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基礎知識シリーズ:ステルス板読み アルゴ時代の世界一複雑な成行・指値注文の説明
■日本の金融リテラシー問題
最近Xの投稿でよく
初心者向けの…
株式投資始めたばかりでも…
のような言葉をよく見ます。
考えてもみれば僕を始め一度は証券会社に勤めたことのある方は
外務員資格1種と2種(最近は1つになった?)取得がいうなれば車を運転するための免許証のようなもので、その資格を取る際に最低限の基礎知識を覚えなくてはいけません。
また一部米系証券会社で働くとSeries7(シリーズ7)といういわゆる米国証券外務員資格を取ることを必須としている会社があります(僕が在籍したソロモンブラザーズ→シティグループ証券は必須でした)
このSeries7というのが曲者でもちろん現物株や先物OPは当然のこと米国債(トレジャリー)だけでなく米国地方債までが試験範囲、もちろん英語です。試験時間も5時間くらい?でちゃんと勉強した記憶があります。
そのような資格試験があればこの人は基礎知識があるかないということがはっきりわかりますが、もちろん個人投資家が基礎知識を計る材料はほぼ皆無だし、言ってみれば一部教えている側も皆様とおなじアマチュア(無資格だという点)
アマがアマに教わるという状態
そんな初心者の方がアマ先生に基礎を教えて欲しいという話になった時に何を教えるのかすごく興味があります。
実はこんな調査があって僕は毎年興味深く見ています。
これは2022年版なので若干現状と乖離があるかもですがご紹介します。
このページが非常に面白い結果です。
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金融トラブルは金融教育を受けている客観評価と自己評価にギャップがある人が引っ掛かりやすい。
XのTL見てるといますよね自信満々の人 (笑)
あと機関の売りとか言っている人もあやしいです
実は『俺は何でも知っている』という思い込みこそ一番危険であり、またそのような方から教わっている初心者はもっと危険だということも言えると思います。
思い込みの伝播
国際比較すると日本の現状がよくわかります。
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つまりOECD調査参加国10か国中日本人のレベルは第8位。
インフレに対する理解が低いのは何となくわかります。
海外のようなハイパーインフレを経験したことがないからでしょう。
また分散投資に関しての理解が低い!
日本市場はガラパゴス化著しいとよく言われますがドメスティックバイアスが強い発展途上国並みの理解かもしれません。ただNISAや確定拠出型年金の普及でACWI物が普及して来ているのは良い傾向です。
こんな状況を踏まえて投資初心者に何を教えたらよいのでしょうか?
それは決して儲かりそうな銘柄ではないし、チャートや需給の見方ではありません。
もっと基本的な事…
Xが異常なのかわかりませんが金儲けに行き過ぎ。
そんなに簡単に金儲けができる訳ありません。
ちゃんと投資して稼いでいる方は、皆さんが想像するよりも日々コツコツと勉強し経験値を積んでいます。とてつもない時間をかけたにも関わらず、失敗もしたでしょう。それを糧にさらに負けないために日々研鑽しているのです。
それがちょっとラッキーで億トレになったようなアマ先生の謎な手法を教えられる175製造マシーンに乗っかっているケースが多々見られ、今の状況が危機的に思えるのです。
ただ株にはギャンブル的要素もありますし、それも楽しみの一つ。
僕も好きです
ならば初心者向け株ギャンブル講座にすればよいわけですし、それの方がわかりやすいし話が早い (笑)
そんな現状もあって僕はファンクラブを作ってファンクラブ会員の方にはそうならずに基礎を固めて大海原に出て行って欲しいと思っています。
いやそれよりも投資を楽しんで欲しいと思っています。
■何から教えれば良いのだろう?
株式投資で金儲けの仕方は知っているけれどルールは知らない…
シンガポールやマカオのカジノに行ったことがある方ならわかると思いますがそんな状態でテーブルに着いたら簡単にかもられます (笑)
それでも儲かってしまうのが今の株式市場
とにかく地合いが良いのです
〇〇さんから学ばせていただきます
いやいや学ぶではなく真似るでしょ 苦笑
もっと言うと175しまーす
そんな投稿を見ていると何とも微妙な感じになってしまうのですが、やはり今の個人投資家は自分で考えることが非常に苦手だなと感じます。
X始めsnsの弊害ですが、良さげな情報が簡単に手に入ります。
もしわからないことがあれば人に頼らず、ご自身で調べる方がよっぽど身に付くはず。それを人に頼ろうとするから簡単・楽な道を選んで投資詐欺だとかにひっかかってしまうこともあります。
世の中にはネットに様々な情報が存在するし、Amazonで探せば投資系の本などいくらでも探せます。
ただ問題は内容が濃いと作者の恣意性まで強くなってしまうことも少なくありません。
東証や各証券会社サイトには初心者向け投資の始め方が乗っています。
こんな身近なところから学び、自分で考えて取引を開始するなんてのが理想ではないかと思います。
東証マネ部!ですが先に進むと結構難しいことも書いてありお勧めです。
僕は世の中に出回っていること、例えば調べればわかるようなことをリピートしてあえて書く必要はないし、そんなコピペのようなことするほど時間もないのでやりません。
僕がnoteに記事にしていることはほぼ全てブランニュー。
だから時間がかかる (笑)
多分これまでで一番まずい記事(笑)はブロックトレードやアルゴの記事かと思いますが、せっかくなので中にいた人が中にいないとわからないリアルを書いているつもりです。
そこは知的欲求を満たすパート。知らないことを知りたいと思う方向けなのかなと思います。
でもあえて誰もがわかり切っていることを僕流に説明して今の株式市場を説明するというのには価値があると思い今回この記事を書こうと思いました。
■板寄せ方式とザラ場方式を説明できますか?
株式売買を始めるときに一番最初に知らなくてはならないのは発注の仕方。
幾ら良い銘柄を探すことが出来ても、幾らマクロ動向の先読みが出来ても注文を発注できなければアイデアを具体化できません(一生バーチャなら別)
注文を出すときは
・売買の別
・銘柄
・株数
・注文方法
を決めて発注するわけですが、そもそもどのように売買が成立するか考えたことはありますか?
東証は板寄せ方式とザラ場方式という方法で売買を成立(約定)しています。
・板寄せ方式
板寄せ方式とは寄付き、引け、売買が中断後再開時、特別気配や連続気配表示時等取引が行われていない時間帯に受け付けた注文を、同時に受け付けたとみなして売り呼び値と買い呼び値を優先順位が高いものから対当(注1)させていく方式。この場合の優先順位とは成り行き注文優先、指値注文に関しては価格優先。
(注1)この場合の対当と対当売買は意味が違います
時間優先は適用されません。(各証券会社毎の配分ルールでは適用されることがあるのでお取引証券会社の配分ルールをご確認ください)
板寄せ方式は発注をしている時マーケットは基本開いてませんので注文は全て同時刻で受付されたものとみなされます。
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上記の場合A証券の100株が100円買いに残ることになります。
板寄せ方式での注意点をいくつか
1.板寄せ中はすべての注文の受付時間は同時刻になります。指値と同値で板寄せされた場合対当された株数に過不足があり配分が必要になった場合は配分ルール(注2)が適用されます。
2.前場買い気配が出ていて後場突然寄り付く(板寄せされる)場合前場の注文は後場寄り前に再度同時刻に受け付けられたとみなされます。
(注2)配分ルール:証券会社を注文の多い証券会社順に並べ、多い証券会社から1単位毎配分を繰り返す方法。S高やS安の配分取りする時に地方の地場証券経由で注文出すと配分が取りやすいのと同じ議論
・ザラ場方式
ザラ場方式とは取引時間中に株価が決まる方式で板(気配値)の売り呼び値と買い呼び値の状況に合わせて都度取引が成立して株価が成立する方式。
下記優先の原則によって対当した数量・価格で次々と約定されていきます。
時間優先の原則は、同じ銘柄に対して同じ価格で指値注文があった際に適用されるルールで、注文を受け付けた時間が早い順に約定するものです。
価格優先の原則とは、売り注文だと一番低い値段の注文が優先、買い注文だと一番高い値段の注文が優先されるものです。
さらに注文方法でも優先順位が異なります。
板寄せ方式でも出てきていますが成り行き注文優先であることはザラ場方式でも変わりません。
指値注文はその名の通りこの値段で買いたい(売りたい)、ここまでの値段で買いたい(売りたい)を指定する注文。この値段は当日の上限下限の範囲内。
成り行き注文は幾らでも良いから買いたい(売りたい)値段を指定しない注文。
例えば先ほど紹介した図➀で板寄せされた銘柄は以下のような状態からザラ場取引に移行します。
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板寄せ後注文が何も入らなければ寄り付いた100円で全約定せず配分ルールで残ったA証券100株100円指値と未出来だったD証券200株101円指値が板に残った状態からスタートします。
■成り行き注文と指値注文の奥深さ
ここまで説明して板寄せ方式とザラ場方式での優先順位をまとめます。
➀成り行き注文
②指値注文(板寄せザラ場方式共に買い注文は値段が高い方、売り注文は値段が安い方が優先)
③指値注文(ザラ場では注文の受付時間が早い方が優先)
お待たせしました!
ここからかえるワールド始まります (笑)
ここで前の僕の投稿を思い出してください。
成り行き注文と指値注文は単に注文方法の違いではありません
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