誘拐された夢④

ピンクの看板にお城の絵が書かれていて青い色でお城の名前が書いてあった気がするけど、目が悪くてタクシーが序盤より加速していて捉えられなかった。でも絶対に可愛かったし、その時の私はパン屋のことなんてすっかり忘れてそのお城に行ってみたいことで頭がいっぱいになっていた。それくらい一瞬見えたお城に見惚れてたくさんのきらきらを見ていた。
頭はあっという間に夢の中でそのお城の内装だとか歴史だとかを勝手に想像したり、そこに住んで生活することや1Lに溢れんばかりに詰め込まれたドレスのことを思ったりした。
タクシーはお城を背にするようにもう一度左折した。どうやら本当に元来た道の近くを辿ろうとしているらしい。と思ったら、すごいスピードでタクシーは進む。この街は海沿いの山の上にあったらしい。パン屋と花屋があったはずの道を通り過ぎて、この街で1番海に近い道路を走っている。