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一人の百歩よりも百人の一歩

月刊『致知』の2024年6月号の特集は
「希望は失望に終わらず」
というテーマでした。

その特集記事の中の一つで、
井村屋グループ会長CEOである
中島伸子さんがインタビュー
されています。

井村屋といえば、
看板商品の「あずきバー」や、
「肉まん・あんまん」で有名な
老舗企業ですよね。

老舗のイメージ通り、
明治29年の創業128年の歴史
刻んで来たそうです。

そんな井村屋の舵を取る中島さんは、
同社初の女性社長に抜擢された存在、
しかもアルバイト出身という
異色の経歴をお持ちの方。

その経緯というのが壮絶でした。

二十歳になる直前、乗っていた
夜行列車が火災事故
に遭い、
列車から飛び降りて九死に一生を
得るという経験
をされています。

その際、車内で隣に座ったことで
知り合ったばかりの乗客から懇願
されて5歳の男の子を託され、
一緒に列車から飛び降り
たものの、
そのときの衝撃で手を離してしまい、
本人は程なく気絶、彼は残念ながら
死亡
という顛末。

ご本人も、一酸化炭素中毒による
後遺症で声帯が麻痺し、目指して
いた教師の道が閉ざされてしまい
ました。

それでも、父親からの激励などを
きっかけに立ち直り、短大卒業後に
結婚、声をあまり使わないで済む
仕事
をと思って井村屋福井営業所で
アルバイト
を始めたそうです。

その父親の「激励」とは、
「自分だけの"プラス1"を探しなさい」
というもの。

自分にないもの、できないことに
フォーカスするのではなく、
自分にあるもの、できることに
フォーカスするべき
というその
言葉を胸に、自分らしい「プラス1」を
足すことを信条
にして仕事をされて
きたことが、次々と実績を挙げて上に
引き上げられていく原動力になった
様子が伝わってきました。

その後の活躍に関する話は省き、
インタビューの最後の方にあった
中島さんが普段よく社員に伝えている
経営メッセージ
を紹介しましょう。

それが、タイトルにも書かせて
もらった

「一人の百歩よりも百人の一歩」

という言葉です。

2019年の社長就任時からずっとこれを
言い続けてきて、大分社内に浸透して
きたと感じられているとのことで、
今年4月には更に一歩進めて、

「プロの一人、チーム百人の掛け算」

というメッセージを打ち出すように
したそうです。

誰か一人にリーダーシップを期待する
のではなく、あくまでも個々人がみな
リーダーシップを発揮していくことが
大切
であるという思想を訴え続けた
中島さん。

その意識を5年かけて浸透させ、
いよいよ浸透したとなったら、
リーダーシップを発揮しているその
一人ひとりを「プロ」として認め、
その「プロ」が百人集まることで
相乗効果を生んでいくぞ、という
気概のこもったメッセージ
です。

上意下達の軍隊的な組織ではなく、
昨今よく話題にのぼる
「ティール組織」
のような、自覚ある個々人が有機的に
リーダーシップを振るうスタイル

つくり上げつつある、そんな印象を
持ちました。


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ahiraga
己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。