【妻のトリセツ】不機嫌なわたしでごめんあそばせ
これは、夫婦関係に悩むある友人に向けて書いた手紙のようなものである。
わたしも結婚して10年経つが未だに発見があり、夫婦とはなんとも難しいと日々実感している。
なのでこれが役に立つかどうかはわからない。
てめえに底知れぬコンプレックスを感じる
妻は不機嫌になる。トリガーなんてなんでもいい。
そして持続性不機嫌に陥ることも少なくない。
なぜかわかるか?
夫と同じリングで戦えないからだ。
負けてるんだよ、社会的な価値として。そもそもマイナスからのスタートだ。
妻になり、母になると、自分自身がこの社会においては圧倒的弱者だと痛感する。
転職?昇進?昇給?海外転勤?ふざけんな。うらやましい。
どうして家の中でこんな敗北感を舐めて過ごさなくてはいけないのか。
これが理不尽な怒りだと、どうか言わないで。一緒に怒ってほしいだけだから。でもそう素直に言えるわけもない。
だって、どうしたら社会が自分を認めてくれるのか、ちっともわからないから。妻と、母と、女と、なりたい自分がたくさん居て困っている。
夫が理詰めで来たら、妻は感情の波で押し返すしかない
丁寧に説明すんな。理詰めで丸め込もうとすんな。妻の怒りが白けてしまう。
そうなると、どうでもよくなる。話したくなくなる。
悪いが妻はフィーリングヤッホーで生きている。わかるか?フィーリングがヤッホーなんだ。
説明しづらいし、説明したら余計白ける。
夫の感情はどこにある。言ってみやがれよ。できるかい?妻にはできる。
妻は新進気鋭のクリエイターなのだから。
本当は、そういうところを認めてほしい。口に出したら負けだから絶対に言わないが、フィーリングヤッホーだから仕方ない。
支離滅裂だと思うなら、アートだと思って接してほしい。
表面的な部分じゃなくて、もっと深いところに真実がある。
夫の優しさは闇フィルターのせいで妻の惨めさに変換される
手詰まりなのか?手土産なんか用意しやがって。
こんなもので喜ぶと思ったか?妻が何を感じたと思う?
惨めさだよ。
もうだめだ、と思った時に、どうして今?と妻は思う。もう少し早ければ、もっと違ったのに。
闇のフィルターのせいで夫の行動がすべて全部嫌味に変換される。優しさなんか素直に受け取れない。
お菓子もアクセサリーも、自分の好きなものを夫が選んでくるたびに思う。
おせーよ。
だから、そういう時には、どうしてこれを選んだか説明してくれ。妻を想って選んだことを伝えてくれ。
ロジカルな説明はNGだが、妻への愛と家族の夢を伝え続けろ。
闇フィルターを少しずつはがしていけ。
妻はいつだって理不尽に怒る
でも、理由はある。
ただ、どう伝えたらいいのか分からないし、できれば察してほしい。察してほしいというのは実に理不尽だけど、せめて妻ナイズされたヒアリングを希望する。
妻はしゃべりたいのだ。同じリングの上で、対等に。そして根気よく、怒らないで話を聞いてほしい。
10年経ってもまだよくわからん
不機嫌になれる相手と一緒に居られることは、実は幸運だ。でもこのことに気づくのは、すげー大変。10年くらい平気でかかる。
わたしは結婚してちょうど10年経ったが、その中で印象深い出来事がいくつかある。これがきっかけで、少しずつ夫を見る目が変わった。
①喧嘩して夫を泣かせた
これは本当にびっくりした。そして同時に嬉しかった。夫はロジカルなタイプで、いつも理詰めで私を言い負かしていたのだが、この時ばかりは何でか忘れたが泣いて居た。
それを見て私は笑った。どうしようもない妻だ。しかし、それがすこし嬉しかった。
②7年越しの結婚指輪
わたしの不機嫌が絶頂だった時、結婚7年目にして夫が結婚指輪をくれた。本当に正直なことを言うと、なぜ、今!?という気持ちの方がでかかった。もっというと惨めな気持ちになった。感謝もしてるが恨みもしている、不思議な指輪だ。
③夫のプレゼン資料に痛烈なダメ出し
これはごく最近の出来事だが、テレワークが始まってから夫のプレゼン資料に意見する機会があった。
これがまあ本当に面白くも何とも無いフツーの資料だったので、とりあえず毒にも薬にもならないようなコメントをした。
すると「ちがう、もっと率直な意見をくれ!」と言うものだから、オブラートZEROで率直な感想を伝えたところ、それを素直に聞き入れたのだ。
フィーリングヤッホーな私の意見を聞くなど、未だ嘗てない。これからも無いと想っていたのでびっくりしたし、すこしは同じリングに上がれたのではと、嬉しく想った。
だからなんだよ、って感じかもしないが、本当にこういう些細なことが妻の心を動かすこともある。
そしてこういうのはロジックじゃ無いし、人それぞれだ。だから悩んでいるなら数を打って打率を上げろ、思いついたことは全部試せ。
妻が不機嫌で夫に対して辛く当たっている場合の多くは、蓄積された小さな傷が化膿している状態だろうと思う。
私もかつては壊死寸前だった。
しかしながら、何とか平穏な日々を今は過ごしている。
理由はよくわからない。夫も私も丸くなった。不機嫌でいることに疲れただけなのかもしれない。
そうやって、うちの場合は家族になった。
夫婦とは、家族とは、そういう面倒くさいものなのだから、とことん面倒くさいことをやってみるべきなのかもしれない。