていたため、それ以来の五大堂である。
ただ全然まったく何も覚えていない。
陸地からハシゴのような橋を渡って小島にあるお堂に行くのだが、小学生なら多少テンションのあがるようなものであるが、何も印象に残っていない。どうも僕の小学生の記憶は、かなり散逸しているようだ。
松島の群島の一つ、福浦島は直径330mほどの島で、本土からの橋で渡ることのできる景勝地である。特に何があるというわけではないが、茶室・弁天堂などがあるという、景勝地のテンプレートのような場所だ。
石巻から松島へと移動し、散々歩き回った僕らだったが、なんとなく「行かねば」という謎の使命感によって、島内を散策した。こうなると勢いとテンションで歩き回るわけなので、地図に書かれた全てのポイントを訪れて、松島群島を堪能した。
散々歩き回ったあたりで時刻は17時すぎ。松島は17時を過ぎると次々と店が閉まる。(暗くなると松島群島が何も見えなくなるためと思われる。)
慌てて地酒と阿部の笹かまぼこを購入(もちろん今晩の酒とツマミとなる)し、今晩の宿へと移動した。
部屋で酒盛りを始めると旅の疲れもあって、早々に床につく・・・
まさか2時までやるとは。異様に盛り上がってしまった。
青葉城&瑞鳳殿 二日酔い
翌朝、完全に二日酔いの僕らだったので、予定よりも遅めの出発。2時まで飲めばこうなる。
まずは陸奥国一ノ宮である鹽竈神社に参拝。神社は朝に来るのが最高に気持ちがいい。
そしてメインどころである仙台城(青葉城)へ。言わずと知れた伊達政宗の居城として有名な城であるが、第二次大戦の仙台空襲により、ほぼ全てが焼失しているため、遺構はあまり残っていない。また、二の丸は東北大学、三の丸は博物館として利用されている。
そのため、今どきっぽくVRで当時の姿を見ることができる仕掛けあったりと、ひと盛り上がりできる工夫が仕掛けられている。
もちろん、復元として石垣や大手門などがあり、当時の史料に基づくものであることから、これには歴史好きな友人も、二日酔いながらニッコリ。
仙台城を後にして、山を越えた先にある瑞鳳殿へ。瑞鳳殿は伊達政宗の霊廟で、三代までの仙台藩主が埋葬されている。
こちらも第二次大戦の仙台空襲で焼失されており、後に復元されている場所である。復元ではあるものの色彩豊かな装飾の数々が、とても桃山時代チック。
青葉城と瑞鳳殿をまわったところで、主だったところは消化。残す予定は「地底の森ミュージアム」である。2万年前の森林の跡と旧石器時代のキャンプ跡の展示があるという。
「・・・ごめん、実はあんまり地底の森に興味はないんだ・・・」
二日酔いを抱えた僕らは見事な英断を下し、帰路についた。
二日酔いになると、旅程の2日目のやっつけ感がいなめない。