価格決定は、価値をプレゼンすること
本日は主催セミナーの第4回目。
お題は「Price」だった。
いわゆる「マーケティングの4P」の
うち、「Product」を前回扱って、
今回は「Price」、価格に関する
考察。
ただ、一口に価格と言っても、
価格を単独で語るというよりは、
4Pの手前のところで考えるべき
「差別化」とどう関連付けるか、
あるいは価格と他の要素との間で
いかに一貫性を保たせるか、
という視点で語る必要がある。
京セラの稲盛さんは、
値決めは経営
とおっしゃっている。
何とも含蓄の深い言葉である。
マーケティングを語る上では、
値決めが経営そのものと言われて
しまうと「ちょっと違う!」と
突っ込まざるを得ない。
と思いつつ、結局値決め=価格決定
をするには、マーケティングで
考える必要のある内容を一通り
考え尽くす必要があると言って
ほぼ間違いではない。
価格を考えるということは、
結局その商品の価値を考えると
いうことだからである。
この、「価格」と「価値」について
受講者の皆さんに考えてもらおうと
あるお題を出したのだが、その時に
「高くてもつい買ってしまう」
例として藤巻百貨店が出て来た。
実は今使っている財布は、約2年程
前に、銀座の東急プラザにある
藤巻百貨店の店頭で購入したもの。
話をしてくださった受講者の方は、
藤巻百貨店で相当な金額の買い物
をしている上顧客。
なぜ、価格が高いにも関わらず、
「つい」財布のひもを緩めてしまう
のだろうか?
そういう問いかけに、一つ一つの
商品に物語があること、と取れる
趣旨の答えを返してくれた。
残念なことに既に早逝してしまった
目利きバイヤーの藤巻幸大氏。
彼が創業した小売店が、藤巻百貨店
である。
伊勢丹で「カリスマ」として鳴ら
した目利きぶりをいかんなく発揮、
取り扱う商品のセンスが抜群で、
その商品の背後にある物語がまた
ファンの心理をうまくくすぐって
くる。
価格はハッキリ言って高い。
べらぼうに高いとまでは言わない
が、決して安くはない。
しかし、その高さにはハッキリと
した理由がある。
そして、その理由についての
プレゼンテーションが秀逸だと
思うのだ。
価格というのは、「価値の表明」だ。
これもまた、別の受講者の方から
聞くことのできた表現である。
「価値のプレゼン」と言い換えても
よい。
これだけ高い価値があるんだよ!
という訴えを、価格という名の
「フィルター」を通して行って
いるというわけだ。
だから、ただ高い値付けだけして、
なぜそれが高いのかをしっかりと
説明しないのは、売り手の義務を
中途半端にしかこなしていない
ことになる。
なぜその価格なのか。
そのことを、合理的に、お客様に
納得してもらえるように、説明が
できるようになること。
そのためには、商品に関する
あらゆることを、よく分かって
いなければならない、そんな気持ち
にさせられる。
詰まるところ、「値決めは経営」
と稲盛さんが言いたくなる気持ち
が、少し分かるような気がする
のである。