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羽衣 東銀座
その日、私はのっぴきならない用事があってGINZA SIXに行かなくてはならなかった。
昼休みのうちに、のっぴきならない用事を済ませ、昼ごはんを食べに行こうという算段だ。
もちろんココじゃない。
GINZA SIX内のランチ価格は容赦なく無慈悲に貧乏人(わたし)をはねのける。願い下げだこのやろう!と、心の内で絶叫し、早々に立ち去ったのは言うまでもない。
というわけで、東銀座方面へと向かった。
兼ねてから行きたいと思っていた店がある。
それが「羽衣」だ。
「羽衣」は、かの文豪、池波正太郎が通ったらしい中華料理店である。
レトロな喫茶店を思わせる入り口、唐突に飾られた銅鑼、ファンキーな羽衣のフォント。
完全に情報過多である。
入り口に銅鑼があったら打ち鳴らして入るべきか悩む。それくらい空腹だった。
空腹は人の頭を狂わせる。
池波正太郎もおそらくあの銅鑼を鳴らしたくて堪らなかったのではなかろうか?
というか銅鑼はどうでもよくて、私は「羽衣」の河南涼麺を食べたかったのだ。決してGINZA SIXのギラギラに負けたからではない!
正直のっぴきならない用事よりも、こっちの方がよっぽどのっぴきならないんだ!
例の怪しげな銅鑼の手前に出された黒板にしつこく三回も冷麺と書かれたメニュー。そりゃあさぞかし美味かろう!
のっぴきならないうまさだろうよ!
うまかった。
超うまかった🦐
あ。ダメだ。
今日ちゃんと文章書けない日だ。
GINZA SIXのギラギラに負けた心理ダメージがまだ後を引いてる。
とりあえずこの語彙力のなさは後日フォローするとして、美味しかった。
GINZA SIXに負けた私を優しく受け止め、そして慰めてくれた「羽衣」の河南涼麺。
だが、読み方はよくわからないし、調べる気力も正直残っていない。
要するに冷やし中華だと思ってもらっていい。
池波正太郎はこの店で餃子をよく好んで食べたそうだが、私はそんなことすっかり忘れていた。
だから次にこの店に行くときにはダメージを受けぬよう、GINZA SIXは素通りして行くとしよう。
そして健康なメンタルで餃子を頼もうと思う。