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1発目〜戻らない夏〜

あれは今日のような暑い夏の日だった…。

そう年老いたチンパンジーは語り始めた———。


201X年夏、山手線某駅に僕と先輩はいた。

先輩と飲み歩いていた僕は、いつものように先輩から誘われ、酒の勢いで風俗に行くことになった。
というより先輩は酔っ払うとその手の店に行きたがる癖があり、金無いッス無理ッスと言えば二つ返事で奢ってくれる素晴らしい先輩だったため、適当な理由をつけては先輩と飲みに行っていた。

当時の我々は月1〜2ペースで全国の風俗街に出没しており、自慢じゃないが大体のジャンルの店で遊んでいるチンパンジー達だった。
更に、店の立地、業態、HPを見ればだいたい当たり外れが見極められる能力まで持ち合わせた、天才チンパンジーなのである。

そんなチンパンジー達でも未開拓のジャンルがあった。
SMだ。

なぜ金を払って痛い思いをしなければならないのか、仮に痛めつける側に回ったとしても良心が痛み、楽しくプレイできないのではないか、そう考えていたわけだ。
この考えは先輩とも解釈一致しており、俺たちのバナナ🍌の向け先はそこじゃないと、敬遠していたのである。

しかし、その日先輩は居酒屋でこんな事を呟いていた。

「俺、女の子にビンタされてみたい。」

来る時が来たのだ。
漢を見せろ。ここで背を向けてはこの国の英霊達に合わせる顔が無い。知らない世界に足を踏み入れろ。その先はNobodyknows、踊るぜココロ。



という事でチンパンジー達は風俗街へ向かった。

続く

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