人身事故で電車に90分ほど閉じ込められた備忘録
ある駅で人身事故があった。
そのとき私は事故があった駅からほんの500m手前あたりで足止めを食らっていた。概ね90分ほどの立ち往生だ。
連休明け初日、会社帰りの夜のこと。
この事故の影響で、沿線含めてかなりの電車が遅延していた。
「◯◯駅までたどり着くことができません」
という、世にも奇妙な車内アナウンスが何度も流れ、そのたびにため息をつきたくなったし、たぶん周りのサラリーマンたちも同じ気持ちだっただろう。
不自然に静まり返った車内に、虚しく響くアナウンス。
「たどり着けません」
なるほど、と、思った。
仕方なくスマホを取り出しソリティアを楽しんだ。それから馬鹿みたいにハッピーな曲を、例えばTWICEなんかを聴いて過ごす。
この日、わたしにはそれくらいの余裕があったのだ。
たまにTwitterで、同じく足止めを食らっている人々の阿鼻叫喚を眺め、それから深呼吸をする。
オチはない。
ただ、そういう帰り道だった。という話だ。
おしまい