コント「救世主」の台本。
クソゼミでやろうとしてたコント。今考えたら普通に長すぎて出来ないとおもった。あと、これが形を変えて、地球救済作戦って短編になりました。
以下、脚本。
暗闇、声だけが聞こえる。
●「クソッ、クソーーー」
明転
・燃料不足で動かなくなった宇宙船の中の操縦室で二人は座っている。
バ渋「すべておしまいだ。やっと立ち上げた小さな会社も、35年ローンで買ったマイホームも、大切な妻と娘も。すべてが滅ぶんだ……」
ぴぴ「そうだな。本当、こんなことになるとは」
バ渋「まさか、燃料切れを起こすなんて」
ぴぴ「完全に無くなるなんてあるんだな。地球に攻めて来たエイリアンの基地をぶっ潰す、この(後ろを親指で指しながら)超爆弾すら起動できなくなるとは」
バ渋「ほんとに、どうすんだよ……」
ぴぴ「しっかし、あれだな。超爆弾ってだっさいよな」
バ渋「え?(危機感を感じてない▲を疑う表情)」
ぴぴ「だから、超爆弾ってダサいって言ったの。今時、超ってダサいよ。あとなんで全部漢字なのかね。(執拗に●に向かって話す)あっ、見てみて、よく見たらこれ、椅子もダサいじゃん。ほら、名前、フルネームでしっかり彫ってある。市役所で探して来たのかね。ほら、難しい漢字なのにちゃんと彫ってあるよ。こんなのローマ字でさ、イニシャル彫っといた方がいいのよ今時……」
バ渋(途中で話を遮り叫ぶように)「いま地球滅亡のことで頭いっぱいだからやめて! (泣き出す)」
ぴぴ(驚きつつ●に駆け寄る)「ごめんごめん、悪かったから泣き止んでくれよ。な。人生最後くらい笑ってた方がいいぜ。確かに、地球が滅亡するのにおれ、危機感なかった。椅子に名前が彫られてたって別にいいじゃんな。(ここから、●の椅子に掘られた名前を見ながら)ごめん、俺間違ってたよ……ってあれ、お前の椅子の字、間違ってんじゃん。ほら、ここ、うわー、まじかよ。こう言うとこをしっかりしなくちゃ」
バ渋「(泣き止んで)ちょいちょいちょい、今言ったばっかりじゃん。俺、それ、ダメって」
ぴぴ「あ、あ〜。ごめんごめん、ついね」
バ渋「うん、まぁでもいいよ。って言うか。確かにさっきお前が言った。その、人生の最後くらい笑ってた方がいい。うん。確かにそうかもしれない」
ぴぴ「だろ、でさ、とりあえず見てみ。すげー間違って掘られてるよ」
バ渋「え、うわ、ほんとだ。まじかよ」
ぴぴ「こんな間違え方ありかよな」
バ渋「な、うわ結構面白いじゃん。(笑う)」
和やかな雰囲気を▲が壊す。
ぴぴ「まっ、どうせ地球が滅亡するんで関係ないですけどね」
バ渋「(怒りながら)えぇ〜、今言う? いい感じにそのこと忘れてたのに」
ぴぴ「え?」
バ渋「え? っじゃねぇよ。あー、もう。頭の中地球滅亡でいっぱいだよ」(取り乱す)
ぴ「わかった、落ち着けって。そしたら、気を紛らわす為になんかするか」
バ「できるの? 頼むよ」
ぴ「できるよ。えーっと、なんだろうな。うーん。えーっと」(かなり悩む)
バ「ちょっと早くしてほしいんだわ。もう時間ないよ!」
ぴ「わかってるわかってる。えーっと」
バ「はーい時間ないよ。ほらほらほら」
ぴ「あー、し、しりとり!」
バ「しりとり? うーん、まぁまぁかな」
ぴ「なんだよまあまあって」
バ「早速始めようぜ」
ぴ「わかったよ。しりとりはじめ、め、め、”滅亡”」
バ「おーい。ちょっと待ってくれよ」
ぴ「いきなりなんだよ。ほら、う、だぜ。う」
バ「いや、う、じゃねぇよ。え、なんで? なんで滅亡って言っちゃうの?」
ぴ「あ、悪りぃ。ついついな」
バ「ついついなじゃねぇよ」
ぴ「おっけ、次は大丈夫だから。よし、行くぞ。しりとりはじめ、め、め、滅亡」
ば「おーい。さっきと全く一緒じゃねぇかよ」
ぴ「あー、ごめん。ちょっと待ってもう一回行こう、しりとりはじめ、め、め、
二人一緒に「滅亡」
ば「やっぱり」
ぴ「あ、ごめん。だめだ。つい」
ば「ふざけんなよ。じゃあ俺からにしよう。な」
ぴ「そうだな。なんか悪りぃな」
ば「……まったく。行くぞ。しりとりはじめ、め、め、め……、あーだめだ。もう滅亡しか出てこない。なにこれ」
ぴ「だろ。滅亡しか出てこないんだよ」
ば「そりゃそうだよな。だって俺たちのせいで地球が滅亡しちゃうんだもんな……嫌!!考えたくない!!うわーん(泣き
出す)」
ぴ「情緒不安定だな、一回落ち着いた方がいいぜ。瞑想でもしてみれば、あっ、瞑想があるじゃん。め、め」
ば「あっ本当だ。じゃあ、しりとり始め、め、め、瞑想」
ぴ「う、う、宇宙人」
ば「わざとか」
ぴ「わざとって?」
ば「宇宙人とか聞いたらまた不安になるだろうがよ!」
ぴ「いや、それは考え好きだって」
ば「考えすぎじゃねえよ!! それにな、お前のところからは見えないと思うけど、ここの窓(自分の前を指差す)からずっと見えてんの。宇宙人」
ぴ「えっ、マジで。もっと早く言えよ」
ば「言わねーよ! 怖すぎて見えてないことしてるんだよ! こっちは!」
ぴ「いや、意味ねーじゃん」
ば「意味があるとか無いとかじゃ無いの!」
ぴ「へー、よくわかんないけど。俺もちょっと見てみようかな」
ぴ、窓の位置に行き、チラチラ覗く。
ぴ「うわ、ちょっと、目合っちゃうよ。ヤバヤバ(吹き出しそうになりながら)」
ば「(ぴの危機感がない行動を、理解できずに怖くなってくる)え、なんでそんな好きな人を見に行く女子高生みたいになってんの? (ここで泣く)」
ぴ「なんだよお前。本当情緒不安定だな」
ば「情緒不安定にもなるだろ! こんな状況でさ」
ぴ「落ちつけってさ」
ば「あーもう、だいたいお前みたいな危機感のない人間がこのミッションをするべきじゃないんだよ」
ぴ「え、なんでだよ」
ば「俺ほんとに驚いたんだから。なんかさ、この船の乗組員を募集するためにさ、召集かけられたじゃん」
ぴ「そうだね、生き残った人々みんなでね。しっかし、あの場所なんだったんだろうね。きったねぇ体育館みたいなところ」
ば「おまえさ、そう言うところよ。今きったねぇとかいいじゃん」
ぴ「あぁ、ごめんごめん」
ば「まぁいいや。でさ、お前が俺の後ろにいて(立ち上がり、▲の前に行き、二人同じ方向を向いて喋る)総理大臣がさ、なんかスピーチして最後に、救世主になりたい奴はいるか?って言ったじゃん」
ぴ「そうだね」
ば「みんなさ、一瞬シーンとなってさ」
ぴ「たまたま来たヘリコプターの光が差し込んだんだよね」
ば「え、何この幻想的な感じってみんな思ってたよ。そしたらさ、お前。静かにさ」
ぴ「(手をあげる)スっつってね」
ば「え! かっこいい。何この人って思ったよそん時」
ぴ「そうなんだ」
ば「そりゃそうだろ。っで、総理大臣がさ『勇敢な若者よ、君がきゅ』この時、お前なんて言ったか覚えてるか?
ぴ「うん」
ば「言ってみろ」
ぴ「うんこ行って来ていいですか?」
ば「言う!あの状況で言う! つーか、なんであんなこと言うの?」
ぴ「うんこ行きたかったから」
ば「じゃあ、手を上げずに静かに行けよ」
ぴ「あんなぎゅうぎゅうじゃ行けねぇからさ。でもそのあとすごかっただろ」
ば「まぁ確かにな。お前さ、『救世主が通るぞ』とか言って、人がブワーッといなくなって、お前オリンポスの神みたいになってたもん」
ぴ「だろ」
ば「うわ、こんな奴が乗るんだ。地球は大丈夫かよって思ったもん。で、俺も手を上げたんだよ」
ぴ「かっこいいなぁ」
ば「うるせぇよ(照れるように)」
ぴ「このこの(ばを小突く)」
ば「おいやめろよ。やめろ! あー、つーかさ、マジでなんとかしなきゃ行けないんじゃねぇの」
ぴ「いや、滅亡だし、関係ないっしょ(椅子に座る)」
ば「あ、また滅亡って言った(椅子に座る)」
ぴ「あーごめん(腰につけた小さなカバンからスニッカーズを取り出す)
ば「いや、もう別にいいけどさぁ。(スニッカーズを食べようとするぴを見る)え、何それ?」
ぴ「スニッカーズ。くづれかけたコンビニから盗んで来た」
ば「すべてが最悪だよ。え、なんでスニッカーズ持ってくんの? お腹減る!?」
ぴ「減るでしょ。だから今食ってんじゃん。わかんない人だなぁ」
ば「ムカつくなぁ。はぁ、すっごいムカつく」
ぴ「ばなんか持って来たの?」
ば「え? 俺は、家族の写真だよ」
ぴ「おぉ。っぽい。地球を救う救世主っぽいアイテムだ」
ば「もう救世主とか言うなよ。あー。我に帰って来た。どうすんだよ。やばいよな。あー(頭を抱え落ち込む)」
ぴ「まぁ、これでも食べて、落ち着いて(新しいスニッカーズを出す)」
ば「ありがと……、え、またスニッカーズ? お前何個持って来てんだよ」
ぴ「まぁまぁ」
ば「は、みせろ。何個持ってきてんだよ! カバンの中を見せろ!(ぴのカバンを漁るためにぶつかり合いをする)」
ぴ「うわ、(倒れて、カバンをあさられると、大量のスニッカーズ)」
ば「なんだよこの量」
ぴ「いや、まぁ、おれ、甘いの好きだから」
ば「甘いの好きだからって、だいたい、スニッカーズこんな食えねぇだろ!」
ぴ「うーん」
ば「(カバンを取り上げ持つ)しかもこれ、結構重いよ。この重さのせいでさ、燃料が足りなくなったとはあるんじゃないの?」
ぴ「は? これくらいで変わるわけないじゃん」
ば「どうかね。だって、出発前に聞いた話だと、燃料がさ、もう本当にどこかしこから集めてぎりぎり足りるか足りないかくらいだーとか言ってたんだよ!」
ぴ「じゃあ、最初から足りなかったんじゃないの?」
ば「そんなわけないだろ! あー、これはもう二人の責任というよりはお前の責任だ。ったくよ。ふざけんなよ」
ぴ「なんだよ、責任逃れしやがって。いいよ。お前は座っとけ。俺がなんとかしてやる」
ば「勝手にしろよ(スニッカーズを勝手に食う)」
ぴ「あっ俺のスニッカーズ」
ば「うるせぇよ。イライラしてんだよこっちは」
ぴ「食べたいなら最初からそう言えばいいのによ」
ば「別に食べたくはないんだよ。あるから食っただけ」
ぴ「あっそ。よし(窓を割ろうとする)」
ば「(ぴを制止する)おいおいおい。どうして?」
ぴ「いや、あいつら全員ぶっ殺してやろうと思って」
ば「え、どうして?」
ぴ「俺はお前みたいにメソメソしないで、責任は自分で取るからだよ(窓を破ろうとする)」
ば「いやいやいや、どうしてなんだよ」
ぴ「俺がなんとかしなきゃ」
ば「分かった。ごめんごめん、お前だけの責任じゃねぇよな。ごめんごめん。言いすぎた。二人で考えよう。二人で考えればいいアイデア出るって」
ぴ「うるせい」
ば「二人ならできるってぇ。ね、二人でまた頑張っていこう(キスしようとする)」
ぴ「(逃げる)なんだよ気持ち悪りぃな。あぁ、わかった。分かった」
ば「一旦落ち着こう」
(二人、一旦落ち着く)
ば「よし、とりあえずさ、この船の中、ちゃんと見ていこう。必ず何かあるはずだから」
ぴ「そうだな」
(二人で船を見回る下手から)
ぴ「あー。なんか色々とスイッチがあるね(触ろうとする)」
ば「やめろよ、あぶねぇな」
ぴ「(窓のところに行く)きっもちわるいね。エイリアン」
ば「あんまり見るなよ。うわ、目合っちゃったよ(軽く会釈する)」
ぴ「なに挨拶してんだよ。でこっちはなんだ?」
ば「(上手側に行く)なんか書いてあるな」
ぴ「『有機転換路』? なんだそれ?」
ば「有機転換炉って、あれだよ。有機物、簡単にいうと、肉とか腐っちゃうものだな。それを、分解してまた何かに作り変える機械だな」
ぴ「へぇ、物知りだ」
ば「小説で読んだことあるんだ」
ぴ「へぇ。でもなんでこんなものがあるんだろうね」
ば「お、説明が書いてある。『有機物を、燃料に転換します』だって。こんなの積むなら燃料をもっと積んでくれたらよかったのにな」
(二人、一瞬静かになる)
ぴ「あれ、さっき燃料が足りないとかなんとか言ってなかった?」
ば「うん。いや、でも最終的には足りたから、船は出発したんだろ?」
ぴ「だといいけど、実際、燃料足りてないし。もしかして……」
ば「いや、それ以上聞きたくない」
ぴ「(話を遮るように)最初から俺ら二人のどっちかを燃料にする計画で船を出したんじゃ……」
ば「言わないでって言ったじゃん」
ぴ「あ、ごめん」
ば「あ、スニッカーズ。とりあえずスニッカーズで試してみよう」
ぴ「そ、そうだな」
(二人、上手側の扉を開け、スニッカーズを投げ込み、扉を閉めスイッチを押す)
ぴ「どうだ?」
ば「わからない」
ぴ「どう?」
ば「まって、今確認してる」
ぴ「どうなった」
ば「一緒に見てんじゃん!ちょっと待てよ」
(二人、一緒に軽く飛び、少しだけ船が動いたことを表現)
ぴ「おっ」
ば「いや、ダメだ。これだけじゃ足りない」
ぴ「マジか……」
ぴ「俺、行くよ」
ば「え、ちょっと待てよ。まだ早まるな」
ぴ「いや、行く。お前には地球に帰って守らなくちゃ行けない家族がいるだろ」
ば「それは違う、家族がいるとかいないとか、そういうことで決めることじゃないだろ」
ぴ「いや、もう俺、決めました。いいんです。昔からぼく、救世主に憧れてたんですから」
ば「そうか、分かった。お前の覚悟、受け取った。俺は必ず爆弾を起動して、地球に帰る。そしてお前のことは絶対に忘れない!」
ぴ「ありがとうございます。あ、それと、ばの家族写真、もらっていいですか?」
ば「あぁ、いいけどなんで?」
ぴ「ばと一緒に地球を救ったことを、僕も忘れたくないんです。最後の時まで。じゃ(有機転換炉に入る)」
(ば、何も言わずに操縦席に座り、操縦の準備を始める。間も無く、船が起動する)
ば「ぴ、忘れねぇぞぉー」
(有機転換路から出てくるぴ)
(ば、驚きながら二度見する)
ば「え、どうなってんの?」
ぴ「(操縦席に座る)いや、死ぬ前にうんこしときたいなって思って、そしたら、燃料、足りた」
ば「何それ!? まぁ、よかった。じゃあ二人で生きて帰るぞ」
ぴ「もちろん!」
ば「あ、じゃあ写真返せよ。家族写真」
ぴ「いやぁ、それはぁ」
ば「なんだよ、早く」
ぴ「ごめん、紙なくて」
(うんこのついた家族写真を渡す)
ば「くっそーーーーーーー」
おわり