RTA in Japan Summer 2024 『GRIS』 解説 - 解説が目指したものと、舞台裏とその過程 #挑戦してよかった
概要
RTA in Japan Summer 2024 にて『GRIS』の解説を担当しました。Pitmanと申します。ゲームの最速クリアを目指す「RTA」を極めた人が集うショーケースイベントにおいて、プレイヤーさんの華麗なRTA技と美しい作品世界をお伝えできるような解説を目指して作りこんできました。ここに、解説担当である私Pitmanが何を考え、どんな理想を持って内容を作りこんできたのか。その過程を具体例とともに振り返ります。
*本記事は公開前にプレイヤーであるRTA走者のreichさんへ事前に内容を確認していただき、公開OKの許可をいただいております。
本番アーカイブ動画 Twitch版(当日のチャットが残っています。)
本番アーカイブ動画 Youtube版(コメントを付けることができます。)
目次
解説担当になった背景
走者の方からお声がけ頂いたことがきっかけです。今回解説を担当した私自身はRTAの解説の経験がほぼなく、自分から解説を募集するつもりもありませんでしたので、お声がけいただいた際はお受けするかどうか悩みました。私がイベントで走ったことのあるRTAはGeoGuessrとCities: Skylines II程度で、特にGeoGuessrは目の前の状況や出てきたものに関連したお話をするだけでも十分に解説として成立してしまうので、決められた動作を正確にこなす2Dアクションゲームの解説とは全く毛色の違うものでした。
私はスーパーマリオワールドのRTAを2年ほど走っていましたので、2DアクションゲームのRTA走者にとってのポイントは何となくイメージがつきます。しかし、解説となるとまた話が違ってきます。2DアクションゲームのRTAの解説は、ゲームスピードや展開の早さに追従し、かつRTA上の短縮技を使うタイミングに合わせて的確にお話しすることが必要なイメージを持っていました。
私としてはGRISは美しいビジュアルが大好きな作品で、GRISの魅力をお伝えできる機会を頂けるのは私にとって大変幸せなことです。ただ、GRISは初見プレイを途中まで自分でやってみた以外は、配信やイベントでRTAのプレイをよく見ていた程度。解説の経験やスキル、GRISのRTAに対する理解が不十分な中でお受けしてしまって大丈夫か、それゆえに走者さんの思い描く通りの雰囲気・内容で解説できるかどうか、漠然と心配なところがありました。どんなに素晴らしい走りであっても、美しいゲームであっても、私の解説が崩れてしまっては総崩れになってしまいます。
そのようなリスクを考え、私は安易に解説を申し出たり、引き受けたりすることは控えるようにしようと考えていました。そこで、今回お受けする際に下記のような条件をお伝えしました。条件というとあまりに大げさですね。こんなことを考えているけれども、こんなんでも大丈夫でしょうか…?というニュアンスでお話をしました。
お受けした条件
解説に必要な原稿をある程度作って頂けること(サラリーマンとRTAの二足のわらじなので作業時間が取れない可能性があることが心配でした)
コンセプトのすり合わせ、原稿の文言選び、情報の取捨選択、リハーサルのためのお時間を頂けること
RTAチャートへの理解を深めるお手伝いをしていただけること
お受けする前に以上のお話をお伝えしたうえで、ぜひ本番のサポートをいただきたいとのお返事をいただき、お受けすることにいたしました。サラリーマン稼業が面白くなってきて忙しくなる中、趣味の世界で今までにないことに取り組むことになるので、これは私の中では大きな挑戦でした。
解説内容の作り込み
文字起こしデータの提供
はじめに、Adobe Premier Proの「文字起こし機能」を使って、走者の方が過去に走ったイベントで行った解説2回分を私の方で文字起こしをしてお渡ししました。解説原稿をある程度作っていただけることを前提にお受けしたとはいうものの、走者さんに負担をかけてしまっては本末転倒です。原稿づくりの一助となればと思い、文字起こしデータをお渡しすることから始めました。
Adobe Premier Proくんで動画ファイルや音声ファイルを文字起こし処理してもらうと、こんな感じでアウトプットしてくれます。
画像の通り、出力された文字起こし結果にはタイムスタンプがついています。これを活用すると、それぞれのセリフがRTAタイマー開始タイミングから何分何秒にあたるか、セリフをRTAタイマーのタイミングに合わせることも可能です。列を挿入して下記画像のような計算式を入れることによってすぐに出せます。
出力されたデータを上記の通り加工し、Googleドライブに共同編集可能なフォルダを作成してそこに共有しました。
解説ラフ原稿のデータの受け取り
後日、走者さんから原稿データをいただきました。原稿データは下記画像の通り、ステージごとに列を分けて並べてくださいました。
解説コンセプトのすり合わせ
せっかくの機会ですので、解説のコンセプトをすり合わせるところから始めました。何を目指してどんな形にしたいかを決めておくことで、より良い結果が生まれたらいいなという想いのもと、走者の方にいろいろ伺ってみました。お話ししてみた結果、走者の方が実現したい理想像が見えてきました。
GRIS解説の理想像
RTAの解説と同時に、ゲームの魅力、美しさ、世界観を伝えたい
ゲームの好きなポイントをお伝えしたい
RTA技は初見の方にもわかりやすい説明にしたい
(手の動かし方までの説明は可能な範囲に絞り、RTA技と説明タイミングを確実に同期させる)寄付の呼びかけをしたい
走者さんは今回のRTA in Japanを通じてGRISという作品それ自体の魅力をお伝えしたいとおっしゃっていました。私自身もGRISのアートワークが大好きで興味を持ちましたし、ぜひこれを機にGRISの魅力をお伝えして、手に取っていただくきっかけにできたらなと思っていました。
また、走者さんがRTAを始めたきっかけをお伺いしてみました。GRISというゲームが大好きで、全実績解除をして100%クリアした後も遊び続けていたましたが、どうしてもそれ以前よりは触れる機会が少なくなってしまったそうです。そんな中、RTAという遊び方を知り、大好きなGRISと再びじっくり向き合える機会、触れ続ける理由が得られたといいます。最高に素敵なお話じゃないですか!私自身も昔大好きだったゲームの新しい遊び方になる!という気づきを得てRTAを始めた身だったので、大変共感しました。これはぜひ、GRISの大好きポイントをお伝えしつつ、このメッセージもお届けしたいと思いました。エモいね。
RTAinJapanは普段RTAの動画を見ない方も視聴します。GRISのRTAはもちろんのこと、GRISという作品を見ることそれ自体が初めての方が多数いらっしゃいます。RTA in JapanでGRISが披露されるのは今回が初めてですので、走者さんとしてはわかりやすさを重視したいというご意向がありました。
以上のような解説の理想を実現するべく、具体的に解説に取り組むポイントを決めていきました。同時に、どんなテクニックを使えば、より理想の解説に近づくかを考えていきました。
解説に織り込むポイント
(1)大前提
解説を行うにあたり、自分の中で下記の3点を大前提に置きました。
RTAの解説であることを逸脱しないこと
チクチク言葉を使わないこと。
一言一句の表現にこだわり、受け手の印象にまで事前に配慮すること。
RTA in JapanはRTAを披露するチャリティーイベントです。いうまでもないことですが、解説に最も期待されていることはRTAの解説です。RTAの解説という目的と、それをよりよく伝えるための手段をはき違えないようにすることを頭の片隅に入れておきました。
また、RTA in Japanは数多くの方、様々な属性の方がご覧になります。老若男女問わず、この解説を聞いて悲しくなってしまう人がいないかどうか。ここに細心の注意を払って解説原稿を作りました。
今回はゲームの美しい世界観に寄せるというありたい姿がありましたので、ミームを織り込むことは最小限にしました。スピードランコミュニティでよく言われる『キュービィくん』という名前、『茶碗蒸しくん』という名前についても、解説でこう呼ぶかどうかについて一考しました。ミーム汚染にならないか。あくまで個人的・コミュニティ内でその可愛さに魅力を感じて呼んでいることが動機であり、またその名前を多角的に見ても下品に見えることもないなと判断し、本番でもそのように呼びました。(かわいいんです、この小さい生き物たちが。)
(2)キーメッセージ
①RTA技は初見の方にわかりやすい表現に言い換える
②寄付の呼びかけを織り込む
③GRISのかわいいスポット・美しいスポットを伝える
③GRISを始めたきっかけのエピソードを織り込む
①わかりやすい表現の追求
先にも述べた通り、RTA in Japanは数多くの方がご覧になります。普段RTAの動画やライブ配信をご覧にならない方も多くいらっしゃいます。今回は、誰にとってもわかりやすく、かつRTAに親しみのある方にとっても満足できるような表現への言い換えを積極的に行いました。
例えば:
これをこのように言い換えました。
このように言い換えることによって、走者さんの動きに合わせた解説が可能になりました。初めて見る方にとっても「なんだかすごいことをやっていそうだ」ということを動きと同期して見聞きしてもらえます。
RTAをこれから始める人にとってうれしい解説(=手を動かす方法、手順、目印やタイミング)と、RTAイベントを視聴して楽しめる解説を分けて考えると、さらに楽しいものになるというのが今回の気づきでした。RTA走者である私の視点からは、ついつい技を再現するために必要な手順や目印といった手の動かし方をしゃべりたくなってしまいますが、ここはぐっと我慢してわかりやすい表現に言い換えを進めました。一方、ただ単にわかりやすいだけではRTA的見どころがぶれてしまいます。事前・事後の補足説明として、具体的な短縮効果の秒数、技を成功させるために必要な目印、操作の猶予フレームといった専門的な説明を入れました。これにより、分かりやすさとRTA的見どころが両立でき、RTAのショーケースとしての見どころにもより深みが増しました。
本番で解説の私の口から出た言葉は結果的に違うものだったかもしれませんが、このような一言一句にわたる表現まで分かりやすさ、動きとの同期、チクチク表現でないか、これらの確認を全編にわたってすり合わせました。草稿は走者さんからお渡ししてくださった原稿ですので、そこには走者さんの想いがこもっている内容もたくさんあります。走者さんの考える理想と現実的にできる解説、解説担当である私の視点から見た理想像のすり合わせを丁寧に、すべての文言について行いました。走者さんの理想を受け止めたうえで、より分かりやすく、より作品の美しさを演出できる言葉選び、解説する量の調整を行ってきました。ここはこだわりたかったポイントなので、抜けもれなくすべて行うことができたのは最高でした。達成感さえ感じています。
②寄付の呼びかけ
RTA in Japanはチャリティーイベントです。RTA in Japanに関わる機会を頂いたので、解説をするならば寄付の呼びかけをしたいと思っていました。
今回、GRISという作品の表のテーマが「悲しみの克服」でしたので、GRISのテーマと寄付の呼びかけを繋げた内容にしました。ただ寄付の宣伝をするよりも、GRISのRTAに没入していただいているところから、GRISの世界から唐突感なく現実世界に目を向けていただき、感情移入とまではいかないかもしれませんが、寄付のことをより自分事と思っていただけたら幸せだなと思い、下記のような内容にしました。
幸いにして、GRISは終盤にも寄付を呼び掛ける時間がありました。石像との別れの後、これまで集めてきた星の道をのぼるGRISちゃんの境遇と重ねて、2度目の寄付の呼びかけを行いました。
後々振り返ってみると、「感動した」「泣いちゃった」とまで言ってくださった方がいらっしゃり、いいお伝えの仕方ができたなと大変うれしく思います。
③GRISのかわいいスポット・美しいスポットを伝える
GRISというゲームの魅力をお伝えしたいという理想を叶えるにはどうしたらよいか。好きポイントを好きとお伝えすることに尽きるというのが今回の一つの結論でした。
例えばこんなところに織り込みました。
結果、チャット欄やTwitter上で「走者さん、解説者どちらもGRISという作品が好きということがよく分かった」というコメントをたくさんいただきました。メッセージを受け取ってくださりありがとうございます。
④GRISのRTAを始めた理由
先に申し上げた通り、走者さんがGRISのRTAを始めた理由は「好きなゲームをもっと楽しむことができる」から。私自身も同じく、RTAという遊び方を通じて遠ざかっていたゲームをもう一度楽しんでいます。個人的には素敵なエピソードだと思うので、今回、私の方からこのお話をしたいと提案しました。走者さんもぜひとおっしゃってくださったので、本番の解説に織り込みました。
この文言をお伝えするに際しても、押しつけがましくならないよう、誰が聞いてもネガティブな印象を受けないように細心の注意を払って一言一句を選びました。ここではあくまで「遊び方の一つ」としか申し上げておらず、これが絶対だというメッセージと受け取ってしまうことがないように気を付けました。
(3)解説テクニック
よいもの、好きなものを伝えるにしても、その方法によって受け手の印象が大きく変わります。人間が会話から受けとる情報のうち、言葉の情報は約半分、残りは言葉ではない話し方・仕草といった「ノンバーバルコミュニケーション」が占めているといいます。よりよく伝えるために、今回は下記の点に注力することにしました。
①間をしっかりとる
②ゆっくりとしゃべる
③背伸びしない声の調子
④熱い技の部分は熱くしゃべる
⑤オーディエンスコントロールをやる
①間を取る & ②ゆっくりしゃべる
BGMを楽しんでいただきたい、美しいゲームの魅力・アートの良さを感じ取っていただきたいという想いから、間をとる・ゆっくりしゃべることを意識しました。また、固有名詞を自然に繰り返すことも意識してやっています。RTA in JapanでGRISというゲームに初めて触れる方も多くいらっしゃいいます。解説の口から聞いたことを頭で理解し、受け手としての心の動き、印象、反応につながるまでには、時間的バッファがあったらいいなと考えました。幸い、GRISは美しい作品でエモさをお伝えしたいという理想像もあり、間を取ってゲームのエッセンスを楽しんでいただくこととも相性が良かったです。
③声の調子
特別に作ったりは意識せず、通常の解説パートはいつも通りの調子で喋りました。普段から落ち着いた印象の声だねと言って下さるかたが多かったこともあり、ここでかえって演技だとか、特別な発声方法を意識してしまうと逆に不自然かなと思い、ありのままの状態で臨みました。学生時代に放送部で発声の基礎に触れていましたし、演劇とかも好きなのでそのあたりの基礎知識・ノウハウを頭の片隅に置きつつ、そのうえで特別な飾りをしない自然な声で行きました。
④熱い技の伝え方 「A-P-S-R」
一方で、これはRTAの解説です。RTA in Japanをご覧になる方には、おそらく超人的で曲芸的なRTA技に期待してご覧になっている方もいらっしゃることと思います。私自身もそういうところも大好きです。ですので、GRISの世界観を壊さず、かつ、RTA技の熱さをお伝えすることを大事にしました。
熱い技の解説の一つの方法として、今回は下記のやり方がハマったなと感じました。
技の予告(Announcement)
技の事前説明(Pre-explanation)
技本番の動きと解説の同期(Synchronized Commentary)
技事後に技のすごさの解説(Review)
「A-P-S-R」と覚えるとわかりやすいかもしれません。具体的に見てきましょう。こんなイメージです。
こういった自然な繰り返しをすることによって、オーディエンスの皆様にも「すごいものなんだな」と理解してもらうのに必要な時間を確保し、たくさんの拍手スタンプや会場からの拍手といったリアクションを頂くことができました。チャットメッセージ数・スタンプ数を定量的に評価しても、大技のタイミングで多くのリアクションを頂けていることがわかります。
⑤オーディエンスコントロール
RTA in JapanはRTAを披露するチャリティイベント。見ている方も一緒に盛り上がることができれば楽しいです。楽しい時間をともに作ることができる一つの方法がオーディエンスコントロールです。
具体的になにかというと、ここでは主に私が拍手したいと思ったところで一緒に拍手してもらえるようなサインを出すということです。会場に座ってくださる方は、なんらかの想い、考えをもって座ってくださっている方です。応援してくださる味方です。拍手のタイミングをお伝えすることによって、場を作っていただくお手伝いをしてくれると思い、今回やってみました。ありがたいことに、アーカイブに音として残るほどの拍手を頂いています。チャット欄のスタンプでもrtaClapスタンプをたくさん使ってくれていました。
(4)補足・雑多ポイント
①大事にしたいポイントは必ずメモをする
大技なんかは意識しなくても勝手にテンション上がっちゃいますし、これを意識してやるということは若干不自然な感もあります。ですが、あえて事前にポイントとして「本番はこうしたい」というテクニック、好きポイントといった心の機微の伝えたいメッセージまで言語化して明文化しておくことで、忘れてしまうことを防ぎました。ソシュールの言語学において、「言葉は世界を分節する」、すなわち人間は世の中の現象、自分自身の内なる心の動きを言葉にする、言語化することによってそれを認識するといいます。この説は個人的に、純粋な言語学としての観点から見たときに「確かに」とよく腹落ちします。RTAにおいても同様で、なぜ技が成功するのか、技の成功条件・成功範囲を手の動かし方のレベルにまで、私は具体的に言語化するようにしています。解説も同様に、心打たれる部分に至るまで事前に言語化しておくことで、いつでも引き出せる状態にしておきました。
②大和言葉を使う。漢語の動詞は自然な範囲で言い換える
解説の文言では、極力、大和言葉を優先して使うようにしました。平安時代以降にやってきた漢語の熟語は同音異義語が多いです。耳で音声として聞いた語句を脳で理解するまでに時間がかかり、イメージが付きにくいことがある印象です。情報が押し寄せてくるRTAの解説においては、見聞きしている人の理解する時間が足りなくなりがちです。没入できる解説、スッと頭に入ってくる解説を目指すうえで効果的なテクニックと考え、実践してみました。
出来上がった原稿
最終的なアウトプットはこのような形になりました。
本番はノートPC or タブレットでスプレッドシートで開き、方向キーで解説ポイントが終わごとに1セルずつ送っていくこととしました。このおかげで迷ってしまうという事故を予防できました。
以下のような形で、初めから終わりまで縦に並べていっても綺麗な原稿になると思います。印刷するならこの形式もいいかもしれません。
事前打ち合わせの進め方
本番約1.5か月前から前日まで、週2回 × 2~3時間/回、合計30時間弱の打ち合わせ・解説原稿の作りこみをDiscord通話で行いました。大きな進め方は次の通りです。
解説の理想像・目標のすり合わせ
*アイスブレイクを兼ねた会話
*ざっくりとした今後の推進日程の相談
(2~5をやりましょう、当面週2くらいで行きましょうか、という相談)初見プレイ&解説者によるRTA技の練習・体感
原稿内容のブラッシュアップ
*走りに同期させて喋れるよう内容の取捨選択
*ステージごとに日を分けて実施一言一句に渡る表現のチェック
*わかりやすい表現への差し替え、チクチク言葉排除、意図しない受け止め方になってしまわないかチェック
*ステージごとに日を分けて実施リハーサル
*過去のイベントアーカイブ、ライブで走ってもらう2パターンで練習
*3回ほど実施
本番当日のお話
走者さんがGRISにかけてきた熱意や時間をよく理解していました。きっと緊張してるだろうな、でもここまでするのはお節介かな~と思いつつも、やはり走者さんが緊張した様子だったので可能な限りのサポートをしようと思いました。
①当日のセットアップ手順
②持ち物確認
③セットアップ・音声担当者とのコミュニケーションサポート
当日のセットアップに備え、走者さんのプレイ環境を事前に確認しておきました。フレームレートは120Hzの環境でプレイしていらっしゃるので、本番も同じ環境になるように借りる機材の設定を確認する際、気を付ける必要がある点を共有しておきました。
RTAイベントでよくあるモニター周りのポイントは:
本番用のモニターが120Hz対応か確認。なければ申し出てお借りする。
Windowsのフレームレート設定を開き、120Hzになっていることを確認
Nvidiaコントロールパネルを開き、ゲーム内フレームレートが制限される設定になっていないことを確認
特にNvidiaコントロールパネルに要注意。Windowsで120Hzになっていても、前に使った方がここを設定しているとゲームが120Hzで描画されません。GRISはフレームレートによってゲームの挙動が大きく変わる為、重要な点です。
RTA in Japanの本番環境(走者席)は、これまで1920x1080 60Hzのモニターが使用されていました。走者さんも本番前に緊張されているのが伝わってくる中、本番で120Hzモニターが使える算段になっているか非常に心配だったので、本番で120Hzのモニターが使えるように、当日、本番前の事前練習のタイミングでボランティアの会場管理担当の方に私から申し出て、練習の時点からお借りすることにしました。
また、当日のセットアップで次に重要になってくるのがコントローラー・マウス・キーボードの動作確認。今回はマウス・キーボードを使わないプレイスタイルだったので問題になりませんでしたが、Logicool G HUBのような設定アプリの挙動に要注意です。同じ設定アプリを使う方がいらっしゃる場合、プロファイルがすでに登録済みになっていることがあり、なおかつそれが固定で自動適用される設定になっているケースがあります。自分の設定を登録しても、自動で設定が戻ってしまう状態になっていないか、実際に本番で走る環境で正しく動作するか、設定を確認しておくことがお勧めです。
セットアップ・音声担当者とのコミュニケーションサポートも行いました。いざ走者・解説席についたタイミングでもやはり走者さんは緊張していたご様子。走者さんはゲームの効果音、足音でRTA技のタイミングを計っているところがあり、走者さんの耳に届く音量は極めて重要なポイントでしたので、確認漏れがないように助言できるところがあれば助言するように努めました。走者さんの活動のこれまでの集大成に、後悔が残らないように。
本番を終えて - 振り返り
バチバチに緊張した本番当日、無事、解説の任を全うすることができました。個人的には無事やりきったと思える内容だったと思いますし、走者さんも目標を達成できたとおっしゃってくださいました。よかったよかった。
よかった点
解説の理想像の通り、ゲームの魅力をお伝えすることができた
当初設定した解説の理想像を体現することができた。
チャット欄・Twitter・走者友達の皆様からたくさんのお褒めの声を頂いた
(ネガティブな反応が見当たらなかった)走者さんから「やりきった」「目指したものが実現できた」との言葉を頂いた
(走者さんのサポートというニーズに応えることができた)解説・コメンタリーという今まで経験したことのないエンタメを創る楽しさに気づきを得た。これまで経験したことのないことに挑戦してよかった。
反省点
チャット欄を開き忘れた
もともと手持ち無沙汰になるところでチャットに反応する予定でしたが、チャット欄を手元で開いておくのを忘れてしまいました。結果的にはそれも一つの正解だったと思っています。生配信であることからインタラクティブな交流もよいかなと思っていましたが、コメントへ反応しないことで「ゲーム・走者・解説」と「オーディエンス」の間に境界線が生まれました。エモい作品の魅力をお伝えするという理想を実現する手段としては、こちらも大いにありだったなと思っています。すみません、私もバチバチに緊張していました。キュービィくんを逆に持ってしまった…!
これは緊張してて、うっかりしていました。キュービィくん頭が重くて、頭を下にすると安定するんです。うっかりしていました。解説・ゲームの世界への没入を妨げることはしたくなかったので、これはうっかりミスです。体験世界から逸脱するメタ要素は極力控えたかったところ。走者さんから逆だよ!って言ってもらってはじめて気づきました。こういううっかりを素でやっちゃうんですよね。
終わりに
寄付のお願い
もし今回の解説を楽しんでいただけましたら、ぜひRTA in Japanのサイトから国境なき医師団さんへの直接寄付をして頂けたら嬉しいです。【追記:2024/8/19時点では受付締切済です。個別、もしくは次回のイベントの折にお願いします。】RTA in Japanのこれまでの寄付を累計すると、避難民130万人分 × 3か月間の医療物資に相当するそうです。すごいことですね。
GRIS:各プラットフォーム購入リンク
また、GRISというゲームをぜひお手に取っていただけるとうれしいです。今回のRTA in Japanではストーリーの核心部分には触れていません。実績解除、収集要素がまだまだあります。ぜひ楽しんでみてください。自分の手でGRISの精神世界を冒険する体験は、言葉では言い表せないほど最高です。
走者:reichさん
走者のreichさんの配信もフォローして応援していただけたら嬉しいです。
Twitch https://www.twitch.tv/reich01011
解説:Pitman
今回解説を担当した私、PitmanもRTA走者としてTwitch・Youtubeで配信しています。もし解説や考え方がいいなと思ってくださいましたら、フォローして遊びに来ていただけると幸いです。.
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