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サルスベリの咲く頃に

顔を上げて、見えたもの

 8年前の夏。
ふと、顔を上げたら、サルスベリの花が、咲いていた。
キレイだった。
私は、久しぶりに、笑顔になれた。
大変とか辛いとか、そんな自覚も無かった。
ただ、必死だった。
いつのまにか、春から夏へと、季節が変わっていた。

 2016年 4月14日 21:26と、16日 01:25。
熊本に、大きな地震が2回起きた。
しばらくは、1日1日を必死に、生活していた。
なかなか、復旧出来なかった、ライフライン。
とりあえず私は、水と食料の確保に、動いていた。
近所のコンビニ・スーパーは、しばらく閉まっていたのだ。
物流の寸断による品不足や、人材不足だったらしい。

春から夏へ、季節は移っていた。

 しばらくして、まだ物流が寸断されている中、スーパーが
時短開店。熊本は、日頃から『地産地消』を唱えてきた県。
店さえ開けば、そんなに困らなかった。それどころか、県外に
出荷されるはずだった、牛乳や「桃太郎」トマトなどが、
店内に山積されていて、びっくり。
普段は、トマト嫌いの子供も、八代産「桃太郎」トマトは、食べた。
美味しかった。

 やっと、少しだけ、気持ちにゆとりが生まれた頃。
外を歩いていた時に、ふと顔を上げると、サルスベリの花が、
とってもキレイに、咲いていた。
下から見上げると、青空に映えていた。
すうっと、心が軽くなった気がした。

顔を上げるって、大事(╹◡╹)♡

いつもの道。
日常が戻った今。

 私は、これからもずっと、サルスベリの花を見上げる度に、
8年前の自分を、思い出すと思う。
自分を取り戻した瞬間の事を。

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