コントラバスのポジションマークは邪道なのか?
アマチュアウッドベーシストにとっての憧れ。それはハイポジション(High Position)。数多の憧れジャズベーシスト達は駆け抜けるように指板上で踊り狂います。クラシック奏者のほうが総じて凄いですが、ジャズ奏者の即興要素ゆえのリアルタイム感で駆け抜けるありさまは正にスリリング。あんな風に弾けたらいいのになぁ、とYoutubeを観ながらポテチをビールで流し込むおっさんにそんな日は決して来ない。
なぜハイポジション(以下ハイポジ)に憧れるのでしょうか?あそこには一体何があるというのでしょうか?もはやそんな自問すら発生するほど謎めいたエリアでしたが、高い山も少しずつ近づけば違う景色が見えるように、普段のエクササイズの一歩づつの歩みで景色が変わってきました。
通常ジャズベーシストが最初に取り組むのはウォーキングベースです。主に低音を支えることを求められますし、単純に気持ちいいのでおおむね低音域で演奏する時間が極端に多いです。
コントラバスの演奏法で変わっているのは、楽器の大きさゆえにポジションごとに運指が極端に違う点ではないでしょうか。つまりポジションを変えるごとに違う楽器を弾くようなものです(大げさ?)。総じてエレキベースのフレットでいえば7フレット目(G弦のD)までが最初の頻出ポジションです。次に10フレット目(G弦のF)まででしょうか。この2種のポジションは親指の位置が違うのでそれぞれ練習しないと慣れません。最後に所謂ハイポジは11フレット目(G弦のF#)以降。ここら辺から極端に半音ピッチが狭く、ちょっと位置がずれるだけで音程が変わります。しかも頼みの親指は変な位置にあって頼りがいがありません。まさに暗闇。音感のないへっぽこベーシストには怖くて立ち寄れないエリアになります。
しかし光明が挿しています。弦楽器のいいところはハーモニクスが使える点です。12フレット目(G弦のG)、17フレット目(G弦のD)、24フレット目(G弦のG)、29フレット目(G弦のD)の上でハーモニクスを鳴らすと位置は多少違っても音程は合っています。しかし、そんな便利なハーモニクスも位置がわからなければ使えません。だからこそアマチュアはポジションマークを付けるべきなのです。登りたい山があったとしてもガイドラインがないと挑戦すらできません。危険な山にガイドが置かれたとして誰がそれを笑うでしょうか。なにせ我々は楽器の熟練に時間を割けないアマチュアなのです(言い訳めいてきたな)。大事なのは見た目ではなく音楽なのです(どの口が言うのか)。
工房によっては指板にポジションマークを埋め込んでくれるところもあるようです。ただとりあえずだったらシールで十分ですね。ちょくちょく剥がれますけど気にせず貼り付けてはいかがでしょうか?魅惑のハイポジの世界を探索してみましょう。
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