ぴろ

訪問診療を行いながら地域のニーズに合わせた様々な取り組みをサポートしている医師です。 …

ぴろ

訪問診療を行いながら地域のニーズに合わせた様々な取り組みをサポートしている医師です。 日本全国の素敵な取り組みをしている医療介護福祉団体を行脚したりしています。普段感じたことを書き留めていきます。 旅先でおいしいコーヒーを街歩きしながら飲むのが好きです。

最近の記事

ご近所さん

「あ、これ、ご近所さんにもらったので、よかったら一緒に食べましょう!」 一緒に住んでいるインド人の彼は、よくこう言って僕にご飯を分けてくれる。 彼はとにかくご近所の方と仲がいい。 最近は近所の方とイルミネーションを見に行ったそうだ。 日本人の僕でも知らない土地で近所の方と仲良くなるのにはハードルが高いというのに、国も言語も違う彼がそれを自然に行っている姿に、不思議なむず痒さを感じる。 もしかしたら「そんなことをすると変に思われるのではないか・・・」と思い込んで行動しない

    • みかんと水羊かん

      半年前くらいから訪問診療に行っている方がいる。 仮にAさんとしよう。 Aさんの病気は、体をうまく動かすことがだんだんとできなくなり、最後には話すことやご飯を食べることも難しくなってしまうものだ。 Aさんも病気が進行し、話すことがほとんどできず、口からご飯は食べれず胃ろうで栄養を撮っていらっしゃった。 そのため、診察の時はうなずきやちょっとした声、指で丸を作ってもらう、などしてコミュニケーションを取っていた。 ある日の診察。 いつものように、うなずきやジェスチャーでコ

      • 新×旧

        新しい土地に来たら、その土地「らしさ」を感じる場所にいきたくなる。 その土地の産業が感じられるようなところもその一つだ。 今日は住んでる場所の近くの伝統工芸品の産地をふらついてみた。 町に馴染んで工場があり、直売所もちらほら点在している。 ふらっとそのなかの1つのお店に入ってみる。 職人さんが1つ1つ丁寧に仕上げた作品が並べられている。 細部まで行き届いた、鍛え抜かれた技術に、尊敬の気持ちが生まれる。 その中で、ちょっと気になったモノを手にとる。 どうやら僕は、伝統工

        • ゼロイチ

          関東で雪が降った。 ニュースでは、雪景色になった東京の街並みが映る。 スリップした車が原因で渋滞する道の様子をキャスターが伝える。 このニュースを見ながら 「ん〜な〜んだ、そんなもんか〜」 なんて思い、コタツでみかんを食べる。 あれ? ちょっと待てよ。 ちょっと前までの自分なら「うぁ〜こんなに雪降って大変…」って思っていたのでは?? そう。 雪国に暮らしたった数回雪を体験しただけで、いつのまにか「雪マウンティング」をとってしまっていた。 悲しいことだが、どうやら雪に

        ご近所さん

          おくりもの

          誕生日、結婚式、クリスマス。 それに、ちょっとしたお土産。 誰かに贈り物をする機会は日常にちょくちょく現れる。 僕はこの「誰かに贈り物を選ぶ時間」が好きだ。 そんなことを想像しながら、いろんなお店を巡る。 そして、いいな!と思えるモノを見つけると嬉しくなる。 プレゼントを渡して喜んでもらう瞬間も好きなのだが、相手のことを考えて過ごすこの時間が、どこか心があたたくなってもっと好きなのである。 明日、そんな時間を満喫できると思うと、今から楽しみである。

          おくりもの

          「日常になる」ということ

          朝、目を覚ます。 窓から外をのぞいてみると一面の雪景色になっていた。 きっとこれが旅行に来ている状況だったら、ただただテンションが上がっていたのかもしれない。 しかし、残念ながらここは自宅。 そして、今日は月曜日。 つまり、朝から雪かきをして雪道と格闘して出勤しないといけないのだ。 雪景色なんてスキー場か冬の北海道旅行でしか見たことがなかった僕にとっては、雪は「レジャー」でしかなかった。 雪が「日常になる」というのはこういうことなんだな・・・と朝から体を動かしながら身

          「日常になる」ということ

          本屋さんと知らない世界

          本屋に来た。 コロナになってからネットで本を買うことが増えていたため、とても久しぶりだ。 ひとまず目当ての本を探しに本棚の間をふらつく。 すると、目的ではなかった本が気になって手に取る。 ちょっと中身をチラ見する。 こうして気がつくとけっこうな時間を本屋ですごしてしまい、手には買う予定のなかった本が握られている。 そういえば、本屋は自分の知らない世界との偶然の出会いがたくさんあり、好奇心のくすぐられる場所だった。 久しぶりにこういう時間を味わえてちょっと心が豊かになった

          本屋さんと知らない世界

          疲れてるんじゃない?

          仕事関係で失敗をした。 自分が悪かったなぁ・・・と反省をしていた。 少し凹んでいる自分をみた友人や上司が話を聞いてくれた。 そんな中で、ある人にこんなことを言われた。 「そっか〜疲れてたんじゃない?」 この言葉を聞いた時に、すっと気持ちが楽になった。 自分が悪かった、と反省していたし、一方で自分以外の要素がよくなかったんじゃない?という見方もできるのも理解できる。 だから、どちらがいいとか悪いとかいう判断をせず、ただ、「疲れていた」というのが原因だと言ってくれたこと

          疲れてるんじゃない?

          余白

          久しぶりに海にきた。 潮の香りを感じ、浜辺で遊ぶ子供たちや犬を散歩する人を見ながら、海沿いを歩く。 寄せては返す波の音が心地よい。 海を眺めて波の音を聞いていると、日々の些細なことを忘れて、自分の中に「余白」ができてくるような感覚になる。 そうすると、いつもはあまり考えられないようなアイディアが浮かんでくる。 目の前のやるべきことに追われていると、自分の中の「余白」がなくなっていくのかもしれない。 こうしてたまには海にでもきて、「余白」を取り戻したいな、と思った。

          優しさのバトンパス

          お昼。 家の掃除が終わると同居のインド人が「一緒にご飯を食べましょう!」と声をかけてきた。 台所で何やら温めて準備をしている彼の横で自分で料理を作ろうとしたら、彼から「これ、食べましょう!」と皿を渡される。 ロールキャベツだ。 彼に聞くと、知り合いからいただいたおすそわけだそうだ。 おすそわけされたものをまたおすそわけされるのは、どこか、優しさがバトンパスされるようで、暖かくなった。

          優しさのバトンパス

          ネガティブのコップ

          最近、ネガティブな発言が多いよ、と指摘された。 確かに振り返ってみると、 あれ? 俺、こんなにネガティブな話するほうだっけ? と思うくらい、ネガティブな発言が多くなっている気がする。 なぜだろうな〜と考えてみると、どうも、周りからネガティブを受け取る機会が多かったようだ。 そして自覚がないうちに、周りのネガティブを自分が勝手に受け取って、ネガティブのコップを溢れさせてしまったようだ。 自分の受け取れる感情には限界がある。 それを自覚せずに受け取り続けていると、気がつく

          ネガティブのコップ

          晴れ間

          朝、目が覚める。 いつもより部屋が寒い。 ベッドから出るのがちょっと億劫になる。 なんとかベッドから抜け出し支度をして外に出る。 そこでいつもより寒い理由を知る。 「あ、晴れてる」 雲がほとんどない快晴。 青空をみたのは10日ぶりくらいな気がする。 いつもよりテンションが上がり、軽くなる足取り。 冷えた空気とは裏腹に暖かくなる体。 気分もちょっとスッキリしてくる。 どうやら冬でも天気がいい地域で育った僕には、晴れた空を見ながら日々を過ごすことは大切だったようだ。 こ

          晴れ間

          メガネワールド

          僕は目が悪い。 普段はコンタクトをしており、メガネをつけるのは家でくつろいでいる時のみだ。 しかし、在宅医療を行うようになり、深夜にお看取りに行く回数が増えた。そういう時はどうしてもメガネをかけていくことになる。 そのため、ちょっといいメガネ買うか〜なんて思い、いい感じのメガネ屋さんに行くこととした。 軽い気持ちで踏み出したのに、完全にメガネの世界に魅了されてしまったのだ。 新たな世界が開けた瞬間である。 メガネ愛に溢れる店員さんの話を聴きながら、こうして知らなかっ

          メガネワールド

          How do you spend 年越し?

          一緒に住んでいるインド人と、年末年始はどうするのかという話になった。 彼はもちろん今年は日本で年末年始を過ごすことになるため、日本の年越しってどんなものかを話すことにした。 あまり自分たちの年越しを言葉にして誰かに伝えたことはなかったが、こうして言葉にすると、なんか不思議な文化だな〜なんて思った。 コロナになってから海外に行く機会がめっきりなくなり、自分の国の当たり前を考える機会が減ってしまったが、こうして彼と住んでいることでその感覚をまた得られるのは、すごく嬉しいなと

          How do you spend 年越し?

          スーパーマーケット

          仕事帰りにスーパーに立ち寄る。 今日何作ろうかな〜? あれ、冷蔵庫には何があったっけ? そんなことを思いながら、スーパーの食材をながめる。 そういえば、コロナになってから自炊をするようになって、スーパーにいく回数が増えた気がする。 今日の食事のことを考えながらの買い物の時間はけっこう楽しいものだ、ということはコロナがなければ知らなかったかもしれない。 そんなことを考えつつ、今日の食事を決めてレジに向かう。 お! 明日はいいことあるかもしれない。

          スーパーマーケット

          お裾分けのりんご

          長野の友人がりんごを送ってくれた。 味は問題ないけれど、形があまりよくないため流通にはのせられない、とのことでお裾分けとしてどうぞ、ということだった。 僕は旅行が好きで、旅先でその土地の美味しいもの、新鮮なものを食べるのが楽しみの1つだった それがコロナで旅行に行く機会も減ってしまった。 でも、こうして現地の美味しいものを送ってもらえると、ちょっとそういう気分も味わえるな〜なんて思った。 そして、流通しない果物をもらえる、というのは離れていてしばらく会えていない友人とも

          お裾分けのりんご