「無料モニターキャンペーン」のねらい
サントリーウェルネスというのは、
健康食品と化粧品を取り扱っている
サントリーホールディングス傘下の
会社。
「セサミンEX」という健康食品が
売れ筋で、目にしたことのある人も
多いだろう。
以前に、お試しで購入してみたことが
あり、恐らくはその時の名簿情報から
個人情報を得たと思しきDMが届いた。
「DHAセサミン」という商品の広告
評価と、無料モニターキャンペーンの
案内である。
DMを使ったマーケティングが
上手な会社を挙げよと言われたら、
真っ先に挙げる会社の一つが、
このサントリーウェルネスである。
今回のDMも、非常に巧い。
何が巧いのか、簡単に見ていきたい。
まず、広告表現が魅力的か否かを、
実際にターゲットユーザーとなるで
あろう方々に、直接訊いてしまう点。
質問ではなく、単なる広告の場合は、
当然ながらお客様の側は身構える。
広告だと思った瞬間に、騙されては
いけない！とばかりにアラームが
心の中で鳴る人は少なくないのだ。
しかし、この広告表現は魅力的か？
そのように問われると、ほとんどの
人は律義に答えを返そうとする。
DMを打った主の側としては、
広告表現の魅力度がどの程度かを
計測することのできるメリットが
あるのは勿論のことながら、
むしろここで返答をしてきてくれる
お客様を「将来の優良見込客」として
獲得できる点にメリットを見い出して
いるはずだ。
商品1ヶ月分の無料モニターという
「エサ」に釣られて、それがもらえる
（かもしれない）のだから、お返しに
自分が差し出せるものを差し出さねば
ならない、お客様はそういう気持ちに
なっている。
『影響力の武器』で言うところの
「返報性」の原理が働いているので
ある。
続いて、このDMを受け取った方々が、
アンケートに答えようと思ったら、
その内容を一通り読まねばならない。
このひと手間により、この商品の良さが
頭の中に刷り込まれる。
少なからず、商品に対するポジティブな
イメージが形成されるのだ。
一度知ってしまい、理解してしまうと、
『影響力の武器』で言うところの
「コミットメントと一貫性」が働く。
一度良いと認めているから、
その後にもしネガティブな情報が耳に
入って来たとしても、それを容易には
信じないようになるのである。
更に言うと、モニターキャンペーンの
当選者数を1万人に絞っている。
この人数は、実際に1万人なのか、
それとももっと多いのか、私には
知る由もない。
しかしながら、マーケティング予算が
許せば、2万でも3万でもモニター人数を
増やすことは可能だろう。
最低1万人を当選させさえすれば、
法律的にも倫理的にもおかしくはない
はずだ。
ただ、そうやって数に限りがあることを
伝えて「希少性」をほのめかし、
『影響力の武器』を行使している
わけである。
というわけで、優れたDMというのは、
『影響力の武器』に示されている知見を
フルに活用して作られていることを、
ご理解いただけたのではなかろうか。
いいなと思ったら応援しよう！
