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薬師のルーツ

山伏やまぶしは山を駆け、精神を磨き、草木と一つになり、薬草にも精通していました。
そして祈りと共に製薬を行い、その薬を修行時に携行したり、人々に祈りと共に施し、江戸時代までの民間療法を主に担ってきたとされています。

建長寺の天狗

山伏とは、山に籠り修験道しゅげんどうを実践する者のこと。
修験道は、山岳信仰に古神道、仏教、道教などの要素が習合したものですが、明治以降の神仏しんぶつ分離令、修験道廃止令により、山の聖性を民衆に繋いでいた山伏たちは強制的に下山させられることとなり、薬草の知識を活かした売薬業に転身した者が多かったそうです。
山伏たちの知恵の一部は今でも、吉野大峰山おおみねさん陀羅尼助だらにすけや、木曽御嶽山おんたけさん百草丸ひゃくそうがんなど、各地で伝承されていてその恩恵を授かることができます。

陀羅尼助や百草丸の主原料であるキハダを煮詰める

日本というのは、医療に限らず、外から入ってくる文化を拒まず受け入れ、もともとあったものに融合させ、独自の進化をしていくような性質があるように思いますが、その芯には森羅万象あらゆるものに神を見て祈ってきた、変わらない日本のスピリットがあったからなのかもしれません。

そのスピリットは今や、神道と仏道の分離、人と自然との分離、見えない力や祈りとの分離によって、バラバラになって見失われているかにも思われ、同時に原点へと回帰していこうとする潮目の変化も感じます。
本当は昔も今もずっと繋がっていたことを思い出す、これからのホリスティックな草木との友情に、山伏のスピリットから学ぶことが多いのではないかと思います。

キハダの木

私のご先祖さまも出羽三山への信仰があり、江戸時代に登拝されていたということを知り、一層の想いを温めている近頃です。

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