自転車に乗るのに5年かかったんだから、最初からうまくいくわけがないってわかってる
「あぶない!」
寡黙な父が声を荒げる。
「ガシャーン」
公園の花壇に自転車ごと突っ込み自損事故を起こす。
小学生1年生になった時、仲良しの友達に新しいのを買うからと、自転車をもらった。
今考えると、この時点で2つめの自転車に乗り換えている友達とまだ自転車に乗ることができない僕とではだいぶ人生において差がついている気がしたが、そんなことは考えず、自分の自転車を手に入れたことが嬉しくて喜んだ。
早速練習を開始する。
父がいつもついてきてくれて、公園で2人で特訓に励んだ。
ただ、どうしても平衡バランスをうまく保つことができず、5メートルくらい進むと倒れてしまった。
父は最初は笑っていたが、途中から黙って見守ってるだけになったのが失望させているのがわかって自転車を乗りこなせない自分はおかしいんじゃないか?と思うほどになった。
周りの友達は自転車を余裕で乗りこなし、遊ぶ約束をするとみんな自転車で集合するようになっていった。
僕は歩きで行き、移動する時も1人だけ走ってついていったりしていた。
とにかく自転車に乗れるようにならないとという一心で帰って練習を繰り返した。
自転車の乗り方を友達に尋ねても、考えてないとか、感覚というかセンスとしか言わない。
センスが皆無な僕はとにかく練習あるのみだった。
結局低学年の頃は乗りこなすことができず、練習を繰り返していたら、小学5年生の頃、ある日急に乗れるようになった。
乗れるようになると、世界が変わり、気持ちよくて仕方がなかった。
僕は何事も人より時間がかかる。
1回目でセンスがあり、人よりもスタートラインを進んでいたことがない。
スノボは友達と一緒に行き始めたのに、自分だけ、S字まで辿り着くことができてない。
歌もダンスも下手だし、ボーリングも下手だ。
仕事の物覚えも悪い。
でも最近、自分の性能がわかってきた。
だって、自転車乗るのにこんなに時間がかかった、でも乗れるようになった。
人より時間がかかるかもしれないけど、劣っているわけではない。
少しづつ地道にコツコツと取り組めば何だってできるようになることを知っている。
仕事ができなくて落ち込んだ時もあったけど、コツコツとやり続けたら出来るようになった。
妻に地道にコツコツと続けることができるの本当すごいよね、私できないもんと言われたことがある。
自転車にすぐに乗れないかもしれないけど、乗れるまでコツコツと続けることができる。
長くコツコツと続けていくと、結構遠くまで行けるのかもしれない。
テーマはかなえたい夢でした。
「note創作大賞エッセイ部門をとる」とこっそり宣言しておきます。
地道にコツコツと投稿して文章を磨いていきます。
今日も地道にコツコツと取り組もう。