『イモータリティ』 、ネトフリを「捕食」する(Netflix版配信開始記念①)
『イモータリティ』がネトフリ配信、その意義とは?
「Netflixゲーム」でサム・バーロウ(『Her Stroy』『Telling Lies』)による傑作FMVゲーム『イモータリティ』が配信開始となった。
Netflixゲームはまだリリースタイトルがそれほど多くなく、今年『ポインピー』(『Downwell』クリエイターもっぴん氏の新作)が独占リリースされて話題になった他、『ビフォア・ユア・アイズ』『スピリットフェアラー』などの良質なインディーゲームが移植されているものの、Steam/Xboxでのリリース(8月30日)からわずか2ヶ月半で移植/配信された本作は、Netflixコンテンツの中でも「異例」と言って良いだろう。
そういうわけで今回のNetflix配信開始を機に、『イモータリティ』の魅力を広めるための記事を3回連続で公開していく。
筆者は、本作『イモータリティ』にここ数年でも屈指の衝撃を受けた者だが、「Netflixゲーム」から本作が配信されることは、映画界においてもゲーム界にとっても少なくない意義を持つと感じている。
何故か?
それはXboxを所有しておらず、PCを持っていたとしてもSteamをインストールしていない映画/配信ドラマファン層が、スマートフォンやタブレットを媒介にして『イモータリティ』を場所と時間を選ばずプレイできることを意味するから——というのがひとつ。
もうひとつの理由は、Netflixという世界でも屈指の映画/ドラマ配信企業が、本作『イモータリティ』を「配信映画の延長にあるもの」として捉えている(であろう)ことに大きな可能性を感じるからだ(Netflixオリジナルドラマの制作スタッフ数名が『イモータリティ』制作に参加しているという事実もそのことを裏付けているように思う)。
Netflix社は『イモータリティ』を『ブラックミラー:バンダースナッチ』に続く、「映画とゲームを架橋する作品」として位置づけているのではないか? 実際、本作は『バンダースナッチ』の失敗点を克服し、インパクトにおいてもアート性においても驚異的なコンテンツに成り得ると筆者は感じている。
Netflix版『イモータリティ』の出来はいかに?
それでは、肝心のNetflix版『イモータリティ』はXbox/Steam版と比べてどうか?
筆者はさっそくiPhoneとiPadにインストールして(容量30ギガ以上あるので、インストールにけっこう時間がかかった)プレイしてみた。
正直、コントローラーと比べると、タップ操作での巻き戻し/早送りがいささかやりづらい。また振動がないため、「あちら」の映像を見つけるのに画面を注視している必要があるが、これはさほど問題ないように感じた(スマートフォンのバイブレーションに対応してくれたら嬉しかったが、これは望みすぎだろう)。
スワイプによる対象者(物)のクリックはコントローラー操作よりやりやすく、フィルム集めはNetflix版の方がスピーディーに進められた。また、フィルム並び替えもiPhoneの画像管理ソフトを使っているかのようにスムーズである。筆者の環境(iPhone SE第3世代、iPad mini5)でも処理落ちなどは一切なく、Xbox Cloud Gamingのプレイよりもずっと快適だった。
ただ、個人的には本作をプレイすることは「映画鑑賞」の延長にある行為と思っているので、コントローラー(またはマウス)を傍らにそれなりに大きなモニタで、大音量でプレイするのがベストとは思う(とくに音が重要なゲームなので、スマートフォンやタブレットでプレイされる際でも、ぜひBluetoothスピーカーやイヤフォンを使ってほしい)。
しかし本作が「スマートフォンとタブレットで、Netflixに加入していれば無料プレイできる」事態を今はとにかく寿ぎ、喧伝したい。『イモータリティ』はゲームにあまり馴染みのないNetflixユーザーをどのように「捕食」するのか? すでに本作にすっかり捕食されてしまった者としては、それが凄く気になるのだ。
『イモータリティ』Netflix版配信開始記念note、次回も続きます!