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映画ノクターナル・アニマルズ

はじめてのnoteで大好きな映画
「アメリ」について話しました。

アメリの文章良かったよ
他の映画についても話して

など言って貰えて嬉しかったので
これまでで一番傷ついた映画
「ノクターナル・アニマルズ」の話をします。

ファッションデザイナーとして名を馳せたトムフォードを監督に、エイミーアダムス、ジェイクギレンホールを主演に描かれる辛い物語です。

映画監督として「シングルマン」に続く2作目の物語を映画好きの母に誘われ徳島のufotable cinemaで鑑賞しました。

以下、作中のセリフを含むネタバレあり。
町山智浩さんの「映画その他ムダ話」の解説を基に話します。


ざっくりあらすじを説明すると、エイミーアダムス演じるセレブアートギャリー経営者「スーザン」にジェイクギレンホール演じる小説家志望貧乏元夫「エドワード」から夜の獣たち(=ノクターナルアニマルズ)という小説が届きます。

スーザンが読み進めていく小説はスーザンの頭の中で想像されたストーリーとして映し出され、過去の2人の出会いから別れまでの回想を交えつつ現在の物語が進んでいきます。

読み終えたスーザンは、金持ちイケメン浮気者現夫に魅かれ、エドワードと別れたことを後悔する…といった感じです。

小説について説明すると、ある家族(父、母、娘)が「レイ」率いる悪者たちに絡まれ、母娘は誘拐され強姦され殺され、残された父親は復讐のためにレイたちを殺す、といった内容。
肝となるのは、スーザンの想像から映し出される父親が元夫エドワードの姿である点です。

この小説の部分がストーリー的にも映像的にも本当に辛く忘れらないほどですが、私が深く傷ついたシーンは他にあります。
スーザンの回想シーンで、夫であるエドワードに別れを告げた時のエドワードの言葉です。

誰かを愛したら努力すべきだ
簡単に投げ捨てるな
大切にしろ
失えばもう二度と戻らない

この映画は夫婦の別れではなく
トムフォード監督自身を描いています。

本当はアーティストになりたかった。
けれどファッションデザイナーとして成功し、富と名声を手に入れ最高の生活をしていた。
けれど空っぽの人間だった。
酒とドラッグに溺れ、いつも心は満たされていなかった。

そうインタビューで答えているそうです。

一度は愛したアーティストへの道がエドワードで、それを簡単に捨ててしまったスーザンが過去の自分だと。そして、小説の中の家族を守れず死なせてしまった弱いエドワードも自分自身なのだと。


わたしにも必要ないと切り捨ててきた人や物事が数えきれない程あります。

それらは本当に必要なかったのか。
自分にとって大事ではなかったのか。
思考だけで判断し、感情を殺していなかったか。
正直考えてももうわかりません。


失えばもう二度と戻らない


この言葉の真意を
失えば二度と戻らないかもしれないという気概を持って人や物事と向き合えているか。
そう受け取り、全く出来ていない自分に涙が溢れて止まらなかったのだと思います。

そして
ジェイクギレンホールという偉大な俳優。
ジェイクがエドワードじゃなかったら、これほどまでに印象的な映画にならなかったと確信しています。loveジェイク♡


トムフォード監督は、映画を作り観る人の心を動かすことでアーティストへの道を再構築しています。
わたしの感情を大きく揺さぶってくれた監督の、今現在と今後の人生において、心が豊かであることを願っています。

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