何がどうつながって売上に影響するのかを把握、モデル化する
もう1年半以上も前のことだが、
BOTANISTで有名な株式会社I-neが
独自に築き上げた、
ブランド開発モデル「IPTOS」に
ついて取り上げたことがある。
この時は、一般的な開発手順との
差異を、5段階中4段階目のところ、
「Online/Offline」にあるのだろうと
当たりを付けていた。
ネット上でいかに流行らせるか、
そして店頭との相乗効果をいかに
最大化するか、これを出たとこ勝負
ではなく、予め考え抜いた上で上市
するのが肝なのだろうと推測していた
のである。
最近、I-neの大西社長がnoteを始められ、
本日2つ目の記事をアップされていた。
自ら「IPTOS」モデルを解説してくださって
いるのだが、私の表面的な理解とはかなり
異なっていたのだということが分かった。
勿論、「Online/Offline」も大切なのは
間違いない。
しかしながら、2段階目の「Plan」と、
3段階目の「Test」の部分が、
想像していた以上にかなり緻密な設計の
下で運用されている様子。
まず、「Plan」で、精緻な需要予測モデルを
創り上げて、極めて高い精度の成果を挙げて
いる点に驚いた。
何と、直近22年1〜5月末の、全ヘアケア
ブランド平均の予測精度が99.8%だったと
いうのだ。
私も長年需要予測に関わってきたが、
通常は、まぐれでもない限りこの精度の
達成は不可能である。
個別に見ていけば、もう少しバラツキが
あるのだとしても、これだけ精度が高い
ということは、時間やお金の投資が極めて
ムダなく行われていることの証左。
この精度の達成の裏には、独自に組み上げ、
磨き上げた「数理モデル」の存在がある。
POS売上とKPIとの関係を、トコトン追求、
整理してツリー構造化したのだ。
最近何度も紹介している『売上の地図』で、
売上に至る様々な活動の貢献度合いや効果を
正確に測定するのはほぼ不可能であると
著者の池田さんも断言している。
だからといって、測定をあきらめるのでは
なく、売上以外のKGIを、議論の上で設定
するべきだとも言っている。
I-neでは、売上に対して貢献度のある、
あるいは効果のある施策が、どのような
因果関係で売上へとつながっていくのかを
かなり高精度に把握、モデル化することに
成功した、ということなのだ。
更に、「Test」のところでは、いわゆる
「MVP」(Minimum Viable Product)
=実用最小限の商品
を作って、PDCAを高速で回すことに
注力をしていることが伺える。
これは、前段階の「Plan」で、非常に
精度の高い予測ができるからこそ、
MVPを躊躇なく速攻で作り上げ、
テストに回すというスピード感が達成
出来ている面もあるのだろう。
いずれにしても、あれだけのブランドを
創り上げ、立て続けにヒット商品を
飛ばしている会社の社長自らが、
成功のレシピを部分的にせよ開示して
くれているのは、大変に有り難いこと。
USJを立て直した森岡さんも、
統計などの数学を駆使して
市場性を把握するのに長けているのは
有名な話。
客観的な数字データの扱いに
より一層習熟すべきこと。
常に高速PDCAを徹底することが
益々求められること。
少々ありきたりに見えてしまうが、
今日のまとめとしておく。