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バツイチ 跡取り 寂しさ

娘が4歳になる前に離婚した。
私は両親が遅くに生まれた次女なので、離婚後出戻ったときには高齢の両親のもとに置いてもらうことになった。
幼い娘と私。
年金暮らしの両親のお荷物になってしまったのだ。
自分の仕事、娘の保育園、将来の不安。
そんな私に父親が言った言葉は。
「お前は自分たちのことをお荷物と思っとるけど、俺らの方がお荷物なんやで。戻って来てくれて嬉しいんやでな。ずっとおれよ。」と。
 どんなに高齢であろうと、両親のもとに置いてもらえることは精神的にも金銭的にも心強く、非常にありがたかった。
 年金暮らしでありながらも、先々、私と娘が暮らしやすいようにと水回りのリフォームもしてくれた。
 女二人姉妹の長女は隣町の長男に嫁いでしまい、跡取りを失った両親にとっては孫まで一緒に戻ってきて嬉しかったのだろう。
 この先、私は誰のことも好きにならず、娘と両親のために生きて行くのだろうと思ったのだ。
  その数年後、父親は転倒し入院。そのまま病院で肺炎になり亡くなってしまった。
 そしてその数年後に娘の不登校、母親の認知症、施設入所。と、もう抱えきれない出来事が一気に押し寄せてきた。
まぁそのことについては後々に記せればと思っている。

 父親が亡くなって、もう12年くらい過ぎたかな。
それは置いといて、先に述べたリフォーム箇所も不具合が出つつ、修理が必要となってきた。母親は施設入所で金銭的な支援も得られずにいる。
隠しておいた札束とかないかと押し入れを漁ってみた。
なんと父親の生命保険の証書が出てきた。
平成のはじめ頃にこっそりつくったらしい姉名義の通帳と一緒に。
父親が姉名義で通帳をつくり、自分の生命保険をかけ、受取人を姉にしていたのだ。
姉は長女であり、跡取りとして育てられ、賢くて、まっとうに生きている。
何かあれば頼るべき娘。
年の離れた姉であり、たぶん通帳をつくったころ私はまだ学生だった。
 父親自身、通帳も生命保険ももうすっかり忘れていただろうことだけど、受取人が姉だけであったことに悲しい気持ちになってしまっている。
 そして、父親が亡くなって10年以上経ち、生命保険の受取も無効であるだろうこと。
人生生きているとドラマのようなことが度々起こるものだ。
と、つくづく思う。

#バツイチ
#出戻り
#生命保険

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