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RSGT2025でリチーミング体験ワークショップを行わせていただきました!
RSGT2025(Regional Scrum Gathering Tokyo 2025)という日本最大のスクラム実践者のカンファレンスでワークショップを開催させていただくことができました。
1月10日(金)の day 3 でのことなので、もう半月も経ってからのレポートになっちゃいましたが!
RSGT の day 3 ということで OST(Open Space Technology)の裏番組になり、『現地に居るのにあの場に居られない..』という贅沢な悩みを体験できたことを、まず最初に書き添えておきたいと思います。
そして私たちのワークショップのプロポーザルはこのような内容👇でした。
https://confengine.com/conferences/regional-scrum-gathering-tokyo-2025/proposal/21076/
できたこと(できたと思うこと)
リチーミングの仮想体験
(前略)ゲームを通じてこの「リチーミング・パターン」を体験し、意図的に引き起こされた不安定さと、その場で産まれたフォースについてふりかえり、我々の組織でも活用できる実践的なテクニックを探索します。(後略)
とプロポーザルの Abstract に書かせていただいていたのですが、
書籍「Dynamic Reteaming」著者の Heidi Helfand さんが体系化してくれた、チームを変化させる “Reteaming Patterns” の一部を、『安全に』体験していただくことはできたように思います。
参加していただいた方が RSGT の参加レポートに採り上げてくださっているのを見つけることができまして(エゴサw)、嬉しい内容が多かったので勝手ながら引用させていただきます。
チームを去る人、受け入れる人の心持ちの違いで結果が変わるということを実体験にて経験できたので実際の業務でも活かしてみようと思いました。
メンバーが移動する際の心の動きや、受け入れる側の心理的変化を認知できたのは、とても貴重な経験でした。ファシリテーターの方の問い掛けのおかげで気付けた内容もあったので、とても良かったです。
OSTと最後まで悩んだのですが、FASTではリチーミングの機会が多く、このワークショップから得られるものが多いのではないかと思い参加しました。このワークショップでは、リチーミングによって何が起こるかであったりどんなパターンがあるのかなどを体験できました。ここはより深堀りして学びたいトピックだなと改めて感じることができた非常に良いワークショップでした。
予期せず起こった学び
加えて、ワークショップならではと感じたのが、予期せずその場で起こったことから学びが増幅したと感じられることがありました。
それは、後半に行った「Merging」の結果生まれていた2つのグループ合同でふりかえりをしたときに、お互いの状態に差異があること(片方のチームのメンバーの方がよりフラットに融合している雰囲気を醸し出していたこと)に気付いたシーンです。
この時の気づきについて、後日お伺いした言葉で補足させていただきます。
自分たちのグループは、入ってくるメンバーに対して「お客様をお迎えする」マインドでいた感じだったが、より「自分たちが普通でいる」マインドセットを持てたほうが良いことに気付けた。
「お客様」と迎え入れて、「お客様」と思い続けてしまい、その関係を続けてしまうのではないだろうか?ということ。
これまでにも、英語圏でどこかに招かれたとき、 “help yourself” と言われるのが素敵だなと感じていたことがあって・・・
日本だと、主がお茶とかお菓子を「どうぞ」と持ってきてくれるけど、
“help yourself” だと「そのへんにあるから勝手にやってね」と委ねられる。初めは戸惑うけど、こう言われたほうが『境目』がなくなる。
このような事前に意図したプログラムデザインを超えていく現象が生まれるところがワークショップの醍醐味だなぁと、あらためて思いました。
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説明不足だったかもしれないこと
いっぽう、プログラムデザインが不足していたかもという反省点もありました。
「Dynamic Reteaming」初学者の方向けには、説明が足りてなかったのではと思うところです。
なので、このセクションはご参加いただいた方への補足を兼ねて書かせていただきたいと思います(読んでいただけていると有り難いのですが)。
今回のワークは、そもそも “Dynamic Reteaming” で語られている重要な示唆に向き合う内容ではありませんでした。
あくまで、Dynamic Reteaming のなかで選択肢として提示されている “Reteaming pattern” を効果的に使えるよう、実際にパターンを使用したときに起きることを仮想体験することを狙ったものでした。
Dynamic Reteaming の重要な示唆
私が “Dynamic Reteaming” の重要な示唆だと考えているのは次のような点です(もし違ってたら是非ご指摘ください)。
経験学習を重ねて自律的に成長していく組織の実現には「永続的なチーム」であることが前提となり、
永続的なチームであることで 『Maturity(成熟期)』を迎えもするし、『Rigidity trap(硬直の罠)』にはまることもある。
そういった現実が起こることを踏まえて、だからこそ能動的な Reteaming が必要だろう。
永続的チームの歴史が先行している米国では、既にこのようなパターン化ができるほど事例が蓄積されているからこそ、このような示唆を生み出せたのだろうと思います。
ミスリードを招くとしたら..
そして、今回のワークショップは、『急に』とか『突然』とかな感じでリチーミングを体験するデザインになっていました。
この『急に』とか『突然』とかは、あくまでワーク中の体験のための要素であって、“Dynamic Reteaming” の内容とは関係がありません。
もしそのあたりに誤解を招いていたとしたら非常に申し訳ないところです。
冒頭で手を挙げていただいた時に、半数くらいの方が Dynamic Reteaming を未読だったことを思い返して、十分な注釈を添えられなかったのではと反省しております。
ふりかえり用の素材
最後にチェックアウトで書いていただいた付箋の写真を掲載させていただきます。
おそらく参加者のみなさんも写真撮影して帰られた方が多いと思いますが、意外と見返す機会がなかったりすると思いますので、思い出し用を兼ねて!
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投影資料も置いておきます
詳細なプログラムデザインまで記述しているものではありませんが、概要を思い出したり掴んでいただいたりできるかもしれません。
今後に向けて
リチーミングテーマでの発展
今回取り組んだテーマで言えば、前段で書いたとおり『Dynamic Reteaming で語られている重要な示唆』について理解を深められる内容を提供できていないので、それもできなかったことと考えて、次の TRY の選択肢になると思います。
また、「リチーミング」を考えるという範囲でもまだまだ応用が考えられるかもしれません。
直前の12月にスクラムフェス沖縄で参加させていただいた @saori_murooka さんの「関係性を考えるワークショップ」でも、リチーミングによって起こるダイナミクスやフォースのあたりを効果的に仮想体験できるもので非常に感銘を受けていました。
リチーミングの仮想体験ということ自体、ワークショップで行うことにマッチしてそうなのでで、引き続きその線でも考えてみたいと思います。
別の観点で組織で働くことに向き合う
個人的にこの1年間はワークショップの実践に挑戦しまくった年で(今回のワークショップはXP祭りで行ったもののアップデート版だったのですが)、2024年中に行った4本は、じつは全て異なるテーマでした。
そのうち半数は、どちらかというと、いったん自分自身にベクトルを向けた結果、働きやすくなるとか、学びやすくなるとか、ひいては日々を前向きに過ごしやすくなるとかを意図したものでした。
(以前の記事👇の「開催タイトル一覧」に列記してます)
そんな感じで、またまた違う切り口で「組織で働くことに向き合う」くらい広めのスコープで新しいワークを模索させていただくのもよいかもしれないなと考えています。
アイデアを閃いた方、是非ご提案やお誘いを!
それこそ、これまでやらせていただいた5本のワークショップ全てが2人以上での共催でした。ワークショップを作るという小さなプロジェクトを5つも完走できたということで、なかなか貴重な経験だったと思います。
共催者がいるととても自然にフィードバックが得られ、ふりかえりに繋がるので、学びも大きいと思っています。
今回ご一緒したトオルちゃんとさていさん(@yamasatimi)にもあらためて感謝です。ありがとうございました!
そして、熱量高くご参加いただいて一緒に場を作ってくださった皆さんにも超感謝です。ありがとうございました!
フィードバックもまだまだぜひぜひ!よろしくお願いします。
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そういえば、当日会場をご担当いただいた @takusamar さんにワーク実施中のフォローをサラッと自然にしていただいて、とてもとても助かりました。
他にも界隈の大先輩方にお世話になり感動。
安全に実験できる「道場」としての場づくりも「さすが RSGT」と思わざるを得ませんでした!