事業貢献のために情シスがやった業務改善の取り組み
LayerX Fintech 事業部から三井物産デジタル・アセットマネジメント(以下、MDM)へ出向している piroshi です。
私の所属するコーポレートシステム部 / CorpOps チームは、いわゆる情シス部門としての役割をもっており、間接部門にあたります。間接部門に共通する悩みとして、直接的な事業への貢献を示すことが難しく、モヤモヤを感じることがあるかと思います。私たちにはありました。
そこで、今回チームとして「より直接的に事業貢献する」という目標を掲げ、今回取り組んだ活動を紹介させていただきます。
CorpOps チームの位置付けと課題感
冒頭でも触れた通り、CorpOps チームには「情報システム部門」、「プロダクトのインフラ担当 (主に統制・セキュリティ領域)」を担当している部門です。組織内のサポートやガバナンスにおける第 2 線としての役割を担うシーンが多いです。
組織の一員である以上、事業への貢献を意識しながらも、売上の増加などの直接的な貢献は難しい立場にあります。全社ミーティングで事業計画や予算達成状況の共有があるたびに、我々にできることは何か、どのように貢献できるかを考えていました。
本取り組みのきっかけ
当社は事業戦略の一環として、アライアンスの拡大に力をいれています。パートナーシップによりリーチできる顧客層を広げ、売上の増加を目指すものです。
日々のヘルプデスク業務を通じて、アライアンス担当部門が各社との間で共有ストレージを使って情報を共有しているのは見てきました。このプロセスは、多大な手間(人手)を要し、今後パートナー企業様の数が増えるにつれて、より一層のボトルネックとなることが予想されます。(というか、そのツラみの吐露を聞いていました。)
実際にパートナー様との具体的な協業が始まるタイミングで、我々 CorpOps チームはアライアンス担当部署へ協力を申し出ました。
具体的にやったこと
以下の通り進めました。
(1) ニーズのヒアリングと分析:
まず、アライアンス担当部門の詳細な課題とニーズを理解するためにヒアリングの場を設けました。Miro を使用して、関連する組織・システム、業務オペレーション、取り扱うデータを洗い出し、全体感を把握しました。
そのうえで、業務の発生頻度等を考慮して、改善対象のスコープを決定しました。
(2) 改善策の検討 (PoC, 要件の調整)
次に、スコープとした業務プロセスのフローを書き出して、チーム内で改善策を検討しました。ポイントを置いたのは以下の 3 点です。
改善施策の要件
アライアンス部門の手作業を廃止すること
セキュリティを担保すること (認証、データの通信経路、ログ取得、等)
現行の仕様を維持
連携するデータ形式を維持すること (CSV ファイルでダウンロード可)
いくつかのシステム構成案を出して PoC による機能検証を行い、最終的には社内で使用実績のある Amazon QuickSight を用いたシステム構成をとることに決めました。当社の認証基盤である Entra ID と連携し(ゲストユーザを発行)、アクセス権が管理されたダッシュボードにアクセスできる仕組みです。これにより、アライアンス部門の手を介することなく、パートナー企業様が任意のタイミングで情報にアクセスできるようになります。
また、新たな仕組みに移行するうえで、既存の要件の見直しも行いました。業務フローに書き起こした際に「この処理、不要では?」と当たりをつけたデータの加工プロセスについて、パートナー様と相談させていただき廃止することを決定しました。
(3) 実装と展開:
プロトタイプのテストとフィードバックを受けて、最終的なシステムの実装を進めました。認証・認可のシステム (Entra ID, AWS IAM Identity Center など) は CorpOps チームの担当システムですが、プロダクトの本番 DB との接続周りはプロダクト開発部門の役割で、我々が直接的に手を触れてはならない領域です。
そこで、予め開発環境を使ってシステム構成や設定パラメータの検証を行い、その結果をプロダクト開発部門に共有して実装作業をしてもらいました。開発チームも開発業務で非常に忙しいので、我々でできる限りの事前準備をして負担を最小限に抑えるよう努めました。
現在はパートナー企業様に動作確認を行なっていただいている状況です。問題がなければ、温もりのある手作業運用からの脱却が可能となります。
期待される成果
今回の取り組みにより、以下の成果が期待されます。
オペレーションミスによる情報漏洩のリスク軽減: 自動化されたプロセスにより、手作業に起因するエラーと情報漏洩の可能性が大幅に低減
アライアンス担当部署の業務負担軽減: アライアンス担当部署の業務負担が軽減され、彼らがより重要な業務に集中できるようになる
さらに、今後パートナー企業様が増えた際にも横展開しやすい構成となっており、ビジネスのスケールを吸収し持続的な成長を支える目論見も含んでいます。
CorpOps チームとしては、この施策を通じて組織の目標達成に向けて積極的な一歩を踏み出したことに大きな意義を感じています。このプロセスを通じて得た知見と経験は、今後の挑戦に向けた貴重な財産となり、組織のニーズに応える取り組みへのモチベーションとなりました。
最後に
この note では、情報システム部門でもある CorpOps チームが、アライアンス担当部署と協力して業務効率化と事業への積極的な貢献を目指して行ったプロセスを紹介しました。
このような動き方に興味をもっていただいた方、共感していただいた方は、ぜひ下記のの採用ページもご覧いただけると嬉しいです。