サウンドハウスのプライベートブランド(PB)は音楽文化の底上げに貢献していると思うの。
どうも。リーマンコントラバシストです。今日はヘッドフォンのお話です。
製造業にとってはありがたくも悩みの種でもあろうプライベートブランド(PB)。日本の伝統的な商習慣上、製造業→卸店→小売店、という流れが一般的でした。プライベートブランドというのは小売店が製造業から直接買い付ける(卸店を通さない)ことによって卸店のマージン(利益)を価格に織り込む必要がないタイプの製品群です。
PBの価格優位性は卸店の中間マージンだけではありません。製品価格には製品を運ぶフェリー代やトラック代が含まれます。Distribution Center(DC)を最終販売先の小売店に一括集約することで複数のDCを経由する輸送費を削減することができます。
更に製造時の効率化も見逃せません。このような組み立て製品は作る分だけかかる変動費の他に、何もしなくてかかる固定費の案分が重要です。PBの場合、買い付け側の小売店自身が売る計画を立て一括買取(ロットの集約)を直接交渉できます。つまり製造業の経済最小ロット(製造するのに最も効率的な最小数)を設定することができます。これは強い。
主には以上のような理由でPBの販売価格は一般販売品(製造業→卸店→小売店)と比べてかなり安く設計できます。具体的な例としてファッションでいうとユニクロが最たるビジネスモデルですね。ファッション業界ではもはや当たり前になったSPAって業態です。これは小売店すべてをPBにするという無茶苦茶思い切った戦略だったのです。まじですごい。
https://job.senken.co.jp/shinsotsu/articles/spa-the-study
このPBという仕組み。昔からそんなオイシイ仕組みはわかっていたのですが、小規模小売店(いわゆる商店街)の多かった日本の場合は製品数を手広く扱い、ロットを小分けにしてくれる卸店の役割が重宝されました。流通自体が卸店を前提とした生態系を構成していたので中々実現できなかったという背景ですね。何事も歴史あり。
ところが近年、車社会の発展でインフラが整備され郊外型大規模店の登場、更にインターネット販売が主流になり小売店種が集約されました。すると段々と小売店の発言力が強くなり、一部の製造業も小売店のPBを委託製造(original equipment manufacturer:OEM)するようになってきました。期を同じくして製品のコモディティ化(市場ができ始めたころに高付加価値を持っていた商品の市場価値が低下し、ありふれた商品になること)が加速度的に進んだことも重要です。最新技術がバンバン開発されるような製品群は製造業のブランドが消費者の信頼の担保となります。しかし製造技術が一般化し、技術者が転職市場に出回り始めると一定の品質を保った製品が製造できるようになります。消費者は安全に関わる・所得に対して高価な製品(例えば車)以外の製品は品質よりも価格を優先できるようになってきました。
最近のESG・脱炭素の話題は我々日本人サラリーマンにとって事業の在り方を根本から変えてしまうビッグ・バンのようなものです。豊かな戦後を支えた日本の製造業がどうなってしまうのかわかりませんが、国は国、人は人、それぞれ切り離して考えるべきなのかもしれません。
ところで冒頭からリーマン小噺になってしまいましたが、本稿はタイトル通りヘッドホンの話です。サウンドハウスのPBはご存じClassic Proです。
http://www.classicpro.jp/shop/products.asp
サウンドハウスといえば全ての製品が業界最安と思えるほどの価格攻勢をかけています。都心の一等地にバーンと構えた他の楽器小売店が通行人等のアクセスを期待しているのに対し、全く商売する気がないような土地に店を構えています。その代わり土地・輸送の利を活かしてインターネットで販売するのに特価して価格攻勢をかけられるのです(多分)。
まずモニターヘッドホンといえばSONYのMDR-CD900ST。 密閉型スタジオモニターヘッドホンで素人の私ですらよく雑誌で見かけます。迷ったらコレを買っておけばいいのでしょう。ヘッドホンを見るたびに満足できそうです。これまた見ながら飲む酒が美味そうです。
他にもAKGのK712 PROなど見た目からかっこいいヘッドホン、ブランドイメージの強いヘッドホンと山ほどあります。いやー、いろいろありますね。ほんと欲しい。今度試聴しにいきたい。
妥協できないようなプロが仕事用に使う場合は別として、私のような素人は見た目で選ぶか価格で選びます。オーディオ記事のレビューも読むのは楽しいのですが、実際は環境によって違うので中々その通りにはいきません。そう、私は過去から高い勉強代を支払って痛感しているのです。それならば例えばサウンド・レコーディングマガジンの好きなアーティスト・プロデューサーの写真を見るだけで決めたっていいのです。
そんな中で私が選んでいるのはCLASSIC PROのCPH7000。このコスパの良さは群を抜いています。なんと税込みで¥4,380。ヘッドホン開発者も開発する気をなくすほどの低価格。わからないからとりあえず買っただけなのですが、これがまた私にとっては必要十分。これ満足する品質設計かどうかは膨大な販売数量とそのフィードバックの地道な積み上げによるものでしょう。PBでそこまでできるスタッフ人材・組織力というのがすごい。
やはり幅広い取り扱いではなく音楽機材に特化した小売業だからでしょうか。業界のすそ野の広がりは高価格帯にトライするアーリーアダプターだけではなく、低価格帯で満足するレイトマジョリティを増やすことで達成されます。もともと音楽制作などに興味があったけど敷居が高くて触れなかった層を取り込むことが必要なのです。そのような理由でClassic Proというのは日本の音楽業界の底上げに貢献しているのではないかと思うのです。
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このヘッドホンを繋げるミキサーのアイディアはこちら。
なぜコントラバスでヘッドホンが必要なのか?それはミュートをしているから、、、ってアイディアはこちら。
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