ステキで残酷な呪い
このお店に一緒に入ったこと。
そこの公園のバルーンで2人で跳ねていたこと。
あそこの道を2人とも酔っ払いながら手を繋いで歩いたこと。
全部覚えている。忘れたいのに。
・・・
僕は今でもあの子が好き。なんだと思う。
今でも想像する。もし別れてなかったら今頃は…なんてことを。
もし仕事を辞めてなかったら。
もし次は都会のほうで仕事探すって言ってなかったら。
もし、もしも、もっともっともっと強引にでもしがみついていたら。
好きだ好きだ好きだ好きだ好きだって。だから別れることだけはしないでって。もっと強く言っていたら。
今、こんなに苦しむ必要はなかったのかもしれない。
別れるとき、円満に別れたはずだった。
お互いのことをよく知る親友になったはずだった。
お互いこれからも仲良く遊んで、酒を飲んで、愚痴を言い合って、助けあっていこうって話したはずだった。
あの子とのことは、人生のステキな思い出になったはずだった。
だけど
『もう戻れないんだ』
そう思うと、胸が苦しくなって、手が震えて。
いくらSNSを綺麗にしたところで、フラッシュバックするトリガーなんてスマホのどこにでも転がっている。
身体の不調を抑えるために、とりあえず過去の写真を掘り返して、思い出の残りカスに飛びついて、幸せだったあの頃に浸る。
そして、今でもあの子が隣にいたら、なんていうifの世界を想像しては、現実に引き戻されるという、世界一無意味なループに入る。
大好きだった思い出が、僕を苦しめる。
円満って、なんなんだろう。
別れると決めた時点で、円満なんてものはない。
別れるというのは、お互いに呪いをかけあうようなもの。
キス、セックス、思い出、愛。2人が積み重ねたものの分だけ、呪いは重さを増していく。
なんてステキで、なんて残酷なんだろう。
重すぎて、前が向けないよ。
たぶん僕が今後どんな女の子と付き合うことになっても、この呪いは消えない。
“もし、あの子だったら…”
・・・
復縁は、したいとは思わない。
以前と同じように愛することができる自信がない。
苦労して掴んだ幸せ。一度手放したら終わりだと思うからこそ、心から相手のことを愛することができる。
もう一回どうぞって渡されても、前より雑に扱ってしまう気がするのは僕だけだろうか。
連絡もできればあまりとりたくない。
あの子が今どうしてるかなんて知りたくない。
過去の、僕だけを見てくれていたあの頃のままでいてほしいと願うから。
あの子が幸せになったなんて話を聞いたら、きっと僕は壊れてしまう。
親友になんて、なれなかったんだやっぱり。
思い出なんかスワイプでポイッてできればいいのに。
あの子は今も、僕の心の中で、僕だけが知っている顔で笑ってやがる。
僕をこんなメンヘラにしやがって、やっかいな呪いだよ。
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