誰でも「おもしろい文章」を書けるようになる考え方
アイデアを形にする教室には、小説や脚本を書きたいという方や、自分の教育メソッドを言葉にしてまとめたい方など、「文章の書き方」を学びたいという方がたくさんいらっしゃいます。
10月末には特別講座をやることにもなっているので、少し、「おもしろい文章」を書くためのポイントをまとめてみたいと思います。
ロジックを整理する
「おもしろい文章」の最小構成要素。それは「ロジック」です。
ロジックとはなにか。それは「AはBである」です。簡単ですね。
「なぜなら」「それゆえに」「その原因は」「実は」……といった論理構造を示す言葉はたくさんありますが、そのもっと前にある、プリミティブな段階にある「ロジック」。それが「AはBである」というものです。
「AはBである」
「AだからBになる」
これは実は、人間以外には理解できないロジックです。
なぜなら、AはBではないからです。
……変なことを言い出したな、こいつ、と思いましたか? 順を追ってご説明しましょう。
たとえば、「冷蔵庫は食品を冷やす道具です」という文章を見ても、何も違和感を覚えないでしょう。これは、「冷蔵庫」は「食品を冷やす道具」であることに、多くの人は疑いを持たないからです。
でも、突き詰めれば、このロジックは自明ではありません。たとえば零下30度のシベリアに行けば、冷蔵庫に入れなくても、食品は冷える。もっといえば凍るんですね。冷蔵庫に入れた食品のほうが、むしろ温度は高くなる。「冷やす」というよりは「凍らなく」なるのです。
では、「冷蔵庫は人類を退化させる道具です」という文章はどうでしょうか? 一瞬、違和感を覚えるけれど、理解はできる、という人もいれば、さっぱりピンとこない人もいるでしょう。
あるいは「冷蔵庫は今もっとも、ビジネスチャンスに溢れた商品です」という文章はどうでしょうか? 意味はわかる。でも、一般的な認識からはかなり外れた、変なことを言っているように聞こえますね。
「おもしろい」文章には、ロジックの飛躍と、その説明(回収)がある
文章には、意味が通る文章と、意味が通らない文章があります。
また、おもしろい文章と、つまらない文章があります。
この「意味が通る/通らない」という軸と、「おもしろい/つまらない」軸というのは、位相が違います。
もちろん、まったく意味が通っていない文章は読んでも意味が取れないわけですが、取れないなりに「おもしろそう」ということはありえると思います。
では、おもしろい文章とは何か。それは「ロジックに飛躍がある」文章です。
「AはBである」の、AとBとの間に、意外性がある、常識とは違う。そういうとき、人は「おもしろい」と感じるわけですね。
とはいえ、飛躍ばかりしていてはわけがわからなくなりますね。飛躍したあとには、その間を埋めて、説明する必要があります。その説明が「意味がわからない」ものであれば、その文章は「おもしろそうだけど、意味がわからない」ものになってしまうわけです。
「飛躍」と「説明」。このブレンドが「おもしろい」を作るのです。
もっとも避けなければならないのは「意味が通っているけれど、つまらない」文章です。
「鳥は空を飛ぶ生き物です」とか、「食べ過ぎると太ります」ということばかりが延々と書かれていても、私たちはそれを読む意味を感じないわけです。
「普通はAだと思うでしょ? でも実はBなんです」と言われて、はじめて読む気になるわけですね。
(好評だったら、続きを更新しようと思います)
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