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ケータリングの始め方(基本編)

0.はじめに

 ケータリングは儲かる!飲食関係者や、興味がある人は一度はこんな話を聞いたことがあると思う。少しずつ、順を追って説明していく。

 僕が最初に商売を始めたのはスペインバルだった。
2014年にケータリング会社を設立、当時ケータリングを知っている人は飲食人でもほぼいなかった。知っていてもホテルのチェーフィンを使ったビュッフェを連想するので、そこを説明し理解してもらう事が一番大変だった。僕の頭の中しかPINTのイメージ(今まだ5割程度しか出来ない)はなかったし、見たことがないから分からないのは仕方がない。
 ほとんど誰も成功するなんて思ってなかったし、陰では失敗するとバカにされていたが、これっぽっちも気にしていなかった。いいアドバイスには純粋に感謝していた。中には飲食業というだけでケータリングを知らない人たちがアドバイスをし、人の人生に口出しして来るもんだから、じゃあ実践してやるから責任を取れと常々思っていた(恐ろしいことに、たまに口に出ていた事もある)。
 そんな僕のあだ名はアイアンハートだ。
これから書く内容はケータリングを始めたい人に参考にしてもらいたい。

1.ケータリングの種類

 開業準備の1年だけ色々とケータリングについて調査をしたが、それ以降は他社のケータリングをまったく見ないようにしている。
 クライアントから送られてくる写真などで見るくらいなので、勝手に種類の名前をつけさせて頂く。

・ホテルビュッフェ型
 その名の通り、チェーフィンを使い和洋中の料理が並び、ステーキを焼いたり寿司を握ったり、大きな会場で行うサービス
・ライン型
 ディスプレイ方法のことだが、ラインを整え、規則正しく並べていく。ハマると美しくカッコいい、ライティングと組み合わすとさらに良くなるが、完璧に仕上げないと台無しになる。シンクロや北朝鮮の軍事パレードの一糸乱れぬ様のようにすると良い。
・ボックス型
 代表はやはりMOMOEケータリング、女性ならではの美しさと可愛さ、素朴さが融合した素晴らしいチーム(体験する機会はまだないが)。箱を使うことで搬入と搬出を簡単にし、重ねることで効率的になる。トランクスペースも無駄にならず、木箱なのである程度センスがあれば、テーブルにどう置いたとしても必ず様になる。
ナチュラル型
 木の長い板やトレーを使い、そこに自由に料理や食材を並べたり花を飾ったりする。海外のケータリングなんかでも多いスタイル。やはり木や花のエネルギーは大きいし、人間はそのエネルギーが好きだ。
・フローズンフード型
 価格を下げたケータリングには冷凍食品は必須だ。専門の冷食もあり、オードブル、メイン、スイーツ、ドリンク一式すべて揃える事ができる。シェフいらずでアルバイトだけで回すことが出来るので原価を下げることが可能、簡単なので数をこなすことが出来る。
・オーダーメイド型
 セミオーダーからフルオーダーまで様々あるが、要望通りの物を作る。
時間と労力がかかるがオリジナルを提供できる為、料理人としてもやりがいがあり、クライアントの評価が高ければ次に繋がる可能性が高い。
・オールラウンド型
 上記のことは全て出来る、またはやる。幅広いクライアントがターゲット、個人やフリーランスでは難しいので、ある程度の規模のケータリング会社じゃないと不可能。
・トータルプロデュース型
 料理、ドリンク、サービス、設営、照明、音響、装飾など1回のイベントの全て関わり、業務を請け負う。これはフリーランスでも出来る。
・アート型
 よくライン型と混同されるが、その本質は見る人の魂を揺さぶる。これは一つの作品になるため、向き不向きがあり依頼主は少数だが、価値は高い。

RPGでいう最初の職業や武器を選ぶ感覚でよい。後から変更できる。

2.仕事の受け方

 ホームページ、SNS(主にインスタ)、電話、知人、紹介などから依頼をうけるのがスタンダード。バーや飲みの席など話の流れで仕事になることもあるが、最初のうちはどんな仕事でも引き受けたほうがいい。

これにはちゃんと理由がある。
1.得意不得意が分かる
2.経験値になる
3.ケータリング先で様々な人に合う
4.ある程度時間が立つと、戦略的に断らなければならない仕事が出てくる
5.自信がつく

 どれも大事だが特に2つめの経験値は重要だ。
まず始めに伝えたいのは、120%ミスや失敗をするということ。
 例えば持っていくはずだった料理が会場につくとない、落としてしまった、時間が間に合わないなど考えられないような事が起こる。

 ケータリングを始めて最初のうちはある程度繋がりがある人からの依頼があるだろうから、感謝をしながら思う存分失敗と成功の経験値を積んでもらいたい。それを教訓に二度と同じ失敗がないように準備できる。ある程度知名度が上がると失敗は命取りになるので慎重に進めないといけない。

 最初は色々な仕事をさせてもらった。高級ラウンジにワンコの誕生日会、森の中やビニールハウスの中、客船、真っ暗なクラブ、公園、夏のスキー場、足がすくむ高さのガラス張りの会場などだ。
 今でも当日は食べ物が受け付けなくなり、心臓が壊れそうなほど緊張するし不安と恐怖に飲み込まれる。最近治ったが翌日は必ず体調不良で寝込んでいた。人からそう見えなくても本人はそうなのだ。そうなる理由は一つ、ゲストに一生の最高の思い出になるように、ふとした瞬間に思い出してもらえるようにするため。喜んでもらう為の準備にやりすぎという事はない。

続く