"ニューヨーク"というコンビの魅力は何か、考えてみた
書き足し、書き足ししてきた記事。
久々の長文ですがお付き合いください。
ここのところ、芸人さんたちの中でも
「ニューヨーク、きてるよね」
と言われているらしい。
私はたまたま、昨年くらいから注目していた。YouTubeなどなど観ていて彼らのことを知っていくうちに、気づいたらどんどんたくさんのひとから注目され、メディア出演も増え、レギュラー番組も多く決まり、、、、、、
今では大忙しだ。
と、いうことは、
私だけでなく、同じタイミングで彼らを注目し出したひとがたくさんいたということだ。
たまたま自分が注目したひとたちが、どんどん世間に必要とされまさに"売れていく"過程を見られることは、貴重なことだし本当に嬉しい。
何年も”ネクストブレイク”と呼ばれながら世に出ていけなかった彼らに今、チャンスがようやくきたようだ。
ひとつひとつの番組出演を
「たのしかったなーー」
と、毎週日曜日の『ニューヨークのニューラジオ』(ニューヨークのYouTubeチャンネルにて配信)で振り返っていたことすらも、もはや懐かしいくらい、多忙な日々を送るふたり。
とはいえ、まだSNSなんかでは「ニューヨーク嫌い」という意見もきく。
私的には、自分がすきになる芸能人はいつも賛否両論があるひとたちばかりなので、どんとこいだし、好き嫌いはあって当然だ。
芸風的にも、”毒舌”や”皮肉”と言われているし、結構なんでも正直に言う感じ。嫌なひともいて仕方ないと思う。
でも、私はなんでこのふたりがすきなんだ?
と、いうことで、
私なりの、1年程このふたりをみてきて感じた”いいところ”を考えてみることにする。
※ニューヨークに注目し始めている頃の記録は、ここに。
ニューヨークのYouTubeチャンネルを観ていて思うのは、
ふたりとも、”人間”という生命体がすきなんだなぁ、と。
いやいや、芸人さんって大抵そうでしょ、と思われるかもしれないし、実際、人間に興味があって細かいところに目が行くひとは、ネタとしてみんなが共感できるものを作れたり、違和感を面白おかしく表現できたりするので、活躍している芸人さんはとくに、みんなそうかもしれない。
ただ、今は私が感じたニューヨークの人間に対する観察眼、”ひと”のたのしみ方を書いてみる。
ツッコミ、屋敷さんの場合。
屋敷さんは学力もそうだが、周りが見えて行動できる、というタイプの頭の良さの持ち主。劇場でMCの経験が豊富なこともあるが、冷静に、俯瞰でひとの起こす行動を観ることができる。そして、それを分析して面白がれるひとだ。
例えば、以前、『ニューヨークのニューラジオ』内で、そのとき話題になっていた音声SNS『クラブハウス』の話題になったことがあった。
屋敷さんがこの、突然爆発的に日本で広まったクラブハウスについて話した回。
クラブハウスのやり方を知っていくうえで考えた、屋敷さんの話をざっと書くと、
・このSNSに招待できるのは二人だけ。一人二機しか持っていない。招待されないということは、特に学生にとっては「もらえる友達いないの?」ということを意味する。この二機を使うには、自分の中の”友人の優先順位を選ぶ”という裏テーマがある。
・スマホにこのSNSが入っているということがステータスになる。メルカリなどで、アカウントが売買されるほど、みんな必死になって始めようと努力している。”やってない自分はダサいから、とりあえず入れなきゃ”というだけで、実は誰もやり方なんてわかっていない。流行なんて結局そんなもので、みんながやってるから、という理由しかない。
、、、、、、という2点。
これに気づいた屋敷さんは、この現象が「おもしろい」と言っている。
このように、屋敷さんは特に、ひとの起こす行動や現象をよく見ていて、人間の心理的なことから分析し、それを面白がれる天才だと思う。
クラブハウスのことだって、こんな集団心理の中で生きていくのは面倒くさいな、なんだかな、今学生じゃなくてよかった、なんて私なら思うだけだ。
屋敷さん自体は結構繊細で、クラブハウスでばんばん有名人と話したりする社交的なタイプではない。観察力、分析力がすごく、それに感情を動かすことがすきなひとだ。ドキュメンタリー的な番組がすきなこともうなずける。
一方、ボケの嶋佐さん。
このひとは、先輩後輩に本当に好かれるひと。もともとのキャラが面白いし、ひとに対する尊敬、感謝を忘れない。だから愛される。
以前の記事で、誕生日プレゼントの開封動画をみて嶋佐さんの人柄に感動し、このチャンネルを観るようになったことは書いたので割愛。
今回は、この動画での彼について書いてみる。
内容自体は、結構厳しい芸人さんのお金事情で私は切なくなってしまったのだが、私が素敵だなと思ったのは、母子家庭で育った屋敷さんが、芸人になるときから今までのお金事情を話したときの、嶋佐さんの反応だ。
屋敷さんが、1年間テレビの制作会社でADのお仕事を経験しているのは今や知られているが、父親を1歳のときに亡くしてからも、屋敷さんの母であるゆかさんは、息子がお金に困らないように働き貯金をしてくれていたよう。息子を名門私立大学に入れるお金もひとりで稼ぎ、会社員から芸人に転身するときも、「困ったときに使っていい」と、それまで貯めていたまとまったお金をくれたようだ。しかも、毎年誕生日に、10万円分の500円玉貯金をくれるという。
それを聞いていた嶋佐さんは、
「本当にすごいよ、、、、、、」
「お前は、、、本当にそろそろ返さなあかんな。」(なぜか関西弁)
と、あまりピンときていない(照れからかもしれないが)屋敷さんに対し言っていた。
「偉いなお前(の母親)。母子家庭で、大学まで行かしてもらって。すげえな、ゆかさん。」
と、相方の母親のことを、心から尊敬して話していた。
カメラの前で、恥ずかしげもなく相方の母親をほめる、尊敬する、ということができるひと。
ゆかさんは、YouTubeのリモートやTVの地元ロケでも顔を出してくれる、明るいキャラクターのひとだ。
そういうタイプの家族を、コンビによっては、相方がいじったりすることもよくある。
でも、嶋佐さんはそれを絶対にしない。ゆかさんがYouTubeリモート出演したときも、「ゆかさーん、お久しぶりです」と明るく迎え、ゆかさんの独特のノリに全身でずっこけてのってあげたりと、本当に対応があたたかかった。
そして、嶋佐さんは、人生経験が豊富なひとの話を聞くのがすき。劇場の楽屋でも、たくさんの芸人さんと関わってよく話すらしいので、YouTubeの中でも話の登場人物の情報を割と知っていることが多い。ひとと交流することがすきなタイプだと思う。その中で、苦労したひとの話などを覚えていて、尊敬できるところを見つけることができる。
ひとを尊敬するって、簡単じゃない。
その話を伝える、トークが決して上手なわけではなく、最近出演が増えているTVではなかなか苦戦しているが(アメトークでは”ロングトークボーイ”と呼ばれていた)、こういうところは、私は見習いたいと思う。芸人であるまえにひととして、本当に素敵だ。
「ありがとう」という、お礼もよく言う。自然に言う。
そういうひとに私はなりたい。
ニューヨーク、ふたりのこと。
ふたりは、多くのひとがいる中で前に出て行くことや、ひととぶつかりあって喧嘩することが苦手らしい。
”毒舌”とか”偏見”とか、世間で言われている彼らの芸風とは裏腹に。
嶋佐さんは見た目と違ってひとに対してキレることがほとんどないというし、屋敷さんは後輩からいじってもらえないという弱点がある。
彼らのネタの中の偏見というのは、
”こういうひとっているよね、でもこう思ってしまうよね”
”こういうひとっているけど、実はこういう気持ちなんだろうね”
”人間ってこういうこと考えちゃうよね”
そして、
”そういうひとってかわいいよね” ”人間ておもしろいよね”
とまで思わせるような、ふたりの ”人間をたのしめる感性” から生まれているんじゃないかな、と、最近思う。
思いついた中でいうと、コント『成人式』。
嶋佐さんの甲高い声が特徴的でキャラクター的にもおもしろいのだが、同じ同級生の中でも地元に残った成人、上京して過ごしている成人の考え方の違いを描く、まさに”井の中の蛙”という言葉を思い出させるようなシチュエーションだ。
そして、”ひとりでは何もできない”という、悲しくも滑稽なとある成人の姿。
成人式が荒れる、という毎年1月にニュースでよく見かける光景を、こういう観点から描くとは。笑えるのに、結構深いテーマが隠れているネタだ。
そして、これから成人を迎える若者にみてもらえたら、式で荒れる成人が減るのでは?とまで思う。
荒れる成人式のニュースを、「うわぁ」、で片づけていてはこういう発想は生まれない。
芸人さんはみんなそうなのかもしれないけれど、そういう人間の行動ってどうして起きる?何を考えているのか?という疑問を常にもっているって、すごいなぁ。
もうひとつあげるなら、『路上喫煙』かな?
”めっちゃわかるわーーーー!”と、思いつつ笑ってしまうけど、法律とかルールと、マナーの違いってなんだ?と考えてしまうなぁ。ルール違反じゃなくても、不快なことってあるよねぇ。
また、このふたりに共通する、素敵な部分は、
礼儀正しいこと。
まず、漫才の始めと終わりの、お辞儀がいつも深い。
きっちり、90度。
そして、
ひとのことを、指で指さない。
手を開いて、上品に指す。
先輩や、目上のひとに対してはもちろん、後輩に対してもだった。
(※写真を探していてたまたま気づいたが、お互いのことは、指で指していたことが、今発覚した。)
人間がすきだという証拠は、彼らのYouTubeチャンネルの中にある
『ザ・エレクトリカルパレーズ』や『さようなら花鳥風月』というコンテンツのような、ドキュメンタリーが生まれることでも証明されると思う。
これらに関しては、彼らの作家である奥田泰さんの力もあるが、ぜひ、気になる方は追ってみてほしい。
ニューヨークは、追えば追うほど人間らしくて、それぞれのやさしさ、アツさがにじみ出てくるのを感じられる。
冷静な分析と判断ができる一方で繊細で、ピュアな感情の持ち主の屋敷さんと、
人情の男、クレイジーながらどんと構えていて飾らない、気張らない嶋佐さん。
これが、バランスがいい。
お金に目がなく儲け話に乗りそうになる嶋佐さんが、ニューヨークのニューラジオで株をやりたい話をすると、屋敷さんは理由やどういうやり方でやるのかをしっかり聞いた上で「何やってもいいけど犯罪だけはするなよ」と忠告していた。
一方、初めて屋敷さんがMRIに入ったとき、今まで経験したことのない恐怖が急に襲ってきてパニックになった、閉所恐怖症なのかもしれない、以前も一度、飛行機の中で急に恐怖に襲われたことがある、という話をニューラジオでしていたときは、ひととおり聞いた上で嶋佐さんが「俺の部屋に監禁してやろうか」(狭い家に住んでいることで有名)と、自虐の笑いに変えてくれた。
嶋佐さんが変なお金の話に乗ってトラブルにならないか、繊細な屋敷さんが多忙によるストレスで心身に支障をきたさないか、心配ではあるが、このコンビはなかなかうまくできているな、と、個人的に思った私だった。
うーーーーん、うまく、伝わらないかもしれない、、、、、、
ファン歴が長いひとは、もっとうまく説明できるのかな。
私の思うこと、伝わるだろうか。
芸人さんは、こういうことをうまく伝え、しかもエンターテインメントにできるんだよなぁ。
本当にすごいと思う。
ニューヨークは、まだまだ、これからもっとおもしろくなっていく。
彼らが笑顔で活動できるよう、無期限金欠中でお金はかけられないけれど、私なりに見守っていきたい。
だって、たのしいから。
今いちばんの、ホットな話題はこれ。
最高だった。
自分たちの番組がもてるようになって、そこでこんなに番組総出で誕生日をお祝いされるようになるなんて、嶋佐さんは思っていたかな?
ぜひみてほしい。
芸人さんのことを書くときに毎回のように書いていることだが、
鬱病治療にあたって、笑えるということが、どれだけ重要で、笑わせてくれる存在がいるということが、どれだけありがたいことか。
このふたりとは同世代(嶋佐さんと同学年)なのだが、このコンビの存在を知ることができて、私も生きよう、と思えている。本当に。
ひとをたのしませてくれるひとたちに、心から笑える瞬間が、今後もたくさんありますように。
そして、嶋佐さん、お誕生日おめでとう!