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子宮が剥がれる音がした

2018年3月。旅先はアルゼンチン。


OLをしながら南米に行くスタイルがここ2年くらい続いている。今年は久しぶりに誰かじゃなく自分と旅をした。

旅の前に色々と大変なことがあり、行くのも危ぶまれていた。
「あー。女も30歳をすぎるとこういう経験するのかー・・・」って気分。
行く運命を感じたので、自分を見つめ直すには短すぎる10日間のひとり旅。

心が洗われた。

氷河が崩れ落ちる瞬間を見るために、私は日々の選択を続けてきたんだ。そんな気がした。アルゼンチンのロス・グラシアス国立公園。

無心で眺めていた。

雷みたいな音を立てて崩れて行く氷河は、「生きている」と言われている。その迫力は他にどこで見られるんだろう。大きな自然に飲み込まれそうになる感覚は、オールトラリアのエアーズロックぶりだった。

雪が降り積もっては、外側の氷を剥がし、氷河は生まれ続けている。
ちょっとずつあったかくなってきている気候に負けずに、綺麗な氷の土地を育てている。見える先まで氷の世界。

氷の大地に”母”を感じたのは、私だけだろうか。
子宮の膜が剥がれては、新しい命を生み出す準備をしているように見えた。剥がれる氷の音と一緒に、心の皮が剥がれて行く。自然と涙が頬をつたう。

誰かと来たら気をつかって、持てなかった内省の時間。
わたしだけの贅沢な時間。

***

ロス・グラシアス国立公園までの道のりは長い。

アルゼンチンのブエノスアイレスからアルゼンチン航空で約3時間エルカラファテへ。空港からは旅行会社が頼んでくれた送迎バスでホテルまで。23時。

アルゼンチン航空には、行き帰りの2回乗ったけれど、時間通りに飛ぶことはなかった。
ちょっと前に降ったヒョウの影響で、アルゼンチン航空の飛行機の結構な台数が要修理とのこと。前日に16時の飛行機を予約したけれど、起きたら21時の便になっていた。帰りの便も18時の便のはずが飛んだのは23時。直前変更は当たり前。

長い待ち時間にも対応できるように、旅先での読み物は必須。

キンドルを買うべきかも。アルゼンチンの空港のWIFIは今まで行ったどこの国よりもサクサク繋がったのが救いで。本を何も持っていなくても、携帯でドラマを見るという先進ぶり。地球の裏側まできて「アンナチュラル」。石原さとみ最高。待たされてイライラする時間なんてなかった。

エルカラファテの大きくない空港には、ブエノスアイレス行き残り1便のお客のみ。同じ境遇だからか?結構な待ち時間なんだけど、音楽かけて踊るおばあちゃんと孫みたいな風景を見るとここは南米だなと思う。

いい国民性だ。

ロス・グラシアス国立公園で氷河を見る。アルゼンチンへ行こうと考えた人ならば、行くべき観光地の一つだけれど、ロス・グラシアス国立公園は当初行く予定ではなかった。

ブエノスアイレスでの初日に、日本人のガイドから治安についての注意を受けて、4日間もこの緊張感の中で生きていけないと思ったので、ある程度観光地で治安の心配をする必要のないロス・グラシアス国立公園に行くことを決めた。

個人手配が基本、ツアーには参加しない旅のスタイルをとることが多いので、知らない土地に行く時には、初日に必ず日本人に話を聞くようにガイドをつけている。
ガイドさんに紹介してもらった文野旅行会社に、ロス・グラシアス国立公園2泊3日分の旅を今回の手配してもらった。往復航空券に行き帰りのピックアップ、1泊ホテルと緩めな観光ツアーがついて9万円ほど。

自分で手配すれば確実に安いけれど、時間の短い旅行であればツアーがいい。もっと言うなら、アルゼンチンのパッケージ周遊ツアーで行くのがいい。ひとり旅には割高なので、諦めたけど次回誰かと行く際にはそれもいい。現地発着ツアーは基本英語かスペイン語しかない。

南米まで行くのに失敗したくない!お金に糸目はつけないって方にオススメしたいのは、スールトレックって言う旅行会社さん。思い出に残る個人旅行を手配してくれます。ウユニに行った際に使って、サービス、内容共に満点!ガイドさんとの相性は結構大切で、アクティブな旅が好きな方にはフィットしそう。こちらに事前に問い合わせをした際には、2泊3日で10万円チャーター旅行なので、確実に行くのであればこちらでしょう。


今回は、飛行機遅延がひどかったので、ブエノスアイレスにオフィスを持つ老舗の文野旅行会社さんに頼んだのは正解だった。色々と融通がきき、わたしの滞在時間に合わせたタイミングでツアーをくんでもらえたのと、ケアが行き届いていた。日本からのインターネット予約だったら、ここまでスムーズに気持ちよく旅はできなかった。

空港について、荷物が出てくるまでの時間も日本とは比べものにならない遅さ。待つのが嫌な人は、預け荷物をしないのがいい。空港ピックアップも現地調達か個人予約をすることで40分は短縮できそう。私は結局ツアー参加なので、メンバー揃うまではバスで待つことに。遅延からのこの待ち時間は夜着夕ご飯軽めには辛い。

ピックアップのバスでは、ロス・グラシアス国立公園のペリトモレノ氷河についての説明があった。バスの人数は12名ほど皆さんスペイン語圏。おかげで、ガイドさんは、すごく丁寧に、ゆっくりと、個人的に、英語の説明をしてくれました。翌日のツアーも40名ほどでうち8名ほどは英語の説明希望だったので、丁寧に対応してもらえました。逆に英語のツアーだと、英語がわかる前提になってしまうので、スペイン語圏多めなツアーのよかった点だった。

飛行機は遅れ、ホテルに着いたのが24時前。疲れはピークかと思いきやお腹が空いてしょうがない。

ホテルはロス・グラシアスの繁華街の外れ。国立公園側なので、朝のピックアップ時間は少しゆっくりできる7時45分だった。そこを配慮して文野旅行会社さんは手配してくれたんだと勝手に思っている。

繁華街といっても朝方観光地でお土産屋さんばかりなので、静かだし、遅すぎて徒歩圏内のレストランはしまっていた。しょうがないので現地で働く人用に24時間空いているスナックショップに。

バーガーとかナチョスとかが売っている。隣のキオスクにはアルコールもちゃんと揃っている。ナチョス食べようかと思ったけれど、他の人がオーダーしていたシュラスコバーガーにしてみた。サブウェイスタイルでお野菜やチーズを好きなだけ入れられてすごく良い。

夜遅いからか結構混んでいて5組くらいはお客さんがいて、買ったものを持って歩いていると犬さんがくっついてきます。みんな大きい犬ばかりです。可愛いけど。キオスクでパタゴニアって名前のビールが売っていたので、それも買ってホテルの部屋へ。カウチソファーばりにベットでテレビ見ながら食べました。そして寝落ち。

朝にシャワーを浴び、ホテルのロビーでピックアップを待つ。とにかく静かだ。ホテルの周りに咲いているラベンダーに癒された。

ツアーは至って一般的なもの。大型バスに目一杯の人。緩めツアーなおかげでご年配な皆様と子供が多い。子供が好きなので、とても癒される。ご年配の皆様は自国語でガンガン話しかけてくるけど、割と伝わる。私も海外に行くと日本語でもガンガン話すようになったのはこの影響かもしれない。

バスでちょっと遠目からみる氷河と写真を撮る。遠いからこそわかる広さに驚く。次に船に乗って氷河の間近まで。近くで崩れるのを見れればラッキーだ。最後に国立公園のお散歩コースを歩き、お弁当をそこで食べる。みんなホテルにオーダーして作ってもらい、持ってくるスタイルだ。現地でも買えるが種類が少ないのと、高い。氷河ざんまいの半日。

元気があれば氷河を歩くトレッキングツアーもいい。私は体調がすこぶる悪い中参加したため、お子様コースにしてしまったが、機会があればまた挑戦したい。氷河の氷でウイスキーを飲めるなんて最高。それが無理でも街にアイスバーがあるから、そこで体験してもいい。

私も行こうと思ったが、予約がいっぱいだったのと、飛行機の時間が迫っていて融通がきかなかったので諦めた。飛行機がものすごく遅れたので、行けば良かったよ。そんな小さな町はツアーごの2時間程度で十分な見所。

値段もするし、行くのも大変だけれど私は見るべきポイントだと思った。事前準備でもっとお安く行けるだろうしね。足を伸ばして、目指せ南極なんてのも時間とお金に余裕があればやってみたい経験だね。

氷河が崩れる音が子宮が剥がれる音に聞こえたのは、新しいものを作り出す音なのかもしれない。男性には男性の音があるのかな?隣で涙を流しながら氷河を眺めていた男性に聞けばよかったと思う今日この頃。





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