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怨嗟の咆哮!!アグレッシブ烈子!!
アグレッシブ烈子にドハマりした。
面白い。面白すぎる。
社会人特有のやるせなさを可愛らしさで誤魔化しながら実に巧みに描いた作品だ。
海外アニメについて書いてきた自分も今回ばかりはアグレッシブ烈子について綴らなければなるまい。
今回の記事は前半は未視聴勢向けのアグレッシブ烈子の紹介及び布教、後半はあまりにも深いs1の感想について書いていきたいと思う。
◆アグレッシブ烈子とは?????
今更紹介する必要もあるまいが彼女は由緒正しいサンリオキャラの出だ。
しかしながら正統派であるマイメロディやキティ先輩の様な王たる風格を持つめちゃカワキャラとは違いどちらかと言えばKIRIMIちゃんやぐでたまの様な変化球系の特異なキャラクターと言えよう。
まずは恒例の簡単なキャラクター紹介から
見た目は可愛らしいレッサーパンダの女の子であり、大手町の商社でOLとして働いている。
雲行きが怪しくなった。
OLのレッサーパンダである。
妊娠しているお爺さん並みに珍しい。
大手町のオフィスで働くレッサーパンダなど聞いたことがない。
そんな彼女の日常はゆるふわめちゃカワサンリオキャラとは思えない様な凄まじい苦しみと憎しみが吹き荒ぶ地獄であり…
まあ簡単に言うと社会人が顔面に日頃叩きつけられる日常そのものだ。
可愛らしいレッサーパンダに社会人の辛さを叩き込むんじゃあない。
昭和の価値観のままに生きる女性蔑視のパワハラ上司に茶を淹れさせられ、きゃるきゃるした男ウケの良い後輩の仕事を押し付けられる…理不尽な社会人特有の地獄にごく平凡な真面目さだけが取り柄のOLがボコボコに殴り倒される、そんな凄惨な作品なのである。
過度のストレスに怒り狂い怒声と慟哭をデスボイスという咆哮として世に放つ烈子の姿には働く人間なら誰しも同情と共感を抱かずにはいられないはずだ。
まだ社会に出てない学生は世の中大体あんなモンだから烈子を見て社会の洗礼に身構えよう!!基本社会なんてクソだ!!!!
この間紹介したボージャックホースマンが大人の闇を描いたものならばアグレッシブ烈子は大人の闇を描いたものだろう。
アレ?どっちも変わんないな?
ただ、明確に分けるのならばボージャックホースマンはそもそもまともな大人ですらない年齢だけ重ねた人格破綻者の底の見えない救いのない闇を描いた地獄。
アグレッシブ烈子はまともに大人になれた人間にすらふりかかる社会の理不尽さという闇を描いた地獄。
世の中の大半の人間は烈子の様に辛うじて社会に出れた大人達なので共感を得られるのは烈子の方かもしれない。
どちらも大人のエグい闇を動物キャラ化することで誤魔化している業の深いアニメなのでネトフリに加入している方には是非オススメしたい。どちらかが楽しめたならもう一つの方もきっとツボにハマるはずだ。
◆疾風怒濤のs1感想
ここからはs1のネタバレを含むため未視聴の方はこのブログを閉じ回れ右をし衣服を全て脱ぎ捨てネトフリを開いてアグレッシブ烈子を見よう!!!
s1を完走した所感としてはs1は『烈子、夢見がち逃避編』といったところか。
ひたすらに労働の苦しみからぼんやりとした夢や理想に逃げようとして現実の厳しさに叩きのめされる。そんな話だ。
◆クソガバ結婚願望
烈子は労働と職場に耐えられなくなり、友人の経営する輸入雑貨屋への転職を夢見る…
が、結局その話は頓挫、転職の夢は叶わず更に職場での立ち位置は悪化…
その後に烈子が至った考えが
結婚して専業主婦に転生し労働という苦痛から逃れよう
という社会人なら誰もが考える逃避策である。
甘い。
甘過ぎる。無論、自分だって考えたことがある。稼ぎの良い人間と結婚して自分は専業主婦!!!なんとも憧れる響きだ。
本当に働きたくない。
私は働きたくないのだ。
しかしそれはその先10年、20年、30年、その結婚相手と添い遂げられる自信がなければするべきではない。甘い。
専業主婦になったとしても5年で別れれば5年ものの無職、10年で別れれば10年ものの無職の出来上がりである。まともな社会復帰などできまい。
ましてや、言い方も悪いが金目当てで結婚した相手である。3年も保つまい。
相手を本当に欲した恋愛結婚以外で幸せな結婚をできるはずもない。
烈子含め専業主婦を目指して結婚する人間の欲しいものは専業主婦という『立場』であって『結婚相手』ではないのだ…
そう、そもそも相手に失礼過ぎる…
そんなモチベーションで自分と相手の人生を大きく変える結婚などするべきではないのだ…
結婚とはどちらかがどちらかにもたれかかるためにするべきではない…
1人でも生きられる自立した人間同士が最強コンビを組む形でなければ成り立たないと私は私の経験と周りの人間を見て思い至った…
イヤなんの話をしているんだ。
地獄の結婚観になってしまった。
鷲美か?
まあとにかくそんなしょーもない逃避のためだけに婚活を始めた烈子(25)だが、専業主婦の肩書のため、ではなくちゃんと1人の男性を欲して恋に落ちる。
それがれさすけである。
ここからが深い。
◆シビアなる刺客・れさすけ
れさすけは烈子の会社の営業部。
領収書をポケットに入れっぱなしにしてぐしゃぐしゃにし経理に通せずに自腹を切り、ボーッとして降りる駅を間違え遅刻…となんだかぼんやりとした、というか間違いなくADHDだ。作中では明確に言及しないが確実に発達障害持ちである。
そんな彼に会社の合コンで出会い、ボーッとした部分を落ち着いた雰囲気と好意的に取り付き合い始めた烈子だが細かい気配りのできないれさすけに不満が募り続け遂には爆発してしまう…
この件については誰も悪くないのだ…
れさすけはそもそも恋愛しようなんてしていない、誰かの彼氏になりたかったわけではない、気配りができなかったわけではない…
自分のADHDという特性のせいでそもそも気付かないのだ…
無論、れさすけを合コンに誘った先輩も悪くない…彼は彼なりにボーッとしたれさすけを先輩として心配し、彼女ができたら変わるかも…とか或いはこの先結婚できないなんてことがない様にきっかけになれたら…だとか善意で動いたに違いないのだから…
烈子とて悪くないだろう…彼女は専業主婦になりたい!という目的でれさすけに近づいたわけではない。その雰囲気に惹かれ一時的には恋に落ちたのだ…尤もその雰囲気の理由である発達障害が別れを呼んだのだが…
発達障害に恋愛はむずかしいというシビアな現実をs1ラストに叩きつけられた気がする。
烈子にフラれたあと部屋の中の観葉植物達に話しかけるれさすけが哀しい。
セクシャルマイノリティを扱った作品は増えたが発達障害に向き合った作品というものはまだまだ珍しい様に思える。
今の若い世代はそれなりに発達障害についての認識を持っている様だが、烈子は知らなかった。
烈子が発達障害に理解があればもしかしたらもっと違う展開になっていたかもしれない…
作中では発達障害については言及されない。
烈子と同じくADHDを知らない人間から見たられさすけは気配りのないフラれて当然のボーッとしたダメ男にしか見えないだろう。
凄まじい作りのアニメである。
正直言ってかなりキツイ。
かなりシビアな現実の話ではあるがかわいらしい動物達が登場人物だからなんだかふわふわしてる…
20代半ばに差しかかり己の今後の人生について悩みがちな社会人には凄惨なまでに突き刺さる作品と言えよう。
こんな調子でs2.s3が待っているわけである。
ワクワクが止まらねえな????
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