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その一:ステイト

 平本式 現場変革リーダー養成コースでは3ヶ月もの時間をかけて、ボリュームたっぷりな内容をみっちり学びます。それはもうさまざまなあれやこれやをまるで知識の大洪水のようにぶわっと浴びることになりますので、きちんと知るには実際に受講していただくしかないのですが、実際に受講した私がその取っ掛かりを超圧縮してお伝えしようという無謀な企画が本連載です。その第一回目のテーマが「ステイト」です。


 平本式の基本中の基本であり、最初の一歩でありながら、究極奥義や真髄ともいえるのがこのステイトだと個人的には思っています。

 ステイトとはなんぞやって話をまずしなくてはならないのですが、英語のState of Mindの略だそうです。直訳すると「心理状態」とかになるのでしょうか。ですが、平本式ではその訳から連想される意味の範囲を超えて、独自の用語として使用されています。

 例を挙げましょう。あなたが誰かと以下のような会話をしたとします。

話し相手「昨日、温泉に行ってきたんですよ」
あなた「へえー、いいですね」

 このときあなたが発した声の大きさや声の高さ、抑揚、話す速度、表情、目の開き具合、視線の方向、口角の上げ下げ、身ぶり手ぶり、息づかいなどなどの、口調やボディランゲージと呼ばれるものを総称してステイトと呼んでいます。日本語で「身体感情」と呼ぶ場合もあるようです。

 文字で書くと同じ「へえー、いいですね」だったとしても、そうした表現の違いによってまったく異なる印象を受けるのは容易に想像していただけるでしょう。その違いを生んでいるのがステイトです。

 そして、ここからが平本式の極意であり、私が目からウロコをぼろぼろ落とした内容なのですが、平本式には「ステイト1.5倍の法則」という単純でありながら強力な手法があります。

 やることは本当に単純です。常に相手のステイトの1.5倍でリアクションする。これだけです。相手が嬉しそうなときは、明るい雰囲気のプラス1.5倍のステイトで。逆に悲しそうなときは、深刻なマイナス1.5倍のステイトで。口調や表情、仕草を相手の1.5倍強調して返してあげるのです。

 この1.5倍という力加減が大切で、これが数倍にも強調してしまうと大げさすぎて相手が引いてしまいますし、1.5倍に届かないと物足りず、逆に0.5倍みたいに相手を下回ってしまうと共感を得ることができません。1.5倍が話相手にとってちょうど心地よく、なおかつ「この人は私に興味を持っている」と感じてもらえる強度なのです。

 ステイト1.5倍を心がけるだけで、会話がスムーズになり、相手が勝手に話し続けてくれるように感じています。私は対人コミュニケーションに苦手意識を抱えていて、自分自身をずっと口下手だと決めつけていたのですが、ステイト1.5倍を意識してからは大幅に改善されました。どうやら口下手ではなくステイト下手だったようです。

 ステイト1.5倍、だまされたと思ってぜひ試してみてください。きっと驚きますよ。

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