マーケティングとイノベーションの違い
ドラッカーによれば、企業の基本機能は
マーケティングとイノベーション、
この二つに主に集約されるという。
そして、それぞれの定義は概ね以下に
まとめることが出来る。
【マーケティング】
顧客が買いたい価値を把握して、それを提供する。
【イノベーション】
顧客にとっての新しい価値を創り、それを提案する。
この区分に従うと、
マーケティング = 過去から学ぶ
イノベーション = 未来から学ぶ
そんな解釈も成り立ちそうだ。
本日、ドラッカー・スクールで学んだ
お二人が主催する会に参加したのだが、
そこでのお題が正にこの、
「マーケティングとイノベーション」。
主催者のうちのお一人、藤田勝利さん
とのご縁で、ありがたく参加させて
いただいた。
参加者がそれぞれどう定義するかを
チャットで書きあったりするなど、
インタラクティブなセッションを
楽しませてもらった。
私自身、上記の定義には違和感を
持っている。
イノベーションも含めた両者を
広義のマーケティングと捉えて
いるからである。
マーケティングというのは、
端的に言ってしまえば、
「市場をつくること」
なので、上にいうイノベーションも
市場を創造する行為として、
マーケティングの一部と認識する
べきだと思うのだ。
しかし、今日藤田さんとの会話を
通じて、ドラッカー流の分け方を
する意義がスッと理解できた。
今の顧客のニーズに立脚する(狭い
意味での)マーケティングと、
未来の顧客ニーズに応えようとする
イノベーションとでは、
実際に取り組むべき仕事や作業の
方向性、範囲、求められる特性や
スキルセットが、かなり異なるのだ。
二兎を追うものは一兎をも得ず。
今の顧客が何を求めているか、
じっくり聴き出してそれを満たしに
いく仕事。
今の顧客が求めているかどうかも
分からないが、未来の顧客に提案
していけば受け入れられるであろう
全く新しいコンセプトを、文字通り
「創出」していく仕事。
確かに、両者を分けてあげて、
いずれかに集中する環境を整えた方が、
より成果が出やすくなる気がする。
定義はとても重要。
重要だが、しょせんは道具。
仕事の目的を達成するために、
より有効に機能するような使い方で
道具を使いこなすことがより重要。
ということで、マーケターとしてつい
「マーケティング」という言葉に
肩入れしていた気がする過去を、
少しだけ反省。
広義のマーケティング
= 狭義のマーケティング + イノベーション
という整理を改めてした上で、
普段「マーケティング」という言葉を
使う際に広義の方を用いていたのを、
狭義を用いることとする。
ドラッカーの定義する「マーケティング」
は狭いので広げるべき!
ずっとそう思っていたが、結局ドラッカーの
定義に戻ってくるとは、まるでお釈迦様の
掌の上の孫悟空になった気分である。