牛スジで救える休日がある
外出自粛、おうち時間の充実が声高に叫ばれて久しい昨今。
世の中が清潔で人の往来が激しかった頃から、持ち前の交友関係の狭さとインドア精神が原因でほぼ毎週末ヒマを持て余していた私は、今週末もやっぱりヒマだった。こういう時は、迷うことなく牛スジを煮込むとよい。
牛スジを鍋に放り込み、浸るくらいの水を入れて火にかける。
ここで台所のプラスチックごみが溜まってきたので、(火には目を配りつつ)ベランダへ置きに行く。いつもゲームをしながら奇声を発している隣人が、今日は静かだ。不要不急の外出をしているのかな。
沸騰してくると、驚くべき量の灰汁が出てくるので興奮する。鍋の上半分は、火が通った肉が浮いているようにも見えるが、この茶色は全部灰汁だからすごい。
灰汁と水を捨てて鍋を綺麗にし、牛スジを水で洗い、食べやすい大きさに切る。この「火が通った状態の肉を水道水で洗う」という動作が、牛スジを煮込む時以外には経験しないものなので、毎度新鮮に感じる。
もう一度鍋に牛スジと水を入れ、加えてネギと生姜と料理酒も投入し、火にかける。
本当は長ネギの白い部分と生姜一片を入れるべきなのだけれど、あいにく冷蔵庫に無かったので、青ネギと生姜チューブを入れた。これだと臭みを取る効果は無いのかもしれないけれど、こういうのは気持ちが大事なので深く考えないこととする。自分以外の誰かに食べさせる予定もないので。
ここから1時間半ぐらい黙って煮続ける。
タカラジェンヌがお城を見学する番組を録画していたので見てみたが、タカラジェンヌの顔の美しさ以外の情報が何一つ頭に入ってこなかったので、早送りしたら一瞬で見終わってしまった。
鍋を覗き、少しかき混ぜたりしてみる。
ベランダで日光浴させている観葉植物の様子を見に行く。葉っぱが黄色くなってきていて、いよいよ枯れてしまうのかな…という鉢が1つあり心許ないが、この葉の名前が未だに分からない。分からないまま枯れてしまうのか。ホームセンターでちゃんと見て買えば良かった。
鍋を覗き、ほほぅ。と言う。
このあと使うコンニャクの下処理をする。コンニャクは包丁で切るより手でちぎった方が味が染み込みやすいという。フヒヒ…とほくそ笑みながらコンニャクを素手でちぎる。こんな妖怪がいそうだ。
鍋を覗き、少し水を足す。
ソファに座ってtwitterを眺める。
1時間半経った。twitterって怖い。
良い感じにグツグツとしているし、だいぶ柔らかくなっている。(ネギは取り除きました。)
一旦鍋を空っぽにし、再度牛スジ、加えてコンニャク、水、酒、みりん、砂糖を投入。また15分くらい煮る。頑張れコンロ。
だし入り味噌と醤油を投入。あとは煮汁がほぼ無くなるまで煮る。煮る。煮る。あ、ネギを切っておこう。
完成。笑顔がこぼれる美味しさです。お疲れさまでした。
白米との相性抜群やでしかし。と思いながら箸を進めていたら、隣人の奇声が聞こえてきた。帰ってきたのか。
ちなみに、煮汁は中華スープの素と塩胡椒で味をととのえれば、それっぽいスープになります。(お椀の主張が強い。)
牛スジは、時間をかけて煮込めば煮込むほど柔らかくトロトロになるので、ヒマ潰しにぴったり。
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