Question Frameworks: SPICEについて
一般的に疑問の定式化のFrameworkとして上に描いたPI(E)COフレームワークが知られています。
ただこのPICOには適切な様々なバリエーションが疑問や研究デザインによって存在します。
今週はそのうちのSPICEの原典について調べていて,大変勉強になったのでメモします。
SPICEがquestion frameworkの有名人Andrew Boothさんであることはおぼろげに覚えていたのですがその出典を調べていました。
上に引用した Foster, Margaret J., and Sarah T. Jewell. Piecing Together Systematic Reviews and Other Evidence Syntheses. Ed. Margaret J. Foster, Margaret J. Foster, and Sarah T. Jewell. Blue Ridge Summit: Rowman & Littlefield Unlimited Model, 2022.の4章にquestion frameworksについて解説があり,本書で質的研究デザインの疑問を定式化するフレームワークの1つとしてSPICEが挙がっています。
そして,参照資料として挙がっているもの(2つあり)恐らくコレかなと思うものは以下でした。
でも,「確かSPICEって2019年よりとっくに前から使われているフレームワークだよな」って疑問に思ったのが,今回調べたきっかけです。
調べていく中で以下の文献が目にとまりました。
Jordan J, Rose L, Dainty KN, Noyes J, Blackwood B. Factors that impact on the use of mechanical ventilation weaning protocols in critically ill adults and children: a qualitative evidence-synthesis. Cochrane Database Syst Rev. 2016;10(10):CD011812. Published 2016 Oct 4. doi:10.1002/14651858.CD011812.pub2
の文中でSPICEについてboothさんの資料を参照で挙げていました。
「 the SPICE (Setting Perspective Intervention Comparison Evaluation) mnemonic (Booth 2004)」
(SPICE frameworkを使って研究をされている文献です)
挙がっていた資料が以下になります。
Booth A. Formulating answerable questions. In: A. Booth, A. Brice editor(s). Evidence Based Practice for Information Professionals: A Handbook. London: Facet Publishing, 2004:51‐70.
ただ、この「Evidence Based Practice for Information Professionals」を直接確認することが難しく行き詰まったかと思ったのですが
boothさんが直接教えてくださいました。ほかの #medlibs な方々も別途のツールで調べたりご自身が院生時代(2005年か2006年ごろ)などにSPICEを共同で開発されたAnne BriceさんからSPICEフレームワークを習ったと教えてくださいました。ですので,原書をあたれなくても2006年ごろにはやはりSPICEは方法論として流通(活用)されていたのだなというところまでたどり着くことができました。
さらに,なんと入手がもう難しいこともありBoothさんがpreprint版として提供してくださいました。
Evidence Based Practice for Information Professionals: A Handbook. London: Facet Publishing, 2004
しかし,ざっと拝読したところ,SPICEの"I"として理解している"interest”の記載が見つけられず,??となったのですが、この2004年の原典を挙げなかった理由として,当初この資料の中では"I for Intervention" としていたけど,後に現在使われている "I for phenomenon of Interest" に変更したこともあり,常に原典をあげるわけではない(SPICEの参照ではあえて2019年の資料を参照に挙げている)と言うことを教えていただきました。
もう本当に本当に大変勉強になりました。
原則参照は原典を当たると理解してきた私には目からうろこの体験でしたし,あえてSPICEの参照に2004年のEvidence Based Practice for Information Professionalsを挙げていらっしゃらない理由もここにメモしておきたかったので記録させていただきます。
このような機会を下さった某先生には大変感謝申し上げます。