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大都会で生息する

東京で暮らし始めて2年が経った。

2019年頃までは、「周りの人がみんな標準語を話すなんて居心地が悪そうだ。住むなら関西がいい。」という考えだったことを明確に記憶しているのだが、結局その2年後には東京に移住し、そしてそんな思想を持っていた割には東京で楽しく暮らしているのだから、自分の主義主張なんて本当に変わりゆくものだなと思う。

東京は街がたくさんあるのがすごい。
例えば私がヅカオタとして非常にお世話になっている有楽町・日比谷・銀座なんて、地理的に見れば「そんな細かく地名分けんでもよくない?」と思うほど近いけど、飲み屋が溢れていたり、劇場が密集していたり、高級ブランドが立ち並んでいたりと、それぞれにしっかりと顔がある。また、街中には公園や緑地も整備されているので、手軽に自然を感じることもできる(本気の自然を感じたかったら、郊外の方へ行けばいい)。活気を求めるにしても、静けさを求めるにしても、とにかく自分がしたいことに対して「どの街へ行くか」の選択肢が常にたくさん用意されているところは、東京ならではだなぁと思うし、「街」の多さは他の都市の追随を許していない気がする。

人口がめちゃくちゃ多いのも結構助かる。
通勤ラッシュみたいな、フィジカルな人の多さは普通に嫌だが、人の数が多いがゆえに、想像を絶するほど色んな生き方をしている人がいて色んなコミュニティがあって皆勝手に生きている、という事実は結構精神的な救いになっている。「結婚も出産もしておらず、本人も取り立ててそれを望んでいない30代半ばの女性」というのは、恐らく身の置き場所を間違えると生活に不要なノイズが入って来やすい生き物だと思うが、大都会東京においては、そんな人間はおびただしい数いるし、その中の一人である私のことなどいちいち誰も気に留めていないような気がして、その「放っておかれてる感」がむしろ心地よく感じる。

選択肢が多いことも、他人にお節介を焼かれないことも、人によっては全然魅力的なことではないと思う。行動範囲が固定されているからこその安寧も、気にかけてくれる人がいることの有り難さもあるだろう。だから、他の人に「東京は良いよ」などと勧める気は特にない。たまたま自分の精神状態に東京という街が上手くハマっただけだと思う。もっと言えば、私が感じているメリットが、東京だからこそなのか、故郷を離れた縁もゆかりもない街なら案外どこでも享受できるものなのか、その辺は正直分からない。それでも、東京に愛着を感じ始めていることは事実であり、健やかに暮らせているならそれに越したことはないから、私は東京に来て良かったと思っている。


今日、美容院へ髪を切りに行った。
東京で最初に美容院へ行った時に出会った美容師さんに、今も引き続きお世話になっている。はじめは表参道のサロンにおっかなびっくりだったが、今では「この前教えてもらった本、読みましたよ~」から会話が始まるほどに馴染んでいる(馴染めていると思いたい)。いつもどおり伸びた分の髪をカットしてもらい、シャンプーも「頭皮ガチガチですね」と言われながらつつがなく終了した。最後に「後ろこんな感じで~す」と鏡を見せてもらっている時、ふと美容師さんから、「ちょっと髪型変えたい気持ち出てきたりしてます?」と聞かれた。今の髪型は気に入っているので、変えたい!という強い願望があるわけではなかったが、確かに最近「この髪型になって結構経つな…」とは思っていた。「次回、パーマのあて方検討してみましょうか!」という話で今日は終了となった。
東京で、まだまだ遊べそうな気がする。


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