幸せをカタチづくる要素
「幸福学」という学問があるのを
ご存知だろうか?
その名の通り、幸福、幸せを考える
学問分野だ。
その第一人者が、前野隆司教授。
慶應義塾大学大学院の
システムデザイン・マネジメント
研究科で教授をお務めになって
いる方である。
一昨日は、「お金があれば幸せか?」
というタイトルで、お金の方を
中心に書かせてもらったが、今日は
幸せの方からアプローチしようと
思い、前野さんの主張をご紹介する。
『ファスト&スロー』のベストセラーで
有名な、ダニエル・カーネマンの研究
では、お金が増えるほど幸福度も増える
のだが、それは年収75,000ドルまで、
という結果が出たそうだ。
日本円にして今だと800万円くらい。
それを超えてしまうと、年収が増えても
幸福度はそれに比例しては増えない。
幸福度を増やすには、お金以外、
「非地位財」と呼ばれる、心の幸せ
要素が満たされる必要がある。
その「心の幸せ要素」を、前野さんは
「4つの因子」として整理し、まとめて
いらっしゃる。
①「自己実現と成長」:夢や目標、やりがいをもち、それらを実現しようと成長していくこと。
②「つながりと感謝」:人を喜ばせること、愛情に満ちた関係、親切な行為など。
③「前向きと楽観」:自己肯定感が高く、いつも楽しく笑顔でいられること。
④「独立とマイペース」:他人と比較せずに自分らしくやっていけること。
この「4つの因子」が発現することで
幸福度が増している実験的な例と
して、前野さんが某サイトで紹介
されたのが「三田の家」「芝の家」
という名のプロジェクト。
地域の人たちが交流する場所として
縁側付きの民家を提供している
「だけ」のプロジェクト。
というと聞こえが悪いかもしれないが、
参加者の自発的な交流を引き出すための
工夫を色々凝らしている様子。
そこに集う人々は、特に最初は目的も
なく、「なんかやってるなー」位の
気持ちでやってくるようだが、お互い
色々と交流するうちに、②の「つながり」
が生まれてくる。
すると、③の「前向き」な気持ちが育まれ、
①の「成長」などへもつながっていく。
また、所詮はご近所同士とか、偶然
そこに来た人たちの集まりなので、
堅苦しくなくて緩い集まり。だから、
④の「独立」と「マイペース」がちゃんと
保たれている。
というように、4つの因子が見事に
全て満たされて、参加者の幸福度が
上がっていたというのだ。
下記サイトのインタビュー記事が、
私が上に書いてきたことをほぼ網羅
しているので、ご興味が湧いた人は
参考にしてもらえればと思う。
一昨日お金の話で少し引き合いに出した
サイボウズの青野社長が、前野さんと
対談している内容も、非常に分かりやすく
まとまっているので、更に興味がある
方は是非参考にしてほしい。
お金と幸せの相関関係についても
お二人で語らっている。
前野さんの幸せ研究を調べていて、
ふと、「GNP」ならぬ「GNH」、
Gross National Happiness という
指標を思い出した。
ブータン国王が来日したときに、
メディアでかなり話題にのぼった
ので、記憶している方も多いだろう。
経済(お金)では測れない、「幸せ」
の総量を最大化しようという考え方。
それで国を治めていこうという、
ある意味野心的な試みである。
未だにGNP、GDPで世界3位の規模を
誇る日本だが、アメリカや中国からは
大きく水をあけられている。
また、一人当たりで見ると、2018年
時点で26位。
高度成長期の前後こそ、経済規模が
大きくなることがほぼ「幸せ」の
拡大に直結していたのかもしれない。
しかし、少子化が進んで人口減少
時代を生きる今、経済規模ではなく
実質的な「幸せ」を求めることの
方が理にかなっている。
前野さんの「4つの因子」を追求する
ことと、経済拡大とが対立したとき
には、「4つの因子」を優先する位の
気持ちで国のかじ取りができたなら、
日本の未来も明るいのではないか、
そんな気持ちになったのであった。
己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。