うなぎを食った夜に張ってしまった、しょうもない見栄
うなぎは、うまい。
本当に美味しかった。特に肝が良い。ねっとりしていながら、ゴリッとした食感がある。それが良い。
前回、自粛要請明けに飲みに行った友人と、性懲りもなくまた飲みに出掛けた。
彼のよくわからない面倒見の良さは感服せざるを得ない。
前回あれだけ鬼絡みしたにもかかわらず、彼奴は私を飯に誘ってくれた。否、誘ってくださった。
友人関係が極端に閉じられている私には嬉しいことこの上ない誘いである。
そして今日も楽しく私は自分勝手に酒を飲み、タバコを吸い、そして飲んで気持ちよく帰った。
しかし、私は彼に決定的な嘘を彼についてしまったことをここで懺悔したいと思う。
帰り際、私は店を出る支度をしていた。
まず、タバコと財布と携帯を鞄に突っ込み、それから愛用しているスカルヘッドホンを肩にかける。
酔っ払っているので写真がブレている。
とにかくこれが件のヘッドホンであるが、私がこれで一体何を聞いているのかという話になった。
そこで、なぜか私は息を吐くように
「色々だよ、洋楽とかけっこう聴く」
と、答えた。
興味なさげに彼はふぅん、と返事をしてくれたのでこれ以上この会話が続くことはなかった。
しかし、これが私のしょうもない見栄である。
実際のところ、最近は洋楽なんか聴いちゃいない。
ほとんどTWICEしか聴いてない。
あのいかついヘッドホンで聴いているのは、ほとんどTWICEだ。
これが、うなぎを食った夜、私が張ってしまったしょうもない見栄なのである。
おしまい