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文明は人間を幸福にしたのか

日曜日の朝に参加している読書会で
『サピエンス全史』を読んでいます。

かなり終わりに近付いており、
全20章あるうちの第19章を
読み進めているところ。
その第19章のタイトル
「文明は人間を幸福にしたのか」
でして、本記事のタイトルに引用
させてもらいました。

ここまで読み進めて来て、
従来の人間観、文明観、歴史観を
良い意味で揺さぶってくれる
「名著」
だと思うわけですが、
そのクライマックスを迎えている
感じがひしひしと伝わってくる、
そんな印象を受けています。

昨日読み進めたところに、
人間の幸福が「期待」によって決まる
という趣旨の話が出てきました。

幸福は、富や健康や社会的関係などの
客観的な条件だけで決まるのではなく、
主観的な「期待」によって大きく左右
される
という内容です。

そして、例証として、中世の農民は
ほぼ風呂に入ることなく、
ほぼ衣服を着替えることもない生活
でしだが、彼らはそれを不快だとは
思っていなかったはず
だとハラリは
述べます。

確かに、当時は風呂なんて贅沢だった
はずですよね。
衣服だって、そもそも作ることが相当
大変な作業
だったはずですし、
頻繁に着替えできるだけの衣服を
買う経済力を持つ農民などいなかった

と考える方が現実的でしょう。

結局、風呂に入らないのが当たり前
着替えないのが当たり前、という
常識に生きていた彼らは、
「風呂に入ってサッパリしたい」
「清潔な衣服を常に身につけたい」
といった期待値を持っていなかった

はずなのです。

現代の文明、殊にメディアは、
この「期待」を引き上げることにより、
人々の幸福を枯渇させている
のでは
ないか、ハラリはそんな問題提起を
投げかけていました。

このパートを読んで、私などは思わず
「文明」「メディア」とあるところを
「マーケティング」に読み替え
ざるを
得なかったのです。

その商品がなくても、今のままで十分
幸福感を感じている人たち
に対して、
「これがあるともっと快適」
「これがあれば不快感が低減」
といったことを訴えることで、
「現状」と「期待」との間のギャップを
広げ、そのギャップを埋める解決策と
しての商品を売り込むのがマーケティング

であると言えるのですよね。

だからといって、一概に「文明」や
「メディア」、「マーケティング」が
悪いなどと論じるつもりはありませんし、
むしろそれが社会の進歩を担っている
とも解釈できるわけですから、
誇りを持ってマーケティングに今後も
携わっていくつもりです。

マーケティングの本質論に迫る内容
書かれているなと思ったので、
こちらに書いてご紹介することに
しました。

プライム感謝祭の兼ね合いか、
『サピエンス全史』上下合本だと
お安く買えるようです。
未読の方は是非トライしていただき
たいと思います。


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ahiraga
己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。