2024年認知症専門医試験 復元・体験記
自己紹介
この記事では先日行われた2024年度の日本認知症学会専門医認定試験を受け、無事合格した一脳神経外科医としての試験対策と問題の単独復元(106問中90問)についてになっています。
私自身は2014年卒で11年目(レカネマブ投与施設基準の医師要件に1年足りない学年)で脳神経外科専門医受験の後、最短でJSNET(脳血管内治療)専門医を取得、その後脳卒中専門医、頭痛専門医など合格し今年の認知症専門医に晴れて合格することができました。脳卒中をメインにする脳外科医は普段認知症を診断、治療する機会というのはあまり少ないものです。せいぜいiNPHのシャントと脳血管性認知症への処方程度であり、アルツハイマー型認知症などはもの忘れ外来にポイしてしまっているのが現実です(去年まではそうでした、反省しています)。スタートラインが他科の医師とは大きくビハインドからスタートしており、脳神経内科医が診ているPSP、CBD、PD、精神科の先生にお願い(丸投げ)しているせん妄の治療や抗精神病薬に関する知識を(ほぼ0から)習熟する必要があるわけで、そういう意味では頭痛山歩著の「マイナスから始めた認知症専門医試験の受験顛末記」は多くの脳外科医(に限らず多くの医師)が頷けるものと思われます。
ただ、これからは認知症600万人時代が到来します。高齢者、脳疾患を相手にする医師にとっては必須の知識になります。今年はレカネマブに関する知識も問われており、今後多くの疾患修飾薬が登場する神経領域に精通していて損はありません。認知症専門医試験については事前情報があまりなく、脳神経外科専門医試験や脳血管内専門医試験のように勉強会やCEPのようなセミナーや復元問題もなく、横のつながりを大事にする脳神経領域の試験よりはとっつきにくいものでした。私の場合は近くに認知症専門医試験を突破し、レケンビ投与準備を進めている同門の先輩がいたので参考にしながら進められました。常勤の病院に昨年試験を突破された先生(脳神経内科医)がいらっしゃり、下記ブログの存在を教えていただきました。
ぽろにあ先生の「日本認知症学会専門医【認知症専門医】筆記試験対策・体験記」や「認知症専門医合格対策 2022年度試験問題復元あり」に敬意を表しつつ、2024年度の1受験生による体験記で合格を勝ち取ってください。単独での精度の高い復元(90問)と詳細な解説もついております。試験はいかに瞬殺問題を作り、文章題に時間を回すかが勝負です。知識を多方面から整理し、いかに当日高いパフォーマンスを発揮できるかがカギです。では、今日から勉強スタート!
いつから勉強するか
多くの先生は日常臨床で時間がない中で試験対策を開始すると思います。とくに脳卒中、心臓病を扱う多くの医師は冬の時期はかなりお忙しく自己研鑽に使える時間が少ないです。日本認知症学会専門医試験の受験申請には3症例のレポートが必須であり、内科系の専門医をクリアしていない外科系医師には多くの時間が必要です。少なくとも脳外科には症例レポートはいりません。私自身は1月受験申込から勉強を開始しましたが、レポートを作るところから始めました(所見や考察を書く際に調べる必要がある)。1例はアルツハイマー型認知症を入れる必要があり、1例をレビー小体型認知症あるいはFTD、PSPなど他の認知症、1例をiNPHの手術症例としました。2週間は作成に時間を費やしたと記憶しています。
レポートには型があります。〇年ころより、物忘れ症状が出現し、年単位で徐々に進行する〇〇の症状を心配した家族がつれて来院。診察ではエピソード記憶、短期記憶障害があり、MMSE〇点、FAST〇点、日常生活を障害していた。画像検査、神経所見、心理学的検査を記載し、〇〇で治療した。介護保険は〇〇、後見人制度の活用を〇〇。鑑別と考察を行います。
考察では重点項目が3項目を選ぶ必要がありますが、書き方の違いだけですので、語尾をうまく整えることでクリアできると思います。
筆記試験対策の教科書、ガイドライン
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