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その三:原因論と目的論

 平本式 現場変革リーダー養成講座で学んだことを超圧縮して1分で読めるテキストにまとめる連載、第三回目のテーマは「原因論と目的論」です。


 今回はいきなり自分語りから始めます。

 私はIT関係の企業に勤務していまして、コンピュータのプログラムのエラーと格闘するような仕事をすることがあります。この仕事、私はわりと得意なんですよ。問題箇所を手際よくしらみつぶしにしていくのが。このエラーの原因は何だと考えられるか、「なぜ」を繰り返して思考するのが身体にしみついています。

 この思考パターンはビジネス上の会話でも活躍します。顧客との技術的なミーティングで、「なぜ」を繰り返して原因を解明し、問題解決に導くことでそれなりに評価を得てきました。

 こうした思考パターンを平本式では「原因論」と呼んでいます。「何がダメなんだろう?」、「ダメな理由は何だろう?」という思考を繰り返し、原因を突き詰めていくパターンです。

 原因論が必ずしもNGなわけではありません。上述のビジネスシーンのように、ロジカルさが求められる場面では役立つこともあります。ただし、人間関係がからんだ場面に原因論を持ち込むと、往々にして問題がこじれます。

 また私の話に戻りますが、原因論がうまくいくのはあくまで技術的な問題を取り上げているときだけでした。しかしその原因が人為的なものだとなると、途端にギクシャクしてしまうのです。そのつもりはなくとも、原因追求が人を責めることに繋がってしまうからです。すると原因追求された人は言い訳や保身、あるいは事実の隠蔽をしようとします。これでは問題解決は図れません。

 そうした場面に対して平本式が提唱するのが「目的論」です。目的論とは「どうなったらいい?」から逆算して考える方法論です。

 目的論の思考パターンでは、まず「みんなにとってどうなったらいい?」という目的を問いかけます。そして、そのイメージを共有した上で、「で、今できることは?」という問いに落とし込んでいきます。大きな目的を共有していれば、具体的なアクションが何か必ず出てきます。責任追及と自己保身の応酬になる原因論より建設的です。

 コンピュータのようなモノ相手には原因論でも、人間関係には目的論。心に刻んで日々実践していきたいと思っています。

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