[現地観戦]雑感#9|2024.4.11 ノア後楽園ホール「拳王vs清宮/モリスvsHAYATAのナショナル王座戦など」
現地で観戦してまいりました。休日開催かつGHCヘビー戦が組まれていた前回の後楽園ホール大会と比べると、客入りこそ若干の寂しさがあったものの、試合の白熱具合と観客の盛り上がりは負けず劣らず。この日ならではの独自のテーマを持った試合が複数あり、かつ結末に意外性があったり、大満足の興行でした。
会場では終始興奮気味だったので、雑な内容になってしまうかもしれませんが、簡単に感想を残します。また、プロレス観戦にハマって一年足らずの新参者なので、内容が浅かったり、見当違いな見解があったりするかもしれません。ご容赦ください。もし誤りがあったら、コメント等でご指摘いただけると非常に嬉しいです。
公式サイト試合結果ページ
雑感
(1)ニンジャ選手、ウルフ選手に盗まれたハードコアベルトを奪還
まずはいいアングルで撮れた写真をおすそわけ。
この両選手にアレハンドロ選手を加えての3WAYマッチでしたが、終始ニンジャ選手とアレハンドロ選手が結託する展開。正規のタッグパートナー同士とはいえ不均衡に感じたのですが、元々この試合はドラゴン・ベイン選手を含めたタッグマッチだったのでその名残りもあったでしょうし、GHCハードコアの前哨戦としての位置付けからも必然的にそうならざるを得なかったのだろうと思いました。
フィニッシュはニンジャ選手がベイン選手のフィニッシャーであるツイスターベイン(シューティングスタープレス)でウルフ選手から3カウント。ニンジャ選手が他の選手の技を掟破り的に使うのを、私は見た覚えがなかったので驚きがありましたし、それをウルフ選手の技でなく、ウルフ選手のパートナーであるベイン選手の技で敢行するというのが、捻りの利いた挑発として意外性とともに面白かったです!
(2)憂流迦選手の本領炸裂!刹那のスリーパー斬り!
今年1月にデビューして以来、プロレスへの順応性の高さをまざまざと見せつけ、ロープワークや派手な動きの技など“プロレス的”なムーブを貪欲に吸収し、元総合格闘技選手とは思えないほど自然に披露してきた憂流迦選手。と同時に、どの試合でも「一瞬で試合を決めてしまいかねないサブミッション」を小出しにし、その刀の刃先をちらつかせてもいました。それが試合に緊張感を生み憂流迦選手ならではの持ち味としながら、観客を楽しませていたように思います。そしてついに、本領ともいえる刀を鞘から抜いてしまいました。
宮脇選手に攻められていた局面のこと。憂流迦選手が一瞬の隙をついて横っ面に強烈な張り手。宮脇選手がそのまま背中を見せると、憂流迦選手、すかさずスリーパー。宮脇選手が腰を落とすと、数秒とたたずにその腕を離し、「またつまらぬものを斬ってしまった」とばかりにその場を立ち去る憂流迦選手。そして告げられるレフェリーストップ。まさに一瞬の出来事でした。スリーパーでの失神でレフェリーストップ、新鮮で驚き、そしてやっぱり憂流迦選手は怖くて面白い!
(3)HAYATA選手がやった!GHCナショナル王座戦!
先にちょっと触れておきたいことがあるのですが……
このアンケート結果を知りつつ観戦に臨んだのですが、驚くことに会場での声援の大きさはこの結果のちょうど逆ぐらいの割合でした。つまり圧倒的モリス支持。HAYATA選手は口数の少ないタイプだから、ファンの方も……? と想像してしまってちょっと面白かったです(もちろんそんなことはないと思います)。
さて、HAYATA選手、やりやがりましたね。前哨戦でも見せたロープを利用しての反則フォール。思えば、ダガ選手とのGHCジュニア戦の前哨戦や、他にもどこかで見た記憶があるのですが(GHCジュニアタッグの前哨戦かな?)、まさか大一番でやってのけるとは。もう私、決まった瞬間に「やりやがった〜!」と叫びながらシンバル叩き続けるサルのおもちゃみたいに手を叩いて喜んでしまいました。
試合も、モリス選手のタイガードライバーをHAYATA選手が返してから一気に盛り上がりました。あそこで返せたのは本当に大きいと思います。その後の攻防は特にハイレベルで、一つ一つの動きに全て見応えがありました。前回の後楽園ホール大会の感想でも書いたのですが、「怒り狂うモリス選手と涼しい顔のHAYATA選手」のドタバタ劇は本当にツボだったので、これで終わってしまうのは寂しいですね……。
(4)誰が出てきても面白いマッチアップ、豪華な8人タッグマッチ
8人とも強烈な個性と確かな実力、そして各々の物語を持っていて、どこを切り取っても異なるジャンルの傑作ストーリーが楽しめる、プロレスサブスクの名作シャッフル再生のような趣でした(喩えがわかりづらい笑)。
例えば……
というわけで、先日の「ジェイク×藤田」の続きが見られたり(藤田選手は練習生の小田嶋さんにも赤まむしドリンクを飲ませていた)。他にも、ジェイク×潮崎の「あなたが私に挑むんだ」因縁が歩を進めたり、そもそもGLGのリーダーやTEAM NOAHのリーダーがNOAH本隊に混じっている光景が異様だったり。
そんな見どころ盛りだくさんの試合の終幕時に撮れた写真がこちら。
たいへん贅沢な試合でした。
(5)マサ北宮選手の思いやり
この「TOKYOスクランブルスペシャル8人タッグマッチ」で私が最も胸を打たれたのが、マサ北宮選手の思いやりです。この試合において大岩選手は、清宮選手不在によりアウェイな立場、ともすれば孤立しかねないシチュエーションだったと思うのです。北宮選手はそんな大岩選手に、合体攻撃を持ちかけたり、試合後も、潮崎選手の豪腕ラリアットでグロッキーになった大岩選手のもとへ真っ先にかけつけ、肩を貸していたりと、常に気にかけているように見えたのです。
以前、ジェイク選手が清宮選手に対して「塩マイク」と責め立てたときに、北宮選手がバックステージで「ストレートな言葉を失敗だと言うんじゃねえよ。ジェイク・リーの立派なマイクも大したもんだ。でも清宮だってストレートなもの持ってんだろ」と清宮選手をフォローしたこともありました。
他にも、征矢選手のYouTubeチャンネルで居酒屋で酒を大量に飲む企画に参加した時、酩酊した征矢選手の支離滅裂な言動にニコニコと耳を傾けているのを見て私は……と話がそれまくっているのですが、とにかく北宮選手の思いやりにはたびたび目頭を熱くしてしまうのです。そんな思いやりに満ちたタフな北宮選手がGHCヘビーのベルトを巻く姿、絶対に見たい。改めてそう思わせる今日の試合でした。
(6)タイトルマッチやビッグマッチでは見られない、特別な「拳王vs清宮」
今から書くことは、プロレスファン歴が長い方からしてみれば、何を今更そんな当たり前なことを、と思われるかもしれません。
NOAH観戦歴が短いため、認識に誤りがあるかもしれませんが、拳王チャンネルの「清宮海斗年表」を見るに、これまでの「拳王vs清宮」のカードは、タイトルマッチやビッグマッチで行われ、ラフな攻撃も多少はあったかもしれませんが、原則としてはフェアな真っ向勝負だったと思うのです。
ただ、今回はタイトルマッチでもなければ、ビッグマッチのメインでもありません。さらに、試合のテーマが「歪んだ愛で粘着する男vs面倒くせえと拒絶する男」のドロドロの愛憎劇だったわけです。だからこそ感情むき出しの喧嘩に近い攻防で、暴走ぎみの場外乱闘に傾れ込むなど、クソデカ感情激突バトルが必然性を以て実現した、今後また見られるかわからない特別な「拳王vs清宮」のカードなんだと試合を観ながら気づいたのでした。
もちろんラフに終始せず、途中からはハイレベルな攻防が繰り広げられ、試合内容にも大変満足しました。会場も、「海斗コール」と「拳王コール」が交互におこったり、半々の割合で同時におこったり、前回の後楽園のワグナーvsジェイクに負けないほど白熱して、最高の空間を楽しむことができました。帰りに飲んだ生ビールが美味かった!