
映画パンフレット感想#9 『すべての夜を思いだす』
公式X(Twitter)アカウントによる紹介ポスト
-2/28.公開まで03日②-
— 映画『すべての夜を思いだす』 監督脚本:清原惟 | 2024/3/2(土)公開 (@subete_no_yoru) February 28, 2024
/#すべての夜を思いだす
清原監督 手作りパンフ
販売決定!
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監督みずから編集を手がけ,一つ一つ手作りしたパンフレットの画像を頂きました!なんとロケ地散歩MAP付き🤸♂️
マップ持ってサントラ聴きながら多摩散歩したらほぼ映画の中ですね~😊 ユーロにて販売📖 pic.twitter.com/LW6uKUenwB
清原惟監督によるX(Twitter)アカウントでのポスト(制作風景など)
ユーロスペースにパンフレットを納品しました!
— 清原惟 Yui Kiyohara (@kiyoshikoyui) February 28, 2024
リソグラフで印刷して、ひとつひとつ手で製本しています!(思ったより時間がかかってしまって、続きもまだコツコツ作業してます🏄♂️)
中身も素晴らしい方々に執筆していただきよいものに。
手作りのため、数量限定となると思いますので、みなさまぜひ⛳️ pic.twitter.com/sdhubqAsja
今日もめちゃくちゃ製本しました。友人たちが助っ人にきてくれた。ありがとう。
— 清原惟 Yui Kiyohara (@kiyoshikoyui) March 3, 2024
これから映画監督で本作の助監督も務めてくれた太田達成さんとのトークです。 pic.twitter.com/ZsiiUOqTBG
パンフレットについて🌿
— 清原惟 Yui Kiyohara (@kiyoshikoyui) March 17, 2024
自費出版で、私自身で編集・デザイン・製本も行っています。
内容は音楽、建築、文学、美術、詩、映画など各分野で活躍している方に書いていただきました。
表紙画・挿画は、文學界の表紙を務める画家の下山健太郎さん。
付録として、多摩ニュータウンのロケ地マップつき。 pic.twitter.com/azzcqlypn1
家で製本して、つど納品しているため、売り切れているタイミングもありますが、ご容赦いただければ幸いです。
— 清原惟 Yui Kiyohara (@kiyoshikoyui) March 17, 2024
また、リソグラフ印刷、手製本のため、多少のにじみやゆがみもご理解ください。
落丁があった場合は、劇場窓口に現品をお持ちいただいた上、交換いたします。
遠方の方はご連絡ください!
感想
全60ページ弱、縦書きで文庫本ばりに文字がぎっちり詰め込まれた、“パンフレット”というより“ブックレット”と呼ぶのが相応しい一冊。実際、表紙には『A Book of Remembering Every Night』、1ページ目には『すべての夜を思いだすの本』と標記されている。テキストの詰め込み具合は、上部に引用した清原監督のポストからも確認できるとおり。
全ページモノクロで、スチール写真はないけれど、イラストや風景写真などが数点掲載されている。また、同じく上部に引用した公式アカウントのポストにもあるとおり、冊子には付録としてロケ地マップが挟みこんである。こちらも地図制作と解説文は清原監督自らが手掛けており、手作りならではの温かみがある。
単純に文字量が多いこともあり、とにかく読み応えが抜群。一般的な映画のパンフレットに掲載されるような、作品の批評/論考の寄稿もあるが、全体の印象は「作品をテーマにして書かれた詩的な創作文集」の色合いが濃い。清原監督と親交の深い人物も数人参加しており、「友だちと楽しみながらつくった本」的な雰囲気も感じられる。
私個人的に興味深く読んだのは、印牧岳彦氏の寄稿で言及されていた「多摩ニュータウンが出来た当初に抱えていた課題」と、細田成嗣氏の寄稿で展開されていた「映像と音の同期/非同期によりもたらされる効果」の話。ほか、私は本作の鑑賞中にバス・ドゥヴォス監督作品『ゴースト・トロピック』や『Here』と共通する点を看取していたのだが、そこにも通ずる話が本書にあり、より深く考察することができた。
読み終えたあとにもう一度映画を観たくなる“本”だと思うし、B6サイズで持ち歩きやすいのでカバンに忍ばせてロケ地巡りしたくなる”旅のしおり”だとも思う。お値段は1,800円と少しお高めだけど、500冊売れないと足が出るとかそんな話も聞くので、映画を少しでも気に入ったならばお布施的にでも買ってあげてほしい……って私は一体なんの立場でそんなことを。
なお、一般的な映画パンフレットで見られる、制作背景や描写の意図などが語られるような内容のインタビューは、公式サイトに掲載されているので、そちらも合わせて楽しむとよいかも。