悪夢 2024.1.20

久しぶりに過呼吸で分かりやすいタイミングで目を覚ました。眠る前から目を閉じるとお花の怪物が浮かんで来ていたからもう、眠るほうを選択したら恐ろしいものに出くわすことが決まっていた。

noteに悪夢を見た時だけその物語を書くのは、物語に書かないと私がどうにかなってしまいそうで怖いからで。なんとか作品にすれば、その世界が此処に封印される気がしているから打ち合わせに向かう電車でこれを書いています。

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私の目が行き届く範囲には人が居なくなった
代々木公園みたいな公園の隅っこ。
空は青寄りのグレーで輪郭が紺色のグラデーションになっていた。青々とした草原はPicsArtで彩度を下げた時の写真の様でそう思った頃には視界の全てが色褪せてもうこの世界に私以外の人類は存在しないと分かった。だだっ広い草原の端は木で埋まりその先が道だった。後ろを振り返ればオフィスビル街と道路があって、だけど車も自転車も走っていなければそのビルの中に生気を1ミリも感じなかった。

ビル街から漂う異常な雰囲気をなんとなく異常だと感じつつも他人事のように捉えている私のぼやけた頭は振り返った時、整備されたような間隔でそこに現れた花々を前に立ち尽くすという選択しか出来なかった。

その花々には顔があり、L字に曲がったアニメ調の鼻に顔の輪郭と定める円の外側にはみ出す形で目があった。口は彼岸花の様でとても大きく鮮やかだった。色褪せた景色で無かったとしたらきっと、見た瞬間に死んでしまっていたと思った。

その花々はニタっと笑って凄いスピードでこちらに近づいてきた。ニタっと笑った様に見えたのは口元の動きだけで常に目は焦点があっておらず何を考えているか分からなかった。それが1番怖くて、声を出すこともその場から動くことも出来なかった。

食べられてしまうと思った瞬間にその1匹は姿を消した。いや、その大群の全てが消えた。世界は何事も無かった様な顔で私と対峙し私も今のは空想好きな私が脳内で作り上げた映像でそれを現実のように感じてしまう私がおかしいのだろうと思った。

だけど、世界はずっと色褪せていた。感じていたやけに静かな異常さは変わらないままだった。
すると1m先に重機に使われているような軽自動車よりは大きめのタイヤがひとつ現れた。無意識にギザギザに刻まれたその模様をなぞって居ると
その模様の部分から凄まじい勢いでタイヤの幅×タイヤの幅ぐらいのラフレシアがタイヤを埋めつくした。

みるみるうちにタイヤの形が無くなり、終いに全てが見えなくなった後それは大きな唇に変化した。赤黒く分厚いゴムのようで頑なに口を開こうとしなかった。

しかし突然それは開いた。口の奥が気になって少し近づき覗き込むと真っ暗でどのぐらい深いのか分からない穴があり、何か湧き上がってくる音が聞こえた。

薔薇の花だ、首を切られた真っ赤な薔薇の花がみるみるうちにその口の気道を埋めつくしていく。
唇の端から誰かに緑を許されなかった薔薇の花が溢れそうになった時

余りの美しさに私は手を伸ばしてしまった。香水では再現できない魅惑的な香りと、そこに溶け込みたくなる湿度と温度がそこに漂っていた。

色褪せていた世界の私と唇の周りだけが麗しく
私はいつの間にか恐ろしかったこと等忘れてしまっていたのだ。

花びらの先端に私の指先が触れた瞬間、何かに手を引っ張られた。病院で使う点滴に繋がったチューブを連想させた"つる"が私の腕に巻きついて幾つもの棘が肌を刺した。動けば動くほど痛みが増した。そして痛みによる苦しみを身体が避け始めた事からか、危険な心地良さが私を襲い私は意識を失った。

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