「就職」から「創職」へ
4月1日。
日本の多くの会社で、
新入社員が働き始める日である。
就職活動を経て、新卒で今日から
新たな決意を胸に出勤!
という方々もいらっしゃることと
思う。
社会人としての第一歩を踏み出した
皆さんの、成功を祈るばかりである。
就職といえば、つい一ヶ月ほど前に
こんなエントリーを書いた。
「就職」というのは職に就くこと。
しかし、多くの人の実態は「就社」、
つまり会社に就くことが多い。
そして、最先端では「就プロ」、
つまりプロジェクトごとに働く場を
選ぶという働き方が現実のものと
なっている。
そんな状況を書かせてもらった。
最近、リッツ・カールトンで日本の
代表をされていた高野登さんから、
ホスピタリティに関する講義の中で
興味深いキーワードを伺った。
それが、「創職」である。
一目見て、何を言わんとするかが
分かっていただけるだろう。
「職を創る」
すなわち、一から職業を創ってしまえ、
という発想だ。
今の若者は、かつての就職氷河期を
超えるような、極めて厳しい状況に
直面していると思われる。
そんな環境においては、従来の
「就職」「就社」意識では、
なかなか抜きん出ることが難しい。
そこで発想を変えて、
「就職」ではなく「創職」へと
マインドを変えてしまおう、
そんな若者が増えているという
指摘だった。
年をとると、若者たちのマインドが
分かりにくくなる。
何だか頼りないなぁと思ったり、
得体の知れなさを感じたり、
つい自分たちの頃と比べて、
足りないところを探すような
ことになりがちだ。
しかし、実際に接してみれば、
頼りがいもある、
コミュニケーションの作法が
ちょっと違うだけで、実際は
自分たちの若い頃よりよほど
しっかりしている部分が相当
たくさんある。
何とも頼もしい話ではないか。
私が就職活動をしていた頃には、
「創職」
なんていう発想をする意識は
全く持ち合わせなかった。
そして、それは私の同級生の
ほとんどに該当することである。
もちろん、若くして起業した友人が
皆無ではないが、極々少数派。
「寄らば大樹の陰」の傾向にあった
のは間違いない。
就職状況が厳しいという現実が
あるからこそ、
「ではどうするか?」
と知恵を働かせて、新たな発想を
生み出す原動力となったりする。
「人生万事塞翁が馬」とは
正にこういうこと。
良い環境でぬくぬくと気を抜いて
いれば足元をすくわれ、
悪い環境でも鋭敏な感覚を保って
いれば成功への光明が見える。
そんなことを、「創職」という
言葉から連想したのだった。