「モダントレード」と「ゼネラルトレード」
今週は、海外からの来客があり、
一緒に店舗を見て回ったり、
会議室でディスカッションしたりと
慌ただしい時間を過ごしている。
今回の客人は東南アジアの国から。
彼との会話の中で、
「モダントレード」
「ゼネラルトレード」
という言葉が出てきた。
久々に聞いたこれらの言葉たち
だが、今どきの日本人には、
実のところあまりピンと来ない
かもしれない。
というのも、日本における小売店の
大半が、いわゆる「モダントレード」
に分類されてしまうのが実情で、
「ゼネラルトレード」と言える
ような店舗は大分存在感が薄く
なっているからだ。
現代における、大規模な小売業者や
チェーンストアは、ほぼすべて
「モダントレード」である。
具体的には、スーパーマーケット、
デパート、ショッピングモール、
カテゴリーキラー、コンビニエンス
ストアやドラッグストアなどなど。
これらの店舗は一般に、
幅広い商品を品揃えし、
大量一括で仕入れを行い、
消費者へのプロモーションも
こまめに行うなどの特徴がある。
また、デジタル時代になってより
進歩したマーケティングの戦略や
戦術を駆使したり、効率的な物流の
システムを確立することで、高い
競争力を維持しようと試みる。
これに対して、「ゼネラルトレード」は
いわゆる「パパママストア」と呼ばれる
伝統的な小売業者や個人商店を指す。
地域の小規模な店舗や、
特定の商品を扱う専門店など、
比較的少ない品揃えと、取引の規模や
仕入れ方法において制約が多い
小売事業者だと言える。
日本でも、昔は特定商品しか扱わない
個人商店が多かった。
肉屋、魚屋、八百屋、米屋、酒屋、
といった具合に専門分化しており、
商店数も極めて多数に分散していた。
しかし、こういった店は、
品揃え豊富で、ワンストップで全て
一気に買い物ができる利便性から、
スーパーやコンビニなどに取って
代わられたのが実情だ。
「ゼネラルトレード」たる商店の
多くは、商店街のシャッター化等、
非常に追い詰められている状況と
言える。
これに対し、彼の国においては
まだまだ「ゼネラルトレード」の
割合が多い様子。
そして、「モダン」「ゼネラル」
両者の特性が余りに違うために、
展開する商品スペックをきっちり
変えないと、売れるものも売れない
とのこと。
そんな話を聞いて、日本というのは、
商売をする上で大変に恵まれた環境に
あるのだなぁと、しみじみ感じた。
例えば、コンビニは全部で6万店舗弱
ほどあり、導入されれば日本全国
津々浦々にまで、一気に配荷する
ことも可能。
「ゼネラルトレード」だったら、
配荷の実現に一体何ヶ月かかるのか、
甚だ心もとない。
いわゆるマーケティングの4Pのうち、
「Place」(チャネル)の発展度合いに
応じて、他の3つのPである
「Product」(商品スペック)
「Price」(価格)
「Promotion」(販売促進)
といった要素を適宜調整し、
全体の一貫性を取る必要がある。
久しぶりに、そんな基本姿勢に
思いを致した次第だ。