「秘伝の○○」を持つ
先日、自由が丘でオムライスを頂いた。
「洋食亭ブラームス」という老舗である。
こちらの店は、デミグラスソースがウリ。
トロトロふんわりの卵の上に、
一週間かけて煮込んだという濃厚な味わいの
ソースがたっぷりかかっていて、
幸せな気分が味わえる。
デミグラスソースと言えば、五反田の駅前に
「グリルエフ」という老舗の洋食屋がある。
このページに説明のある通り、
先代から引き継がれたデミグラスソースを、
今なお継ぎ足し続けて出しているという、
「漆黒」で「えも言われぬほろ苦さ」の
ソースだ。
このソース目当てに、今もお客様が引きも
切らない様子。
伝統を守り続けるために、並々ならぬ
努力を払っていることは間違いない。
洋食ではソースだが、和食だと
「秘伝のだし」とか「秘伝のたれ」に
なるのだろう。
こういった、いわゆる「秘伝のソース」
「秘伝のだし」、「秘伝のたれ」は、
一朝一夕にできるものではない。
日々お客様と向き合って、たくさんの
フィードバックをもらい、自分でも
多くの気付きを得る中で、少しづつ
修正を繰り返しながら出来上がって
行くものなのだろうと推測する。
自分自身に、こんな「秘伝の○○」と
呼べるものはあるだろうか?
「これで勝負できる!」
「これこそが秘密兵器!」
そう強く宣言できる、自分なりの武器は
持っているだろうか?
つい最近まで、転職活動を行っていた。
数ヶ月の間に、何十回と面接を繰り返した。
その際に定番で聞かれる質問の一つは、
「あなたの強みは何ですか?」とか、
「何が得意ですか?」という類のもの
である。
先のブラームスやグリフエフであれば、
「デミグラスソースです」
と答えるだろう。
そして、味見をしてもらえさえすれば
合格を勝ち取れるレベルの実力を持って
いると言える。
自分にとってのデミグラスソースは、
一体何か?
自分なりの答えを、その都度説明してきた。
結局のところ、この「強み」や「得意技」が
生きるであろうことを、その会社が信じて
くれたときに、やっとご縁がつながる。
逆に言えば、「強み」や「得意技」が
全く響かない会社、求められていない会社と
ご縁がつながることはない、ということ。
この当たり前のことを理解しておくと、
面接で振られても、気持ちのざわつきが
抑えられる。
デミグラスソースを作らせたら絶品ですよ!
という人間がいくらアピールしたところで、
和風のだしを作れる職人を求めている会社が
彼/彼女を採用することはないのだ。
そして、いざ採用されたからには、
自分の「秘伝のソース」を出し惜しみせず、
同僚たちに、そして何よりお客様に、
ソースが絶品だと言ってもらえるような
仕事ぶりを目指したい。
更に言えば、「秘伝」をより一層進化させ、
「一子相伝」レベルに高めたいものである。
己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。