2024年4月の函館旅行
ある日、「東京からだったら、新幹線で乗り換えなしで北海道まで行ける」ということに気付いた。関西に住んでいた頃は、北海道は基本的に飛行機で行くもの、というイメージを持っていたから、陸路で北海道へ行けるのはとても興味深く感じた。2024年現在、北海道新幹線の終点は新函館北斗駅なので、じゃあ函館に行ってみよう、という流れで函館への1泊2日の旅行を決めた。
ちなみに私は海鮮が苦手なので、観光ガイドなどを見れば見るほど、函館にはお呼びでないなと感じた。そのため、今回の旅行の主目的は、新幹線での陸路の旅を楽しむこと。あとは、函館の港町を気ままに散歩したり、ラッキーピエロというローカルチェーン店のハンバーガーを食べられたらいいな、ぐらの緩い方針とした。
2024年4月29日 東京から函館へ
東京から新幹線で北海道へ行こうとすると、片道4時間半ぐらいかかる。1泊2日の緩い旅とはいえ、函館での滞在時間はそれなりに確保したい、(そして北海道まで行く新幹線の本数はそんなに多くない…)と考えた結果、東京駅AM6:32発の新幹線に乗ることにした。普段早起きをしない生活を送っている私にとってはなかなかの暴挙だった。幸い4月28日も仕事が休みだったので、旅行の出発前日から頑張って体内時計をバグらせた。
当日は朝5時台に自宅を出発。朝日が差し込む明け方の住宅街は、新緑の匂いがして清々しかった。これが朝の空気か。都心へと向かう電車は、これから朝を始める人と、夜を終えた人とが混在していて味わい深かった。今の私は朝を始める人チームの中でも精鋭と言えると思う。東京駅はまだほとんどのお店のシャッターが閉まっていたけれど、駅弁屋祭(と、駅弁屋踊)だけはめっちゃ元気に営業してくれていた。ありがたすぎる。新幹線で食べる駅弁はベタなものを買おうと決めていて、崎陽軒のシウマイ弁当か、新杵屋の牛肉どまん中の二択に絞っていたけれど、シウマイ弁当が見当たらなかったので、自動的に牛肉どまん中を買うことになった。
新幹線は、私が乗るはやぶさに、秋田新幹線のこまちがくっ付いていた。途中で切り離されるらしい。へぇ。新幹線に乗り込んだら、自分の席に既に女性が座っていた。私がきょとんとしていると、「全部自由席だと思っていたわ。ごめんなさい~」と言いながら降りて行かれたけれど、はやぶさは全席指定だ。あの女性はあの後どうするんだろうと思った。
新幹線出発後は、Googleマップと車窓を交互に眺めながら過ごした。知らない市や町の名前が次々に現れては通り過ぎていく。福島の辺りからは立派な山がたくさん窓の外に見えたけれど、知識が無いので「山だなぁ」という感想しか浮かばずもったいなかった。「あれがかの有名な!」とか思いたかった。仙台から盛岡にかけてはトンネルが多かった。NHKプラスで朝ドラの虎に翼を見ようとしたけれど、Wi-Fiが繋がりにくくて少しイラッとしてしまった(トンネルの多い区間で朝ドラを見ようと試みる方が悪い)。楽しみにしていた駅弁の牛肉どまん中は、噂に違わぬ美味しさだった。牛肉パートが美味しいのはもはや当然のこととして、ちょっと添えられている副菜まで抜かりなく美味しく、さすが日本一の駅弁と言われるだけあるなと思った。青森辺りまで来ると、車窓の遠くの方に満開の桜の木がちらほら見えて、桜前線の北上に風情を感じた。Googleマップの青い丸がいよいよ本州の果てに差しかかった頃、「間もなくです」というお知らせと、簡単な歴史や概要の説明とともに、青函トンネルに入った。走っている間はまぁ長いトンネルだな、という印象なのだけど、抜けた後に「ようこそ北海道へ」という旨のアナウンスがあり、盛り上げてくれる感じが嬉しかった。
10:48に新函館北斗駅に到着してホームに降りたら、空気がひんやりしていた。この日は東京の最高気温が26℃くらいなのに対して函館は16℃ほど。東京にいる時は邪魔で仕方なかったけれど、トレンチコートを持ってきておいて良かった。そして私はコートを羽織りながら、陸路で北海道へ来れたことにとても満足していた。今日ここから先の観光は、もうすべてオマケと言ってもよい。新函館北斗駅から在来線のはこだてライナーに乗り換えて20分、函館駅へと向かう。
2024年4月29日 函館観光
函館駅に着いたら、まずはホテル(ラビスタ函館ベイ)に荷物を預けて散歩開始。本当は最初にラッキーピエロに行こうと思っていたのだけれど、そこまでお腹が空いていなかったのと、なんか全然ハンバーガーの気分じゃなかったのとで、後回しにすることにした。こういう時に一人旅は気楽だなと思いながら、ベイエリア~元町をふらふらと歩く。ハンバーガーの代わりに甘い物が食べたい気がしたので、事前に目を付けていたクレープ屋さんに行ってみたら、物凄い行列だった。一応列に加わり、店員のお姉さんにメニューも見せてもらったものの、「2時間待ちです」と言われてしまったので、速攻で諦めた。函館観光をする前からクレープ1つのために2時間並ぶのは違いすぎるから。…でも多分めっちゃ美味しいクレープなんだと思う。今回はタイミングが悪かった。
函館は坂の街、坂が多い、とは聞いていたけれど、ベイエリアから元町の山手に上がって行こうとすると、本当に、ちょっと上るのを躊躇してしまうほど急な坂が多かった。見上げた時の圧がすごいというか。そのかわり、山手の方に上がると港の景色が一望できて開放感があった。また、函館はGWの時期がちょうど春真っ盛りで、街のあちこちに桜をはじめとする色々な花が咲き乱れていて綺麗だった。
函館ハリストス正教会、聖ヨハネ教会、カトリック元町教会を静かに見学して回った。ハリストス正教会では、「ガンガン寺」と呼ばれる所以である鐘の音も聞けて良かった。
甘い物が食べたいという気持ちが増す一方だったので、ベイエリアまで下りてきて、金森赤レンガ倉庫内にあるスナッフルス(洋菓子屋さん)で一休み。いちごのショートケーキとホットティーを注文した。このホットティーを飲んだことで、自分の身体が思った以上に冷えていたことに気付けた。糖分も補給できて、ここでだいぶ体力が回復した。ありがとうスナッフルス。
次は路面電車に乗って五稜郭タワーへ向かう。明日の天気予報が雨なので、今日のうちに屋外の観光は全部済ませておこうという算段でいる。路面電車は停留所のホームが狭く、電車がホームギリギリを攻めて入ってくるので迫力があった。五稜郭タワーの最寄り駅である五稜郭公園前駅の周りは、結構な繁華街だった。さっきのベイエリアはTHE 観光という感じだったけど、こっちには百貨店とか無印良品とかがあるから、函館に住むとしたら五稜郭界隈の方がいいのかな、とか勝手なことを考えながらタワーまで歩いた。途中、セブンイレブンのマルチコピー機で五稜郭タワーの入場券を買った。(こうすると100円安いし、タワーで入場券購入列に並ばなくてよくなる。)
五稜郭タワーはコナン君と怪盗キッドに乗っ取られていた。ベイエリアもなかなかだったけど、こっちもか。やっぱり映画見に行こうか。と、この時思った。タワーは入り口の階もガラス張りになっていて、外には桜満開の五稜郭公園でお花見をしているたくさんの人たちが見えて、「春を謳歌する人々」を絵に描いたみたいだった。
暗闇に土方歳三がぼんやり浮かび上がるエレベーターに乗って、五稜郭タワーの高層階へ。
桜満開の五稜郭は、美しかった。一目見て、これは確かに綺麗!と納得した。思えば、桜が幾何学模様に沿って植えられているのってあまり見たことないかもしれない。西洋式の星型の城郭と桜のコラボレーションは、なかなか貴重だ。展望フロアには、五稜郭の歴史を解説する模型とかも置いてあって、ぐるっと一周見て回った。
暗闇に「誠」の文字がぼんやり浮かび上がるエレベーターに乗って地上に戻ってきた後は、六花亭の五稜郭店で軽くお買い物をした。お店の壁一面が大きくガラス張りで、五稜郭公園の景色が借景になっており、これまた綺麗だった。前に人から貰って以来気に入っている六花のつゆと、あと偶然見つけた「べこ餅」という初見の餅を購入した。何かはよく分からないけれど、私は餅が好きなので、気になった餅は積極的に買うようにして生きている。
路面電車に乗って再びベイエリアに戻ってきて、さすがにちゃんとお腹が空いてきたのでラッキーピエロへ行くことにした。
16:30とかいう、特に食事時でもない時間だから大丈夫かな?と思ったけれど、普通に行列だった。大型連休中の有名店に時間帯など関係ないらしい。大人しくしばらく並んで、「ダントツ人気No.1セット」という分かりやすすぎるセットメニューを注文した。チャイニーズチキンバーガーと、オリジナルポテトと、ウーロン茶(固定)。このチャイニーズチキンバーガー、甘辛いタレに漬かった唐揚げ3個とレタスとマヨネーズが入ったハンバーガーなのだけど、あらゆるブログとかYouTubeとかで美味しいと絶賛されていて、是非食べてみたいなと思っていたのだ。いざ実食。
…結論から言うと、自分の中でちょっと期待値を上げすぎていたかもしれない。確かに美味しい。確かに美味しいのだけど(というか上記の組み合わせで不味くなるはずがない)、感激!みたいなことにはならなかった。あと、この唐揚げ、ハンバーガーにするより、ご飯にのせてマヨネーズかけて食べた方が美味しいのでは?という疑念が浮かんでしまい、白米欲しいな…と思いながらハンバーガーを食べるという、不思議な経験をした。
ラビスタ函館ベイにチェックイン。シングルで予約していたのだけど、ツインにアップグレードしてもらえて嬉しかった。(恐らく)当初の予定より大きな部屋の窓からは、ベイエリアと函館山が一望できてこれもまた良し。今回の旅行ではホテル滞在もとても楽しみにしていた。チェックインするやいなや大浴場へ行くぞ!と意気込んでいたところ、お部屋にちゃんと湯籠が用意されていて、そこにバスタオルとフェイスタオルだけでなく、濡れたタオルを入れる用のビニール袋まで入れられていて、あと館内どこでも着て出歩きOKの楽チンな館内着もあって、一発でラビスタ函館ベイさんの虜になった。明日までよろしくお願いします。
そして大浴場へ。まだ早めの夕ご飯時、ぐらいの時間なので、人も少なく、心ゆくまでリラックスできた。特に函館の海と山を一望できる露天風呂が最高だった。今回、一般的には函館観光のメインとも言える函館山からの夜景を、混雑しそう、寒そう、ゆえに一人はキツそう、という理由でプランから外していて、若干の心残りもあったのだけど、この露天風呂でひんやりとした外気を顔に浴びながら函館の夕暮れをゆったりと堪能したことにより、後悔が消え去った。この選択は完全に正解であった。
お風呂のアメニティも、シャンプー、リンス、ボディーソープは当然のこととして、クレンジングジェル、化粧水、乳液、ボディークリーム、ヘアオイルまで揃っていて(なぜか洗顔フォームだけ見つけられなかった)、ドライヤーはダイソンとかで、充実度が凄かった。
お風呂上がりには、函館の夜景が眺められる湯上がりスペースで無料のアイスキャンディーを食べた。その後は部屋に戻ってごろごろして、しばらくして大浴場の混雑状況(テレビの館内チャンネルでチェックできる)が「やや混雑」になっているのをフフフ…と思いながら見つめたりして過ごした。
予想通り夜に小腹が空いたので、22時に無料の夜鳴きそばを食べに行った。
2024年4月30日 朝から帰るまで
おはようございます。朝食ビュッフェは6:30オープンだそうです。
ラビスタ函館ベイは朝食ビュッフェが大人気で、時間帯をミスると待ち時間が物凄く長くなる、という情報を入手していたので、6:10に会場へ行ってみた。ら、既に30人ぐらい並んでいてちょっと引いた(来てる自分もその一員なのに)。列に加わると、多分前倒しで6:15頃にオープンとなったので助かった。一人で気兼ねなく座れる窓際の席も確保できた。
ここの朝食ビュッフェは、セルフ海鮮丼という、自分でイクラとかの海の幸を丼に載せまくれるコーナーがあって、それが人気の要因なのだけど、私は海鮮が苦手なので、その醍醐味を一切無視して、空いている洋食コーナーで、シェフにオムレツを焼いてもらうなどして、自分の好きなTHE ホテルの朝ご飯を作り上げて食べた。でも、このプレートにも、ザンギとか、北海道ミルクプリンとか、カツゲン(北海道の乳酸菌飲料)とか、北の大地の味覚は慎ましく含まれている。
せっかくだからスープカレーも食べた。ちょっと辛かった。二巡目で抹茶ムースが2つあるのは、1つ目の抹茶ムースを取った後、スイートポテトを取ろうとした時に、抹茶ムースコーナーに落下させてしまい、そこで被害に遭わせてしまったムースを引き取ったから。責任の抹茶ムース。ちなみにカツゲンが割と気に入っている。
私も海老とか明太子とかは食べられるので、このビュッフェのメインであるセルフ海鮮丼も記念にやっておくべきかなぁと思ったのだけど、そこのコーナーだけ人混みがとにかく凄くて、これは俄かの出る幕じゃないなと思ってやっぱり止めておいた。
三巡目に北海道ミルクソフトクリームを食べたらお腹がパンパンになった。1つ1つのメニューが抜かりなく美味しかった。ごちそうさまでした。
部屋に戻って一休みして、朝風呂へ。小雨が降っていたので露天風呂は若干ハードモードだったけど、気持ち良かった。ホテル内に無料のドリンクマシンが設置してあるので、温かいココアを部屋に持って帰ってまたのんびりした。朝ドラの虎に翼を見たり、ベイエリア付近のマンションの家賃を調べたりして過ごした。「エアコン付き」を条件に入れると一気にヒット件数が減って、地域の違いを感じた。
11:00ギリギリまでのんびりしてチェックアウト。今日は天気が芳しくないので、新幹線の時間まで、金森赤レンガ倉庫周辺の屋内施設でウインドウショッピングをしようと思っている。「はこだて海鮮市場」という所に、海鮮か…と思いながら一応入ってみたら、北海道のお土産は全部ここに置いときましたから!!と言わんばかりの馬鹿デカお土産施設でびっくりした。海鮮もお菓子もお肉も乳製品も、すべてがそこにあって圧倒された。赤レンガ倉庫内のお店で、自分用のお土産に鹿をモチーフにしたコースターも買った。北海道に関係があるのか無いのかはよく分からないが、可愛いので良い。
ゆっくり歩いて函館駅へ。帰りの駅弁として、駅前のハセガワストアでやきとり弁当を買った(このやきとりは豚肉である)。あと、駅構内のお土産屋さんで昨日とは違う形のべこ餅を発見したので購入した。
ひとたび在来線に乗ってしまえば、あれよあれよという間に新幹線へ。新函館北斗駅での在来線と新幹線の乗り継ぎ時間は行きも帰りも10分強しかなくて、しかもダイヤが完全に連動していて乗り逃すと終了なので、新函館北斗駅を見物する時間は全くなかった。本当に経由地としての駅でしかないのが潔かった。将来的にはもっと発展したりするのかな。
帰りは、疲れもあったのかもしれないけれど、乗り物酔いの薬の副作用である眠気が行きよりも強く出た感じがして、想定以上にウトウトしてしまった。車窓、もっと見たかった。やきとり弁当は大きさもちょうど良くて美味しかった。
東京に着いたら気温が20℃を超えていて、またトレンチコートが邪魔になってしまった。
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