10分カットにもインフレの波
男性が髪の毛をカットするのに、
美容室派と理容室派はどのような
割合なのだろうか。
ざっとググると、理容室派の方が
多そうだ。
かなり古いアンケート調査になるが、
65%が理容室、
28%が美容室、
7%が使い分け、
というデータがあった。
その後の店舗数のトレンドを鑑みると、
理容室は減り、美容室は増えている
はずだが、この割合がひっくり返る程
ドラスティックな変化はないだろう。
理容室が6割を切り、美容室が4割に迫る
勢い、といったところが妥当な線では
なかろうか。
女性はほとんどが美容室に行っている。
なので、男女を足しあげると、
美容室が6割以上となって、
理容室を圧倒しているはずだ。
私自身は、男性のうちの多数派を占める
理容室派。
大抵の場合、最寄り駅構内にある
QBハウスで済ませてしまう。
10分でカットしてくれる合理性(今で
言うところの「タイパ」がよい)と、
1,000円という安い値段がきっかけで、
かれこれ20年はメインで使っている。
今では、1,000円から1,200円に値上げ
されて大分時間が経過したので、
昔の呼び名である「1,000円カット」は
もう使えない。
このQBハウスが、4月からまた値上げを
敢行するらしく、新価格は1,350円と
なることを知った。
インフレが、ついにここにも・・
というのが正直な感想だ。
10%以上の値上げなので、
現状の平均インフレ率に比べても
高めの設定。
ただ、このQBハウス、値段を上げるに
あたり、相当に周到な準備を重ねてきた
のではないかと思われるフシがある。
ずっとデフレが続いてきたので、
ともするとこれが永遠に続くのでは
ないかと錯覚している経営者は
多そうだ。
「錯覚している」は言い過ぎにしても、
錯覚しているのと変わりない状況で
長らく過ごしてきた経営者が多いのは
事実ではなかろうか。
しかし、QBハウスは、デフレ環境に
甘んじていなかった様子が伺える。
虎視眈々と、いつでも値上げできる
ように力を蓄えて来たのではないか、
そんなしたたかさが透けて見えるのだ。
というのも、「1,000円カット」を
捨てる前から、「10分の身だしなみ」
というタイパ重視のベネフィットを
より強く打ち出していたのだ。
価格で勝負する時代は、いつかどこかで
終わりが来るはず。
それを見越して、10分間でいかに高い
品質でカットサービスを終えるか、
その質の飽くなき向上に取り組んで
来たからこそ、堂々と値上げを実行する
ことができるのである。
店内で流れているビデオを観ていたら、
お客様の来店理由が、「安いから」という
ものから、「高い技術があるから」という
ものに変化してきたというニュアンスの
話が出て来た。
それと併せて、いかに社員が日々カットの
技術を高め、顧客満足度を上げられるよう
努めているかのアピールにも余念がない。
彼らは、実際のサービスを通じてお客様に
そう思ってもらえるように、着々と進化を
遂げてきたのである。
その進化がホンモノであれば、今回の
値上げでも大きな客離れが起こることは
ないのだろう。
4月以降のQBハウスの業績がどう推移
するか、大変興味深いところである。
己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。