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アントレプレナー手帖10.ベンチャーサミット、5分の勝負に勝った者たち


賞を発表し終わった投資家から「ちょっとまってください!」と声が上がりました。

各ベンチャー企業のピッチが終わり、大賞もイベント賞も発表された後です。

「僕、初めに今日は投資することを決めてきた、と言いましたよね?その4社を発表します!」とのこと。のちに知るのですが、このように初めから投資を前提にし、さらには同イベントで当日本当に投資を行うと発表することは稀だったそうです。

この言葉で会場はまた熱気を盛り返し、私はメモをしたノートを見返しました。自分なりに良いと思うスタートアップに赤丸をつけていましたがその数を数えると5つ。ここに入るのか。私は彼ら自身を信じていましたし、可能性も無限に広がっていることは理解していましたが、ただ、それが投資家の目に留まるのかそのサービスに未来を感じるかはわかりません。初めて呼吸困難になりそうでした。

「まず、一社目は… どるどるどるどる・・・」ドラムロールを投資家自身で言っています。

呼ばれたのは、彼らのサービスでした。

この瞬間も私は忘れられません。この何日間は印象的なことが多すぎてどうやって帰ってきたか記憶があいまいです。

呼ばれた瞬間にアイディアマンCEOは「よしっ」とガッツポーズをして立ち上がったのを左目の端に感じ、寝違えて首が少し痛いCTOは一瞬遅れて立ち上がるのが右目の端に移ったのを覚えています。私はあまりのことに前の椅子に貼られたゲストの名前を凝視したまま動けませんでした。

こうやって彼らは投資を受ける権利を得ました。

夢物語が夢物語ではなくなった瞬間です。もちろん彼らにとっては初めから夢物語ではないのですが。

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